出版社 : 文藝春秋
可愛がっている孫に、賭場で借金を作り取り立てられていると泣きつかれた呉服屋の隠居が、二十両を用立てたという。自身も孫ができた弥平次はそれが騙りではないかと疑い、さらに調べると、近ごろ金持ちの年寄り相手に騙りを働く坊主がいるという。卑劣な騙り屋を久蔵たちは追い詰められるのか!?快調な新シリーズ第2弾。
まるで手品のような、謎、謎、謎! 退職刑事、怪奇な不可能犯罪に挑む。 1000までの数字を頭に思い浮かべてみろ。 退職刑事ガーニーの友人のもとに届いた手紙はそう命じていた。 思い浮かべた数字は、658。指示にしたがって同封された小さな封筒を開けると、そこにはこう書かれていた。 おまえが思い浮かべる数字はわかっていた。658だ。 やがて次々に届く脅迫状めいた不吉な手紙。恐怖に駆られて元刑事ガーニーに相談を持ち込んだが、やがて男は殺害されてしまう。殺人現場は一面の雪。犯人らしき人物の足跡は森のなかで途切れていた……。数々の難事件を解決してきたガーニーを翻弄する謎また謎。手品めいた不可解な連続殺人ーーその手段は、動機は、目的は何なのか? そしてちりばめられた奇妙な暗示の影にひそむ犯人は何者か? 眩惑的な奇術趣味と謎解きの興趣あふれるHONKAKU MYSTERYの野心作!
長く辛い不妊治療の末、自分たちの子を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。 中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。 それぞれの葛藤、人生を丹念に描いた、胸に迫る長編。 第147回直木賞、第15回本屋大賞の受賞作家が到達した新境地。 河瀬直美監督も推薦! このラストシーンはとてつもなく強いリアリティがある。「解説」より
『その女アレックス』の鬼才ルメートル、最新作。 徹夜必至。一気読み保証。 どんづまり人生の一発逆転にかける失業者アラン、57歳。愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む! 鬼才のノンストップ再就職サスペンス! リストラで職を追われたアラン、失業4年目。再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。だが遂に朗報が届いた。一流企業の最終試験に残ったというのだ。だが最終試験の内容は異様なものだった。 〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ〉 重役たちの危機管理能力と、採用候補者の力量の双方を同時に査定するというのだ。アランは企業人としての経験と、同じく人生どんづまりの仲間たちも総動員し、就職先企業の徹底調査を開始した。そしてその日がやってきた。テロリストを演じる役者たちと他の就職希望者とともに、アランは重役室を襲撃する! だが、ここまでで物語はまだ3分の1。「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成を操って名手はアランと読者を翻弄する。残酷描写を封印、ルメートルが知的たくらみと皮肉なブラック・ユーモアを満載して送るノンストップ再就職サスペンス!
快晴のクリスマス、都心のビルの屋上で、胸に銛が刺さった血まみれの老人の遺体が発見された。老人は和歌山県太地町に住む捕鯨船の伝説の砲手と判明。捜査本部は他殺を裏づける物証を得られぬまま、自殺と結論づけた。しかし、その直後、酷似した凶器で殺害された遺体が次々と見つかる。警視庁捜査一課の草刈大毅と立石豊樹のコンビが、赤坂、和歌山、青森で地を這う捜査の果てにつかんだ真相は…。『星月夜』以来、六年ぶりとなる社会派推理小説。
プロレスラーの「どん底からの挑戦」を描いた青春人情小説。 「強さとは何か」父母や友人らの言葉を得て、二人のレスラーが、たどりついた「答え」とは。 『2011年の棚橋弘至と中邑真輔』の著者 柳澤 健 氏、絶賛の人間ドラマ! 「憎しみも弱さも欲望も嫉妬も、そして虚構も、すべてをさらけ出してなお、プロレスは強い。だからこそ、プロレス小説を書くのは勇気が必要なのだ。この作者は果敢に挑み、白熱した試合と想像を超えるフィニッシュを作りあげた」(柳澤 氏) 父の影響でプロレスファンになった御子柴大河は、少年の頃からの夢を叶え、日本最大のプロレス団体・JPFのトップレスラーへの道を駆け上がる。しかし、プロレス人気は凋落の一途をたどっていて……。 一方、大河の同級生、小林虎太郎は、抜群の運動神経を持ちながら、体が小さいことを理由にイジメを受け、心に傷を抱えていた。その後、「イジメ撲滅」を標榜するインディープロレス団体に入団するが、ある理由から悪役レスラーに転向することに。 天性のスターと、不遇の天才。 境遇は違えども、「強さとは何か」を求め続ける二人。 団体経営に大きな影響力を持つマッチメイカーたちの思惑が交差する中、大河と虎太郎は、マットの上で、答えを見つけることができるのかーー。
伊刈運四郎、馬庭念流の剣客、24歳。念願の出仕が叶うも、訳も分からず配されたのは火付盗賊改方の通称「しノ字組」。初仕事は、口から鯖の尾鰭が飛び出た血腥い屍骸の検分だった…。顔の刀傷で畏怖される供頭・杉腰小平太と、大酒呑みや博打好きなど、曲者の仲間たちに翻弄されつつ、凶賊を追って江戸八百八町を突っ走る!
