沖縄の現実を少年の曇りない眼で捉えた芥川賞受賞作と、都市の底辺を彷徨うオキナワ少年を描く長篇二本。「オキナワの少年」「島でのさようなら」「ちゅらかあぎ」収録。(北澤三保)
馬の首星雲で勃発した国家軍と共和国軍の戦いは、やがて大宇宙戦争へとエスカレート。過去の様々な文学作品、芸術作品がデフォルメされた、密度の濃いSF戦争文学。(直野敦)
新宿のバーに集まり去ってゆく男女の哀歓を映す連作。直木賞受賞作の「雨やどり」のほか、「おさせ伝説」「ふたり」「新宿の名人」「新宿の男」「かえり唄」など絶品七篇。(長部日出雄)
郷里・紀州を舞台に、逃れがたい血のしがらみに閉じ込められた一人の青年の、癒せぬ渇望、愛と憎しみを鮮烈な文体で描いた芥川賞受賞作。「黄金比の朝」「火宅」「浄徳寺ツアー」「岬」収録。
若い女性の愛、ハイミスの恋、本妻と二号との関係、嫁と姑の確執など、さまざまな女の愛憎を鮮やかに描いた傑作短篇集。--「藍の季節」「白い毛糸」「本妻さん」「下町育ち」「意地悪」収録。
辺境であった東国にひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵、それはまたたくまに関東の野をおおい、鎌倉幕府が成立した。武士たちの情熱と野望を激しく描く直木賞受賞作。(進藤純孝)
原宿のそばや「大正庵」のおかみさんは、太っ腹で、世話好きで涙もろい未亡人。この“肝っ玉かあさん”を中心に湧き起る日常のさざなみを、生活感あふれる描写で描き出す長篇。
小銃をかかえて草原を這いまわれば、草はナイフのように少年たちを刺し、時には優しく肌を愛撫する。無名の民衆である自衛隊員の生活をいきいきと描いた芥川賞受賞作。(丸山健二)
白は花嫁の色。女はこの日からさまざまな色に染められてゆく。禁じられた恋に身を灼いて、それぞれの人生をいろどってゆく母娘二代の哀しい愛と性を描き出した長篇ロマン。
人生の冷たさと退屈とに堪え得ず、自ら生命を絶つ女。敗戦直後の暗い農村を背景に清純な母子像を描いた芥川賞受賞作「北の河」のほか、「夏の日の影」など三篇を収録。(長部日出雄)
無道徳だが、爽快な奔放さと埋められぬ空しさとをもつ少年少女を生き生きと捉えた直木賞受賞作「聖少女」のほか、「背後の影」「汚れた天使」など四篇を収録。(荻久保泰幸)
一年余の闘病ののち妻は死んだ。残された二人の子を長良川に近い故郷にあずけ、一人で東京生活を送る男の胸によみがえる捕虜生活の屈辱の記憶。直木賞受賞作。(小木曾新)