出版社 : 文藝春秋
あらゆる生物が樹海でしか生きられなくなった、とある未来の終末惑星。巨大生物にさらわれた少年スオウの目の前に、航空機に乗った謎の男が現れてー?あなたのココロの12歳が騒ぎ出す!?シーナSF最新作。
父の身体には、たくさんの銃弾が残した傷があるー。エドガー賞最優秀長編賞最終候補。みずみずしい感動を呼ぶ傑作ミステリー。12歳の少女ルーは、父とともに亡き母の故郷に移り住んだ。それまでは父とふたり、各地を転々としながら暮らしてきたが、娘に真っ当な暮らしをさせようと、父サミュエルは漁師として働くことを決めたのだ。しかし母方の祖母は父娘に会おうとしない。母はなぜ死んだのか。自分が生まれる前、両親はどんなふうに生きてきたのか。父の身体に刻まれた弾傷はどうしてできたのか。真相は彼女が考える以上に重く、その因縁が父娘に忍び寄りつつあった…。ティーンとしていじめや恋愛を経験して成長してゆくルーの物語と、サミュエルを撃った弾丸にまつわる過去の断章を交互に語り、緊迫のクライム・サスペンスと雄大なロード・ノヴェル、鮮烈な青春小説と美しい自然の物語を完璧に融合させ、全米各紙誌の絶賛を浴びた傑作。
第164回芥川賞候補作。 元自衛官の新鋭作家が、日本人のいまだ知らない「戦場」のリアルを描き切った衝撃作。 北海道にロシア軍が上陸、日本は第二次大戦後初の「地上戦」を経験することになった。自衛隊の3尉・安達は、自らの小隊を率い、静かに忍び寄ってくるロシア軍と対峙する。そして、ついに戦端が開かれたーー。
「あんた、ゴミサトシって知ってるか?」 元刑事の河辺のもとに、ある日かかってきた電話。その瞬間、封印していた記憶があふれ出す。真っ白な雪と、死体ーー。あの日、本当は何があったのか? 友が遺した暗号に導かれ、40年前の事件を洗いはじめた河辺とチンピラの茂田はやがて、隠されてきた真実へとたどり着く。 『スワン』で日本推理作家協会賞、吉川英治文学新人賞を受賞。圧倒的実力を誇る著者が、迸る想いで書き上げた大人のための大河ミステリー。
料理が下手でフラれた私。 嫌いな言葉は「料理は愛情」-- 料理嫌いな優花は、ずっと好きだった真島に高級バレンタインチョコを渡すも 「好きな人に手作りチョコをもらったから」と振られてしまう。 真島が憧れていた相手は料理教室の先生だった。 その日から、彼女の格闘と迷走が始まった! 自炊に挑戦し、料理男子と合コンし、初めて「みりん」を購入するも 料理が上達するどころか好きにもなれずに苦悩する日々。 “料理は愛情”というけれど、料理が嫌いな優花の愛情は一体どこにーー⁉
キャッシーと呼ばれる一人のいじめられっ子少女がある地方都市にいた。アイドルの存在を救いとして、自らなりたいと強く憧れる。彼女に不思議な“ちから”が宿り、遂にその夢は叶う。運命の渦に飲み込まれそうになりながら、人々との出会いと別れ、さまざまなドラマを経て、巨大なクライマックスに向かっていくのだった。キャッシーの運命は…
高平君がうちに来て、涙ながらにいなくなった猫の話をはじめた、聞けば聞くほど私が外で世話していたキャシーそっくりだった。高平君のレディはみつかるか?ささやかな命の輝きを刻む小説集。