ひと月前に、品川界隈に巣食う妖怪・強葉木谷の卑弥呼を退治した小籐次と駿太郎は、老中青山忠裕の案内で、江戸城表の白書院で将軍・家斉に拝謁することになった。家斉のみならず、老中を筆頭に幕閣要人、御三家や大大名の前でふたりは来島水軍流を披露し、さらに自作の「ほの明かり久慈行灯」の光の中で懐紙を切り分け、雪か花火かという幻想的な風景を演出し、喝采を浴びた。 数日後、小籐次は、駿太郎が赤ん坊だったころに乳母を務めてくれたおさとと再会する。おさとの舅は名人と呼ばれる花火師だったが不慮の事故で体を壊して引退し、さらに余命数か月という病床にあった。舅が死ぬ前に、半端な花火職人の義弟が作った花火を見せてやりたいというおさとの願いを知った小籐次は、一計を案じるーー。 不景気で隅田川の川開きの花火の開催が危ぶまれるいま、小籐次は隅田川に見事大輪の花火を打ち上げることができるのか!? 書き下ろし第12弾。
項梁の反秦連合に参戦した劉邦は若き項羽と共に秦と戦い、彼の勇猛さと複雑な人間性を知る。やがて楚王より関中平定という無謀な命を受けた劉邦は、張良の献策を生かし、秦の街を次々に攻略。ついに秦は降伏する。そして劉邦は鴻門の地で再び項羽と相見えるのだった。漢王朝を作った劉邦を描く大河小説、疾風怒涛の第三巻!
劉邦は「西楚覇王」となった項羽により、荒蕪の地である漢中の王に封じられる。新たに韓信を臣下に得た劉邦は、漢より関中・中原へと進軍し、楚軍との間で激しい戦いを繰り返す。幾度も窮地に陥る劉邦だったが、同盟者の協力により楚軍の糧道を断ち、項羽を追い詰めてゆく。漢王朝を作った劉邦を描く大河小説、ついに大団円!
スズメはついに漫画家デビューを果たす。就職が決まり、ロボットを発明する夢を叶えようとしているリツは、故郷でスズメにプロポーズをするが、一人前になるために足掻いていたスズメはそれを受け入れられなかった。時は流れ漫画家として行き詰まったスズメは、リツが結婚したことを知る…。半世紀にわたる物語、感動の完結。
わしが額ずくのは、美しいものだけだ── 最後まで己の美学を貫き、天下人・秀吉に切腹を命ぜられた千利休。 その心の中にいつも棲んでいたのは、十九のときに、殺した女だった……。 利休に艶やかな感性を与えた、秘めた恋と人生の謎に迫る 山本文学の金字塔。 圧倒的な筆力をもって描かれた第140回直木賞受賞作。 2013年には市川海老蔵主演で映画化され、モントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞受賞。 本文より─ なぜだ。なぜ、あんなふうにいともあっさり、美しいものを見つけ出すことができるのか。 ─秀吉 ──聡すぎはしまいか。聡い男は重宝されても、聡すぎる男は、嫌われる。─家康 あなた、ほんとうにわたしでよいのでしょうか。─宗恩 2014年に惜しくも逝去された著者と浅田次郎氏との直木賞受賞記念対談も収録。 刊行にあたり浅田氏からは「対談によせて」というお言葉もいただいてます。 死を賜る ──利休 おごりをきわめ ──秀吉 知るも知らぬも ──細川忠興 大徳寺破却 ──古渓宗陳 ひょうげもの也 ──古田織部 木守 ──家康 狂言の袴 ──石田三成 鳥籠の水入れ ──ヴァリニャーノ うたかた ──利休 ことしかぎりの ──宗恩 こうらいの関白 ──利休 野菊 ──秀吉 西ヲ東ト ──山上宗二 三毒の焔 ──古渓宗陳 北野大茶会 ──利休 ふすべ茶の湯 ──秀吉 黄金の茶室 ──利休 白い手 ──あめや長次郎 待つ ──千宗易 名物狩り ──織田信長 もうひとりの女 ──たえ 紹鷗の招き ──武野紹鷗 恋 ──千与四郎 夢のあとさき ──宗恩 特別収録 対談 浅田次郎×山本兼一
時は推古天皇の御世。混乱を極めた大陸に統一国家“隋”が誕生。朝鮮半島は分裂したままだが、東アジアは大きく変わろうとし始めた。聖徳太子は“隋”と国交を結ぶことでアジアの安定化を目論む。そのため、九州の海の民宗像の一族にその橋渡しを密かに命じる。果たして宗像一族は使命を果たせるのか?
