出版社 : 文藝春秋
その疫病は、女だけを眠りにつかせる。 そして町には男たちだけが残される。 女子刑務所のある小さな町、ドゥーリング。平穏な田舎町で凶悪事件が発生した。山間部の麻薬密売所を謎の女が襲撃、殺人を犯したのちに火を放ったのだ。女はほどなくして逮捕され、拘置のために刑務所に移送される。彼女の名はイーヴィ。世界を奇妙な疫病が襲いはじめたのはこの頃だった。 それは女たちだけに災いする「病」--ひとたび眠りにつくと、女たちは奇妙な繭状の物質に覆われ、目を覚まさなくなったのだ。繭を破って目覚めさせられた女たちは何かに憑かれたかのように暴力的な反応をみせることも判明する。世界中の女たちが睡魔に敗れるなか、謎の女イーヴィだけが眠りから逃れられているようだった。 静かな町にパニックの空気が満たされはじめる。睡魔にうち勝とうとする女たち。取り残され不安に蝕まれる男たち。やがて町にふりかかるカタストロフィは、まだ水平線の向こうにある! 巨匠スティーヴン・キングが、作家である息子オーウェンとコンビを組んで放った、圧倒的パンデミック・ホラー巨編。まさにキング印の物語の大波が、読者を巻き込んで怒濤をなす!
感染した女どもを焼き払え。 男たちがそう叫ぶ。 眠りについた女たちは「別の世界」で目をさます。そこは廃墟に様変わりしたドゥーリングの町。さまざまな事情を背負う受刑者、刑務所長、平凡な主婦だった者、あるいは妊婦。彼女たちは、それぞれにできることを担いながら、彼女たち以外に誰もいない世界で生き延びようとする。 残された男たちのあいだでは恐怖と不安がつのっていた。繭を破れば凶暴化する女たちへの恐怖。眠ってしまった女たちが二度と目覚めないのではないかという不安。伴侶や娘を失った者は絶望し、まだ眠っていない女たちは睡魔から逃げのびようと苦闘する。しかし女を憎悪する男たちは眠る女たちを焼殺しはじめた。一方、謎の女イーヴィを刑務所で匿う男たちは、彼女を守ることこそが事態の解決に導くと信じるが、そこへ急進派の男たちが武器弾薬で武装して、イーヴィを始末すべく迫りつつあった。 町はずれの森の中にそびえる巨木。この世ではない別の世界。女たちの死を悼むように舞う美しい蛾ーー奔放なイマジネーションが彩る物語は、壮絶なクライマックスへと突入する。 世界最強の作家父子の唯一無二のパワーを目撃せよ。
ベストセラー『想像ラジオ』から7年。言葉の力を知り抜く著者が世に問う、渾身の小説集! 【夢七日】交通事故に遭い、意識不明となった木村宙太。震災後、原発で働いていた君だが最愛の妻の呼びかけにも応じられない深い眠りの中にいる。二〇一九年十一月、私は君に、日々ささやきかける。--君よ、目覚めよ。 * 【夜を昼の國】一七一〇年、身分違いの悲恋で心中し、恋人・久松と共に「書かれた世界」に放り込まれてしまったお染。歌舞伎や浄瑠璃に脚色され、名誉を傷つけられてきた彼女は今また生き返り、ネットでの中傷に立ち向かおうとする。
意識不明の重体で運ばれた、横川達男。主治医の白石ルネは、延命治療は難しいと治療を中止。家族の同意のもと、尊厳死に導いた。三年後、カルテと看護記録の食い違いが告発される。白石は筋弛緩剤を静脈注射したというのだ。医療業界を揺るがす大問題へと発展し、検察は彼女を殺人罪で起訴した。保身に走る先輩医師、劣等感を感じる看護師、虚偽の報道を繰り返すマスコミ。様々な思惑が重なり合い、事態は思わぬ方向へと転がってー。
スティーヴン・キングが賛辞を贈る新鋭、 恐怖と驚愕を増量して前作『白墨人形』をしのぐ傑作。 ホラーか? ミステリか? いや、これは恐怖と驚愕を両立したホラー・ミステリの傑作なのだ。 妹アニーに起きた忌まわしい出来事が再び起こる。そう告げる不吉なメールでぼくは故郷に呼び戻された。ぼくの前任の教師は、「息子じゃない」という血文字を残して息子を惨殺したという。その血文字にこめられた真意を、ぼくは知っている。8歳のアニーが姿を消したのは、ぼくが友人たちとともに探検に行った鉱山跡の洞窟でのことだった。あの夜、あそこで恐ろしいことが起きた。そしてそのあとアニーにもっと恐ろしいことが起きたのだ……。 過去の忌まわしい記憶と、現在の忌まわしい事件。友人の不可解な自殺。惨劇の家で起こる怪異。封印した恐ろしい記憶。それらがすべて明らかとなり、ひとつになるとき、恐怖に満ちた真相が姿をあらわす! 恐怖と驚愕を見事に融合させた新鋭の傑作。
