出版社 : 文藝春秋
不動産販売の営業マンだった黒葛原涼(つづらはら・すずむ)は、会社の倒産後、ひょんなことから東京の下町・町良(まちら)で、探偵事務所を開業。ハーバード大卒、犯罪マニアの押しかけ美女ネジ子さんを相棒に、町で起きた怪事件に挑む! 〈あらすじ〉 第1話 都電の町と鉄仮面 東京の下町・町良に移り住んだスズムはピカピカ光る鉄仮面が夜な夜な徘徊すると聞き…… 第2話 ネジ子さんが来た 神出鬼没の連続ひったくり犯“カマイタチ”を捕まえてほしいという依頼を受ける 第3話 セカイは知らんぷり 公園で虐待された野良猫を助けたスズムが調べを進めると、意外にも犯人は…… 第4話 守り神は失踪中 “信号揚げ”が名物、タツ子が営むてんぷら屋から大事な守り神が消えた 第5話 スキマ男のレモン 町のあちこちで空き缶と一緒に置かれたレモンが見つかった。それは怪しい暗号なのか? 第6話 まぼろし楽隊(ジンタ) 正式につづらはら探偵事務所を立ち上げたスズムは、いきなり謎の“怪人”から挑戦を受ける
毎日出版文化賞 芸術部門受賞 2020年 本屋大賞ノミネートの話題作 パートナーなしの妊娠、出産を目指す夏子のまえに現れた、 精子提供で生まれ「父の顔」を知らない逢沢潤ーー 生命の意味をめぐる真摯な問いを、切ない詩情と 泣き笑いに満ちた極上の筆致で描く、21世紀の世界文学! 世界25ヵ国で翻訳。米TIME誌が選ぶ 2020年ベスト小説10冊、米New York Timesが選ぶ今年の100冊に選ばれるなど絶賛の嵐に包まれ、いま世界が最も注目する作家、川上未映子の圧倒的長編! * * * * * * 生まれることに自己決定はない。だが産むことには自己決定がある。 この目も眩むような非対称を、どうやって埋めればよいのか? 母になる女たちは、この暗渠をどうやって越したのか? どうすれば、そんな無謀で勝手な選択ができるのか? 作者は、「産むこと」の自己決定とは何か? という、怖ろしい問い、だが、 これまでほとんどの産んだ者たちがスルーしてきた問いに、正面から立ち向かう。 --上野千鶴子(「文藝」秋季号) 笑橋で今日も生きる巻子の、物語終盤での言葉に、誰もが泣くだろう。(中略) この作品は間違いなく傑作である。 --岸政彦(「文學界」8月号) この作品は、全方向からの意見に耳を傾けているような、 極めてフェアな作りになっている。 それも生殖医療を論じる難しさの中で、 子どもを持つ、というシンプルな願いをどう叶えるかと、模索した結果であろう。 川上未映子は、難しいテーマを、異様な密度で書き切った。 --桐野夏生(「文學界」8月号) これ以上ないほどシリアスな倫理問題を扱っているが、 大阪弁を交えた語りやセリフの爆発的な笑いの威力よ。 破壊と創造を同時になしとげる川上語も堪能されたし。 --鴻巣友季子(「毎日新聞」7月28日書評) 川上は、女性が女性の身体に与える影響〓力について考え、意図的なものもそうでないものも含めた身体の変化の背景にある感情を、ユーモアと共感をもって描きだしている。 (米「ニューヨーカー」2020年5月11日) 川上は身体について動揺するくらい的確に描いている。(中略)そしてこの作家は身体が求めているものを捉えるのがとりわけうまいのだ。 ーーケイティー・キタムラ(作家)米「ニューヨーク・タイムズ」2020年4月7日 * * * * * * この物語には、人が生まれて生きて、そしていなくなることの、 すべてがある。
捨て子を保護し、諜者として育てる幕府の隠密組織“拾人衆”。これを率いる水戸光圀は、父を旗本奴に殺されてのち、自我流の剣法を身につけた少年・六維了助に出会う。拾人衆に加わった了助は、様々な能力に長けた仲間と共に、江戸を焼いた「明暦の大火」が幕府転覆を目論む者たちによる放火だったのではという疑惑を追うがーくじり剣法の六維了助、見参!