川端康成の『眠れる美女』は、高齢男性の性を扱った。 それから60年。川端を敬愛する台湾の第一線女性作家が正反対の方向からタブーに挑んだ。 すなわち、高齢女性の性に正面から挑んだのであるーー 元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷は、行きつけのフィットネスジムのインストラクター、パンに惹かれていく。 少数民族の出身で、眉目秀麗な彼ーパンの、色白の肌の下に潜んだしなやかな筋肉に直接触れたいという欲望を、殷殷は抑えきれないでいた。 そしてある夜、パンを別荘に招いた殷殷は、彼に眠り薬を盛るのだった・・・ 〈本書は長くタブーだった高齢女性のエロティシズムを扱った、きわめて挑戦的な作品だ〉(上野千鶴子・東京大学名誉教授)
大分県杵築市では幻想的な光に包まれる「観月祭」の開催を前に、街は活気に満ちていた。しかし、祭りの一週間前、地元の名産品七島藺作家の波田野七海が突如襲われる事件が発生する。その翌日には、七海の顔なじみのパン屋の妻が絞殺体で発見される。さらにこの殺人事件と時を同じくして、東京の多摩川沿いで首なし死体が見つかる…。圧巻の警察小説。
彫刻の縮小模型、蔵に眠っていた屏風、デッドストックのアロハ…こいつは金になるー。だましだまされ、最後に笑うのは誰?著者の十八番、傑作美術ミステリー!価値を知らない素人に、親切を装って作品を売りさばく段取りをつけるがー「マケット」。阿漕なホストに画廊勤務の経験があると知り、美術品を使って罠を仕掛けるー「上代裂」。技術の粋を集めてヴィンテージ・アロハの精巧な偽物を作るがー「ヒタチヤ ロイヤル」。資産家に偽物を掴ませた悪徳業者を懲らしめようと、ある策略をめぐらすー「乾隆御墨」。素人の蔵から重文級の屏風絵が出た。安く買いたたこうと芝居を打つがー「栖芳写し」。財荒難に陥った美術館が極秘に青銅器のコレクションを売るというー「鴬文六花形盒子」。
安藤広重「目黒太鼓橋夕日の岡」、歌川国政「五代目市川團十郎の暫」、歌川国貞「集女八景 粛湘夜雨」、鈴木春信「縁先物語」、葛飾北斎「百物語 さらやしき」、喜多川歌麿「深く忍恋」、東洲斎写楽「二世市川高麗蔵の亀屋忠兵衛と中山富三郎の梅川」。男と女。出会いと別れー。喜怒哀楽の表情を濃密に描いた感動作。浮世絵から生まれた七篇の物語。
交際相手に金品を貢がせ、練炭自殺に見せかけて殺害した牧村花音。平凡な容姿の彼女に、なぜ男たちは騙されたのか。友人を殺されたジャーナリスト・池尻淳之介は、真相を探るべく花音に近づくが…彼女の裁判は“花音劇場”と化し、傍聴に通う女性たちは「毒っ子倶楽部」を結成。花音は果たして、毒婦か?聖女か?裁判が辿り着く驚きの結末とは。「○○者」シリーズ6年ぶりの最新刊!
この扉の向こうに、秘密を抱えた旅人たちがいる。豪華寝台列車「ななつ星」の旅から生まれた5編の物語と2つの随想。ゆっくりと流れる時間の中、人は、それまで口にしたことのない言葉を語りだす。
疫病はびこる京の惨状に足利幕府の救いの手は届かずー橋を架ける男。籤引き将軍と揶揄された義教は己の命をも運に委ねるー籤を引く男。銭ですべてを買う富子の手から夫と息子は零れ落ちるー銭を遣う女。花の御所、銀閣寺をうんだ室町時代の滅びの始まりを描く六篇。
コロナ禍のさなか、家でひきこもっていた女性が 棚のなかから見つけた古い名簿と本。 「今からすればーー」 記憶の扉が開き、昭和50年代に共学の公立高校で過ごした思い出が、 まるで映画を見ているかのようによみがえる。 『ラブアタック!』、ミッシェル・ポルナレフ、旺文社のラジオ講座、 そして夜の公衆電話からかけた電話…… 胸キュンな恋も、打ち込んだ部活も、 そのうえスマホもなかった。でも確かにあれはーー 大人のための、フツウな青春小説。