夫の夢 幕府を助けた 愛妻 鎌倉を創業した頼朝を陰で支える政子 歴史を創るのは女と男 朗笑と愛に溢れる波瀾万丈の一生! 政子は頼朝を勇気づけ、背中を押した。 十年下の押掛け女房は一途な情けを生涯捧げ、 大姫、頼家、乙姫、実朝の四人を産み育てる。 晩年は尼将軍となり、北条家を支える。 イラスト満載で語られる歴史ロマンシリーズ第3弾
元裁判官で80歳を超えた今も信望が厚い高遠寺静と、中部経済界の重鎮にして車椅子の“暴走老人”香月玄太郎の老老コンビが難事件を解決する、人気シリーズ第2弾。 今回は舞台を東京に移し、玄太郎ががんを患った状況下で5つの事件に挑む! 静のかつての同僚たちが、次々と謎の死を遂げた。事件の背後の「悪意」の正体とは?
母のお葉とともに暮らす又兵衛は、寺の下働きをしていたが、生来、吃音が激しく、ままならぬ日常を送っていた。そんなある日、寺の襖絵を描きに来た絵師・土佐光吉と出会い、絵を描く喜びを知る。 その後、自分の出自を知らぬ又兵衛は何者かに追われ京に移るが、新たに狩野派で学ぶ機会を得て、兄弟子でもあり師ともいえる狩野内膳と出会い、更なる絵の研鑽を積む。しかしある日、何者かに母を殺される。 その後もなんとか絵の道で生きていた又兵衛だったが、じつは自分の父は荒木村重であること、母だと思っていたお葉はもともと乳母で、しかも彼女を殺した首謀者が村重だったことを知る。 母を想い、父を恨み、人と関わることも不得手な又兵衛にあるのは、絵だけだったーー。 最近の学説では「浮世絵の祖」といわれ、また「奇想の絵師」のひとりとして江戸絵画で注目の絵師を正面から描く、力作長編。
ネットいじめを苦に女子中学生が自殺。姉のアイはハイテク専門の探偵アニエの力を借りて、妹の死の真相に迫るー。『13・67』の著者がいま現在の香港を描き切った傑作ミステリー。著しい貧困の格差、痴漢冤罪、ダークウェブ、そして復讐と贖罪。高度情報化社会を生きる現代人の善と悪を問う。
第164回直木賞候補作 平穏に夏休みを終えたい小学校教諭、認知症の妻を傷つけたくない夫。 元不倫相手を見返したい料理研究家……始まりは、ささやかな秘密。 気付かぬうちにじわりじわりと「お金」の魔の手はやってきて、 見逃したはずの小さな綻びは、彼ら自身を絡め取り、蝕んでいく。 取り扱い注意! 研ぎ澄まされたミステリ5篇からなる、傑作独立短編集。
ドンデン返しの魔術師の新シリーズ、 流浪の名探偵コルター・ショウ! シリコンヴァレーに暗躍する連続誘拐犯。死のゲームに囚われた被害者を救い出せ。 怜悧な頭脳とサバイバル術で完全犯罪を暴く新ヒーローの誕生。 姿を消した人間を追跡する名人、コルター・ショウ。失踪人や逃亡犯に懸賞金がかけられると、彼は現地へ赴いて調査に着手する。つねに冷静に状況を分析する明晰な頭脳と、父に叩きこまれたサバイバル術で多くの事件を解決してきた。今回ショウはシリコンバレーに住む男の依頼で、失踪した娘を探すことになった。カフェを出たあと、忽然と姿を消した彼女は無事なのか? どこにいるのか? 非協力的な警察に悩まされながら調査を続けるショウは、事件の背後にはビデオゲームが絡んでいることを知る。 被害者を誘拐し、『ウィスパリング・マン』というゲームを模倣して監禁する犯人〈ゲーマー〉。刻々と死の迫る被害者たちの居場所を突き止め、彼らの命を救うために知力と体力を尽くすショウ。犯人は誰なのか。単なる愉快犯なのか。あるいは何か隠された動機があるのかーー? 懸賞金を求めて難事件に挑み、不可解な死を遂げた父の謎を追う名探偵コルター・ショウ。リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスに続く新ヒーロー誕生。時限爆弾のようなサスペンスに意外な真相を仕掛けたシリーズ第1作。