騙されては、いけない。けれど絶対、あなたも騙される。 『向日葵の咲かない夏』の原点に回帰しつつ、驚愕度・完成度を大幅更新する衝撃のミステリー! 第1章「弓投げの崖を見てはいけない」 自殺の名所付近のトンネルで起きた交通事故が、殺人の連鎖を招く。 第2章その話を聞かせてはいけない」 友達のいない少年が目撃した殺人現場は本物か? 偽物か? 第3章「絵の謎に気づいてはいけない」 宗教団体の幹部女性が死体で発見された。先輩刑事は後輩を導き捜査を進めるが。 どの章にも、最後の1ページを捲ると物語ががらりと変貌するトリックが……! ラストページの後に再読すると物語に隠された“本当の真相”が浮かび上がる超絶技巧。 さらに終章「街の平和を信じてはいけない」を読み終えると、これまでの物語すべてがが絡み合い、さらなる“真実”に辿り着く大仕掛けが待ち受ける。 「ここ分かった!?」と読み終えたら感想戦したくなること必至の、体験型ミステリー小説。
文政8年冬。小籐次一家は、おしんの従妹のお鈴を伴って丹波篠山から江戸へと戻った。小籐次は不在の間にたまった界隈の研ぎ仕事に精を出す。 そんな折、十一代将軍家斉の念願だった日光社参が延期になった。凶作で治安が乱れたためだが、例幣使街道で凶悪な押込みを働いた杉宮の辰麿一味が江戸に潜り込んだとの情報が、秀次親分からもたらされた。そしてその探索に協力してほしいと小籐次にいう。 その直後、畳屋の隠居夫婦が惨殺された。隠居は殺される直前に居酒屋で謎の女と言葉を交わしていたらしい。続いて古筆屋が襲われ、こちらは大金も奪われ、一味の仕業と思われた。 調べの結果、辰麿一味は南町奉行所に恨みを持っているらしく、次なる標的は久慈屋とも想像できた。小籐次は久慈屋の危機を救うべく、辰麿一味と対決する。 緊迫の展開のシリーズ第14弾!
胸をえぐられる、切なさが溢れだすーー 『世界から猫が消えたなら』『億男』『百花』の著者が描く、究極の恋愛小説。 大反響のベストセラーがついに文庫化! 音もなく空気が抜けるように、気づけば「恋」が人生から消えている。 そんな時僕らはどうすべきか?夢中でページをめくった。 ーー新海誠(アニメーション監督) こんな物騒で厄介な小説を手放しで褒めていいのか、 わたしは身を震わせる。 ーーあさのあつこ(作家) 4月、精神科医の藤代のもとに、初めての恋人・ハルから手紙が届いた。 “天空の鏡”ウユニ塩湖からの手紙には、瑞々しい恋の記憶が書かれていた。 だが藤代は1年後に結婚を決めていた。愛しているのかわからない恋人・弥生と。 失った恋に翻弄される12か月がはじまるーー なぜ、恋も愛も、やがては過ぎ去ってしまうのか。 川村元気が挑む、恋愛なき時代における異形の恋愛小説。 “あのときのわたしには、自分よりも大切な人がいた。 それが、永遠に続くものだと信じていた。” “私たちは愛することをさぼった。面倒くさがった。” “わたしは愛したときに、はじめて愛された。 それはまるで、日食のようでした。” 解説「失うことの深さ」あさのあつこ
「先生に、私の全てを知ってもらいたいのです。私の内面に入れますか」心療内科を訪れた美しい女性、ゆかり。男は彼女の記憶に奇妙に欠けた部分があることに気付き、その原因を追い始めるー。傷つき、損なわれたものを元に戻したいと思うことは冒涜なのか。Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞した傑作長編小説。
大分県警刑事研修所、通称「刑事学校」の教官・畑中圭介は6人の若き刑事たちを実地で指導している。大分市内の不良グループの内偵を開始した生徒たちは、不良たちを操る異常な犯罪者の存在をつきとめる。犯罪という社会の影の部分を前に苦悩しながらも飛躍的な成長を遂げる生徒たち。文庫オリジナル警察アクション第2弾!
狙いはただひとつ。伊達政宗の馘(くび)--。 四百年の長きにわたり会津を治めながら、相次ぐ当主の早世で嫡流の男系が途絶えた芦名家。常陸の佐竹家より新たな当主として婿養子を迎えたものの、家中に軋轢が生じ、北からは伊達政宗の脅威が迫る。芦名家の行方は家臣筆頭の金上盛備の双肩にかかっており、ついに伊達との摺上原での最終決戦を迎えた。 東北の名家の存亡を描き、直木賞候補となった出色のデビュー作。 本屋が選ぶ時代小説大賞2017受賞!
「ぼくはママをころそうと思います」8歳の少年からの殺害予告。「どうしても、あの恋文を見つけたい」往年の大女優からの無茶な依頼。ひょんなことから文通会社ILLで働き始めた元引きこもりの岳彦に届くのは、ワケありの手紙ばかり。いつしか自分自身の言葉を便箋に連ね、難事に向き合っていくー手紙をモチーフに紡がれる6篇。
“うで”と“デブ”どっちがいい?借金で、首の回らなくなった「俺」の究極の選択とは?予測不能の展開の表題作をはじめ、“泥沼”で咲きみだれる美しい“花”や、極限状況に置かれた底辺の人間の悲哀と希望の光を、リズミカルな文体と、ぶっとんだユーモアでお届けする“イエロートラッシュ”シリーズ全四編。
戦後の復興をかけた五輪開催を翌年に控え、変貌していく横浜で起きた女性連続殺人事件。米兵の犯行の可能性が高い厄介な事件を担当する神奈川県警の刑事・ソニー沢田は、難航する捜査の中、米軍の協力を仰ぐため横須賀基地に乗り込む。日系三世のSP、ショーン坂口を相棒に事件の真相に迫る社会派ミステリ。
社運をかけて開発された身長80センチの人型ロボット・パティ。外見はダサく、実用性も低いのに、ある日取引先から「パティが事件を起こした」と衝撃の連絡が。「パティにそんな能力はない!」と絶対の自信(?)を持つお世話係の朝香、ロボットオタクのイケメン怜央は、真相に迫れるのかー文庫オリジナルの軽快ユーモアミステリー!