【仕事はできるが不運すぎる女探偵・葉村晶シリーズ最新長編!】 葉村晶は、吉祥寺のミステリ専門書店のアルバイト店員をしながら、本屋の二階を事務所にしている〈白熊探偵社〉の調査員として働いている。 付き合いのある〈東都総合リサーチ〉の桜井からの下請け仕事で、石和梅子という老女を尾行したところ、梅子と木造の古いアパート〈ブルーレイク・フラット〉の住人・青沼ミツエの喧嘩に巻き込まれ、怪我を負ってしまう。 住み慣れた調布市のシェアハウスを建て替えのため引っ越さなくてはならなくなった葉村は、青沼ミツエの申し出で〈ブルーレイク・フラット〉に移り住むことになるが、そこでは思いもかけぬサバイバル生活が待っていた。ミツエの孫・ヒロトと父の光貴は八ヶ月前に交通事故に会い、光貴は死に、生き残ったヒロトも重傷を負った。事故の前後の記憶をなくしたヒロトは、なぜ自分がその場所に父といたのか調べてほしいと晶に頼む。 その数日後、〈ブルーレイク・フラット〉は火事になり、ミツエとヒロトは死んでしまう……。 解説・戸川安宣 前作「静かな炎天」は文庫書き下ろしながら、「このミス」2位とミステリランキングでも好調、「読書芸人」のカズレーザーや、のん(能年玲奈)も絶賛など、話題になりました。 【2018年12月追記】「このミス」3位、「週刊文春」6位、「ミステリが読みたい」5位にランクインしました!
ファンドマネージャーとして活躍していた深尾真司は、2008年に起きた世界的な金融危機ですべてを失い、コンビニの雇われ店長として働いていた。ある日、そのコンビニで行き倒れていた彩弓という女性を助け、彼女に亡くなった自分の娘の姿を投影した深尾は、面倒を見ることに。彩弓は将来を嘱望されたバイオリニストだったが、病を抱えて右手の神経を失おうとしていた。彼女を救うべく深尾は、かつて憎しみさえ抱いた金融市場に再び飛び込んでいくことにーー。 リーマンショックから今年で10年。経済小説の旗手が挑んだ「生への物語」。
元銀幕の大スター・片桐大三郎(現芸能プロ社長)の趣味は、犯罪捜査に首を突っ込むこと。その卓越した推理力と遠慮を知らない行動力、濃すぎる大きな顔面で事件の核心にぐいぐい迫る。聴力を失った大三郎の耳代わりを務めるのは若き付き人・野々瀬乃枝。この絶妙なコンビが大活躍する最高にコミカルで抱腹絶倒のミステリー!
鬼九郎は己を狙う“敵”と対決するため、柳生十兵衛、荒木又右衛門、幡随院長兵衛ら仲間とともに京に向けて出立する。だが一行の行く手に、敵の命を受けた風魔衆が次々と立ちふさがるー。高貴な出自であるからこそ、政争の具とならざるを得なかった鬼九郎の運命は!?絶好調の時代活劇シリーズ完結編。
私は東大生の将来をダメにした勘違い女なの? 深夜のマンションで起こった東大生5人による強制わいせつ事件。非難されたのはなぜか被害者の女子大生だった。 現実に起こった事件に着想を得た衝撃の書き下ろし「非さわやか100%青春小説」! 横浜市郊外のごくふつうの家庭で育った神立美咲は女子大に進学する。渋谷区広尾の申し分のない環境で育った竹内つばさは、東京大学理科1類に進学した。横浜のオクフェスの夜、ふたりが出会い、ひと目で恋に落ちたはずだった。しかし、人々の妬み、劣等感、格差意識が交錯し、東大生5人によるおぞましい事件につながってゆく。 被害者の美咲がなぜ、「前途ある東大生より、バカ大学のおまえが逮捕されたほうが日本に有益」「この女、被害者がじゃなくて、自称被害者です。尻軽の勘違い女です」とまで、ネットで叩かれなければならなかったのか。 「わいせつ事件」の背景に隠された、学歴格差、スクールカースト、男女のコンプレックス、理系VS文系……。内なる日本人の差別意識をえぐり、とことん切なくて胸が苦しくなる「事実を越えた真実」。すべての東大関係者と、東大生や東大OBOGによって嫌な思いをした人々に。娘や息子を悲惨な事件から守りたいすべての保護者に。スクールカーストに苦しんだことがある人に。恋人ができなくて悩む女性と男性に。 この作品は彼女と彼らの物語であると同時に、私たちの物語です。