「書の力で世を動かしたい」。文官を目指しながら、信念を曲げず敵陣の刃に倒れた青年・顔季明。彼の許婚の采春は、興行一座に身を隠し、得意の武術を磨きながら、季明の仇討ちを計った。一方、采春の兄・張永は、季明の遺志を継ぎ、新皇帝のいる霊武へと向かう。一度は袂を分けた兄妹の運命が交差するとき、唐の歴史が動き始めるー。2020年 第27回松本清張賞受賞作。
ーー闇の虐待ショーをぶち壊せ! ダークウェブの深奥にある「逆隊コロシアム」。 通常の手段ではアクセスできないサイトでは、 競うように児童虐待動画がアップされている。 「逆隊コロシアム」を潰して、 その一部始終をドキュメンタリーにしたいという テレビ・ディレクターの梅原から依頼を受け、 3人の虐待サバイバーの若者とともに 調査に乗り出したマコトは、 ある日テレビで見た子どもの虐待死のニュースが、 「逆隊コロシアム」の動画に映っていた少女のことだと気づく。 小さな命を救えなかった悔しさと怒りを胸に、 マコトはタカシや仲間たちと 巨大なウェブに巣くう獣たちに戦いを挑む。 表題作のほか、 池袋の路上で繰り広げられたタピオカ抗争の顛末、 日本屈指のラブホ街を狙った強盗団との闘い、 恋人のいない若い女性を狙ったバースデイコール詐欺を描いた4編を収録。 累計430万部突破のIWGP16弾!
シリーズ累計150万部突破! 「八咫烏シリーズ」第2部、ついに刊行開始 「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」 資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。この山には一体、何が隠されているのか? その答えを知っていると囁く美女に誘われ、山の内部に入ったはじめは、そこで信じられないものを目にするーー。 舞台は東京から、八咫烏たちが住む異界「山内」へ。猿との大戦(『弥栄の烏』)より20年の時を経て、いま再び物語が動き始める。 動乱の時代を生き抜いた八咫烏たちの今。そして新たなる世代の台頭。第1部以上のスケールを持っておくる傑作異世界ファンタジーです。
郊外の駅で、深夜に首だけの死体が発見された。連絡を受けた宇野と夕子が駆けつけると、持ち主を名乗る男が現れる。そこには、ある親子の悲しい過去が隠されていたのだ。そんな中、生首が忽然と消えてしまいー。大好評“幽霊”シリーズ第28弾。
累計65万部突破! 人気シリーズ第8弾。 5月。お草が営むコーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」の近所のもり寿司は、味が落ちたうえ新興宗教や自己啓発セミナーと組んでの商売を始め、近頃評判が悪い。店舗一体型のマンションも空室が目立ち、経営する森夫妻は妻が妊娠中にもかかわらず不仲のようだ。その様子を見て、お草は自らの短かった結婚生活を思い出したりしている。 そんな折、紅雲町に50歳過ぎの男が現れる。新規事業の調査のためといって森マンションに短期で入居している男は親切で、街中で評判になっていた。 その男が、お草のもとにやってきた。店の売却・譲渡を求められるのかと思ったお草に対し、男は自分は良一だ、と名乗る。 良一とは、お草の息子。夫や婚家との折り合いが悪く、お草が一人で家を出た後、3歳で水の事故で亡くなったはずだった。だがその男によると、じつは良一は助け出されたものの、父と後妻の間に子供が生まれて居場所がなくなり、女中だったキクの子として育てられたという。その証拠として、お草と別れた夫との間で交わされた手紙や思い出の品を取り出して見せるーー。 男の言うことは本当なのか、本当に我が子なのか。お草の心は千々に乱れるーー。 嘘は、人生の禍となるが、救いとなることもあるーー。甘いばかりではなく苦みを伴いつつ、深い味わいのある佳品。