中学三年生のための初の夏期強化合宿が開催されることになったJSS進学塾。いつもの教室を飛び出し、島で楽しい勉強合宿になるはずが…しっかり者の近衛美郷とやんちゃな今野毅彦に理屈っぽい月谷先生までもが行方不明に!?三人は一体どこに消えてしまったのか。ますます勉強が楽しくなる愛と感動の塾ミステリー第二弾。
元飛脚の盗賊「葵蜥蜴」は韋駄天揃い、白昼堂々と人を殺め、金を盗む。「しノ字組」はその塒を急襲するが捕縛に至らず。そこでさる寺の閻魔像から消えた右目を発見した伊刈運四郎は、帰路、隻眼の雲水に襲われる。「小平太に伝えよ。わしはまだ生きておる」。葵蜥蜴、雲水、しノ字小平太の絡みあう因縁。謎が謎を呼ぶシリーズ第三巻。
江戸に炎熱舞い落ちる頃、稼ぎが減って干上がる間際の坂崎磐音。逐電した、見世物一座の妹の捜索を引き受けたが、思わぬしっぺ返しに遭う。休む間もなく、御城の石垣普請のため熱海の石切場巡見に向かう今津屋一行に、友の柳次郎らと同行。普請奉行の怪しい素行を垣間見て、自ら調べを進める最中、柳次郎が行方不明になった!
大身旗本の狂気が 磐音を襲う! 秋風が吹き始めた江戸。 磐音は研ぎに出していた備前包平を受け取りに、 研ぎ師・鵜飼百助の屋敷を訪ねます。 そこには、徳川家に不吉をもたらすとされる 妖刀・勢州村正を正宗と改鑿して持ち込もうとする 大身旗本用心の姿が。 磐音がその場をおさめますが、 ことはそれだけではすみません。 これも妖刀に因るものなのか、 磐音はまたもや騒動へと巻き込まれ、 やがて、笹塚孫一の命をも脅かす事態に発展します。 一方、吉原では、花魁・白鶴太夫となった 奈緒の身辺に不穏な事態が。 磐音は大切なひとを守るため、 剣をふるうことに……。
美しいプリンス・エドワード島で愛されて成長していく少女アン。幸福感あふれる名作の日本初の全文訳。 訳文は、お茶会のラズベリー水とカシス酒、アンの民族衣裳、スコットランドから来たマシューの母など、モンゴメリの原作に忠実に、全文を、みずみずしく夢のある文章で訳した真実の物語。 巻末の訳註では、作中に多数引用されるシェイクスピア劇など英文学と聖書の句、スコットランド系アンとアイルランド系ダイアナなど登場人物の民族、19世紀カナダの衣食住、キリスト教、草花とハーブをくわしく解説。 口絵には、リンド夫人が棒針で編むキルト、アンとマシューが初めて出逢う駅のモデル、マシューが愛するスコットランドの薔薇など、物語に描かれる品々や場所の写真を11点掲載。 松本訳の旧訳『赤毛のアン』の訳文と訳註を、全面的に改稿した新訳! 児童書でも、少女小説でもない、大人の心豊かな文学『赤毛のアン』。
第26回松本清張賞受賞作 魅力的なキャラクターを選考委員全員が絶賛! 西南戦争を舞台に落ちこぼれ兵士の活躍を描く 痛快歴史エンタテイメント開幕!! 【内容紹介】 大阪で与力の跡取りとして生まれながら、家が明治維新で没落したため幼いころより商家に丁稚奉公に出された錬一郎は、それでも士族の誇りを失わず、棒きれを使って剣術の真似事などをして周囲の人間から「へぼ侍」と揶揄された。 1877年、西南戦争が勃発すると官軍は元士族を「壮兵」として徴募、武功をたてれば仕官の道も開けると考えた錬一郎は意気込んでそれに参加する。 しかし、彼を待っていたのは、料理の達人、元銀行員、博打好きの荒くれなど、賊軍出身者や異色の経歴の持ち主ばかりの落ちこぼれ部隊だったーー。 綿密な時代考証のうえに大胆なストーリー展開を描き出す、時代小説の新鋭の誕生です。