出版社 : 文藝春秋
羽田融はヒップホップに夢中な北鎌倉学院高校二年生。矢田部研吾はアルコール依存症で失職、今は警備員をしながら同校剣道部のコーチを務める。友人に道場に引っ張られ、渋々竹刀を握った融の姿に、研吾は「殺人刀」の遣い手と懼れられた父・将造と同じ天性の剣士を見た。剣豪小説の新時代を切り拓いた傑作。
「紅雲町珈琲屋こよみ」の著者が放つ書き下ろしサスペンス! タクシードライバーの千春には、正当防衛で人を殺した過去があった。ある日、客の小学生の行方が分からなくなり、千春にも疑いが…。
猟奇殺人の犯人が捕まった。陪審員の理解は得られず、男は凶悪犯の巣窟・孤島の牢獄アルカトラズへと送られる。折しも第二次世界大戦の暗雲が垂れ込め始めたその時期、囚人たちの焦燥は募り、やがて脱獄劇に巻き込まれた男は信じられない世界に迷い込む。島田荘司にしか紡げない、天衣無縫のタペストリー。
俳優、放浪藝の研究者、エッセイスト、俳人、そしてラジオ・パーソナリティとしての磨き抜かれた話藝。「小沢昭一的こころ」の筋書作家をつとめた著者が、“異能の人”の藝と人生に迫る。
ファンドマネジャーとして活躍していた深尾真司は、2008年に起きた世界的な金融危機に見舞われ全てを失い、コンビニの雇われ店長として働いていた。ある日コンビニで、彩弓と名乗る行き倒れの女を助ける。トラブルの種を抱え辟易とする深尾だが、不思議な昆虫「ナナフシ」のような細い肢体と切なさを持つ彩弓に亡くなった自分の娘の姿を重ね、彼女の面倒を見ようとする。彩弓は将来を嘱望されたバイオリニストだったが、病を抱え、右手の神経を失おうとしていた。「もう、目の前で大切な人を失いたくない」自らの全てと引き換えにでも彩弓の命と右手を救おうとした深尾は、かつて憎しみさえも抱いた金融市場に、ふたたび身を委ねることを決意するー。著者初の人間ドラマ!
「愛するべき日々に愛することを怠ったことの、代償は小さくない」 長年連れ添った妻・夏子を突然のバス事故で失った、人気作家の津村啓。 悲しさを“演じる”ことしかできなかった津村は、 同じ事故で母親を失った一家と出会い、はじめて夏子と向き合い始めるが…。 突然家族を失った者たちは、どのように人生を取り戻すのか。 人間の関係の幸福と不確かさを描いた感動の物語。
田中英光の作に出会い、人生が変わりゆく10代最後の日々。優れた小説が甦えらしめた少年の日の追憶。花冷えの夜道を歩いてひとときの幻影を追い、原稿用紙の束を前に呻吟するー平成の無頼派、筆色冴えわたる新境地!「私小説の救世主」の最新6短篇。
日本初となる反射望遠鏡や筆ペン「懐中筆」、照明器具「玉燈」を作ったのは、江戸時代の鉄砲鍛冶・国友一貫斎だった! 従来の火縄銃づくりにとどまらず、空気銃や弩弓も製造、さらには空を飛ぶ船や潜水艦の建造まで思いを巡らせたという一貫斎はいかなる 人物だったのでしょうか? 物語は村の訴訟に関わったため、一貫斎が近江国友村から江戸にやってきたところから始まります。好奇心旺盛な一貫斎は、江戸で大名をはじめ各藩の鉄砲方や職人たちと交わり、見分を広めます。そして創意工夫の精神に富み「仕事が生きる楽しみ」の一貫斎は、鉄砲鍛冶の矜持を保ちながら、度重なる失敗にもめげず、発明家としての才能も発揮してゆきます。やがて長くなった江戸の滞在を終え、村へ帰った一貫斎は、疲弊した村を救おうと、あらためてものづくりのことを考えるのでしたーー。 どうすればものづくりを通して「夢をまことに」することができるのか? 仕事とものづくりの喜びを国友一貫斎の生涯を通して描いた、山本兼一最後の傑作長編小説。
赤道直下の熱帯雨林、地上四十メートルの林冠部が〈カナピウム〉と名付けられた未来。 豊かなる生態系を誇る樹上には、多彩な生物が集まっていた。生命の坩堝たるこの場所で生きる少女たちは、枝から枝へしなやかに跳ぶーー。やがて〈巡りの者〉と出会った少女たちは恋を知り、ともに森を襲う試練と闘っていく。 日本SF大賞を受賞したSF巨編『華竜の宮』で人類滅亡の危機と闘いもがく人々を描き話題を呼んだ著者が初めて紡ぐ、たおやかなる少女のビルドゥングスロマン。 イラストレーション:鈴木康士
卓抜した想像力が放つ現実とシームレスな異界。“黒バドニッツ”がスパークする傑作短篇集。あなたの世界にしのびこみ、根底から揺さぶりをかける12篇の極彩色の夢。
二〇一二年のミステリー二冠! 究極の警察小説登場! 昭和64年に起きたD県警史上最悪の事件を巡り警務部と刑事部が全面戦争に突入。その狭間に落ちた広報官・三上は己の真を問われる。
記者クラブとの軋轢、ロクヨンをめぐる刑事部と警務部の全面戦争。その狭間でD県警が抱える爆弾を突き止めた三上は、長官視察の本当の目的を知り、己の真を問われる。そして視察前日、最大の危機に瀕したD県警をさらに揺るがす事件がー。驚愕、怒涛の展開、感涙の結末。ミステリベスト二冠、一気読み必至の究極の警察小説。
新シリーズ、ますます好調の第二弾! 研ぎ仕事中の小籐次を拝む人が続出。小籐次は困惑するが、その裏で糸を引く者がいるようだ。誰が、なんの目的で? シリーズ第二弾!
仕事はバリバリ、スタイルだって顔だって悪くないのに、なぜか恋愛がうまくいかない29歳の岡部智香。あだ名は、デートでいい雰囲気になっても最後までいけない“ヤリスン”。仲良しアラサー4人組で、理想の結婚を目指して合コンをくり返すのだが…。働く女性たちのリアルな泣き笑いを描く婚活エンタメ決定版!
芝神明宮のほど近く、「風待ち小路」には小さな店が集まっている。絵草紙屋の旦那は不甲斐ない息子に気をもみ、生薬屋の内儀は夫の女遊びに悩む日々だ。しかも近所に新しく商店街ができ、客足が遠のいている。そこで若い跡取り連中は、町のためにあることを企てるが…。直木賞候補にもなった、時代小説の逸品。
魏の曹操との決戦を前に、呉と同盟を組もとうする劉備軍団。しかし豪族連合の呉は、戦うか降るかでオジキ達の議論が紛糾、カシラの孫権もまとめられない。さらに呉の美しき軍指揮官・周瑜は、変態軍師・孔明に殺意を抱きー。こんなことで赤壁に勝利を刻むことができるのか?いまヤバイ酒見版「三国志」第参部!