出版社 : 文藝春秋
ロシア沿海州に開拓農民として入植した小條夫妻の次男・登志矢は、技能を身につけようと帝室鉄道少年工科学校で学び、鉄道技能士となった。だが世界大戦のさなか、帝国軍に徴兵され前線へと向かう。なんとか激戦を生き延び復員した登志矢だったが、帝国には革命の嵐が吹き荒れ、やがて登志矢もいやおうなしに飲み込まれていく…。悲嘆、憤怒、そして憎悪が、運命に翻弄された男を突き動かす!
あらゆる生物が樹海でしか生きられなくなった、とある未来の終末惑星。巨大生物にさらわれた少年スオウの目の前に、航空機に乗った謎の男が現れてー?あなたのココロの12歳が騒ぎ出す!?シーナSF最新作。
父の身体には、たくさんの銃弾が残した傷があるー。エドガー賞最優秀長編賞最終候補。みずみずしい感動を呼ぶ傑作ミステリー。12歳の少女ルーは、父とともに亡き母の故郷に移り住んだ。それまでは父とふたり、各地を転々としながら暮らしてきたが、娘に真っ当な暮らしをさせようと、父サミュエルは漁師として働くことを決めたのだ。しかし母方の祖母は父娘に会おうとしない。母はなぜ死んだのか。自分が生まれる前、両親はどんなふうに生きてきたのか。父の身体に刻まれた弾傷はどうしてできたのか。真相は彼女が考える以上に重く、その因縁が父娘に忍び寄りつつあった…。ティーンとしていじめや恋愛を経験して成長してゆくルーの物語と、サミュエルを撃った弾丸にまつわる過去の断章を交互に語り、緊迫のクライム・サスペンスと雄大なロード・ノヴェル、鮮烈な青春小説と美しい自然の物語を完璧に融合させ、全米各紙誌の絶賛を浴びた傑作。
真っ白な雪と、死体。遠ざけたはずの過去ー40年前のあの日、本当は何があったのか。いまになって届いた友からの謎かけが、元刑事の魂を、揺り動かす。長野県上田市と松本市、そして東京を舞台に紡がれる暗号ミステリーは、40年の時を経て、真実へとひと走る。友情をあきらめなかった男たちの物語。
料理嫌いな優花は、ずっと好きだった真島に高級バレンタインチョコを渡すも「好きな人に手作りチョコをもらったから」と振られてしまう。真島が憧れていた相手は料理教室の先生だった。その日から、彼女の格闘と迷走が始まった!自炊に挑戦し、料理男子と合コンし、初めて「みりん」を購入するも料理が上達するどころか好きにもなれずに苦悩する日々。“料理は愛情”というけれど、料理が嫌いな優花の愛情は一体どこにー!?
キャッシーと呼ばれる一人のいじめられっ子少女がある地方都市にいた。アイドルの存在を救いとして、自らなりたいと強く憧れる。彼女に不思議な“ちから”が宿り、遂にその夢は叶う。運命の渦に飲み込まれそうになりながら、人々との出会いと別れ、さまざまなドラマを経て、巨大なクライマックスに向かっていくのだった。キャッシーの運命は…
高平君がうちに来て、涙ながらにいなくなった猫の話をはじめた、聞けば聞くほど私が外で世話していたキャシーそっくりだった。高平君のレディはみつかるか?ささやかな命の輝きを刻む小説集。
元外交官の妻として裕福な生活を送る殷殷は、フィットネスジムのインストラクター、パンに惹かれていく。少数民族の出身で、眉目秀麗な彼ーパンの、色白の肌の下に潜んだしなやかな筋肉に直接触れたいという欲望を、殷殷は抑えきれないでいた。そしてある夜、パンを別荘に招いた殷殷は、彼に眠り薬を盛るのだった…川端康成『眠れる美女』を裏返した、年下男性との官能の世界。台湾女性作家が描く禁断の愛。
大分県杵築市では幻想的な光に包まれる「観月祭」の開催を前に、街は活気に満ちていた。しかし、祭りの一週間前、地元の名産品七島藺作家の波田野七海が突如襲われる事件が発生する。その翌日には、七海の顔なじみのパン屋の妻が絞殺体で発見される。さらにこの殺人事件と時を同じくして、東京の多摩川沿いで首なし死体が見つかる…。圧巻の警察小説。
彫刻の縮小模型、蔵に眠っていた屏風、デッドストックのアロハ…こいつは金になるー。だましだまされ、最後に笑うのは誰?著者の十八番、傑作美術ミステリー!価値を知らない素人に、親切を装って作品を売りさばく段取りをつけるがー「マケット」。阿漕なホストに画廊勤務の経験があると知り、美術品を使って罠を仕掛けるー「上代裂」。技術の粋を集めてヴィンテージ・アロハの精巧な偽物を作るがー「ヒタチヤ ロイヤル」。資産家に偽物を掴ませた悪徳業者を懲らしめようと、ある策略をめぐらすー「乾隆御墨」。素人の蔵から重文級の屏風絵が出た。安く買いたたこうと芝居を打つがー「栖芳写し」。財荒難に陥った美術館が極秘に青銅器のコレクションを売るというー「鴬文六花形盒子」。
安藤広重「目黒太鼓橋夕日の岡」、歌川国政「五代目市川團十郎の暫」、歌川国貞「集女八景 粛湘夜雨」、鈴木春信「縁先物語」、葛飾北斎「百物語 さらやしき」、喜多川歌麿「深く忍恋」、東洲斎写楽「二世市川高麗蔵の亀屋忠兵衛と中山富三郎の梅川」。男と女。出会いと別れー。喜怒哀楽の表情を濃密に描いた感動作。浮世絵から生まれた七篇の物語。
交際相手に金品を貢がせ、練炭自殺に見せかけて殺害した牧村花音。平凡な容姿の彼女に、なぜ男たちは騙されたのか。友人を殺されたジャーナリスト・池尻淳之介は、真相を探るべく花音に近づくが…彼女の裁判は“花音劇場”と化し、傍聴に通う女性たちは「毒っ子倶楽部」を結成。花音は果たして、毒婦か?聖女か?裁判が辿り着く驚きの結末とは。「○○者」シリーズ6年ぶりの最新刊!
この扉の向こうに、秘密を抱えた旅人たちがいる。豪華寝台列車「ななつ星」の旅から生まれた5編の物語と2つの随想。ゆっくりと流れる時間の中、人は、それまで口にしたことのない言葉を語りだす。