出版社 : 文藝春秋
一見身勝手で不器用な明治の武人とそれに殉じた妻。「軍神」「烈婦」とたたえられた一組の夫婦の間に交錯した夫婦の愛憎を描き、秘められた真実の声を探る。巷間伝えられるように、妻静子は従容として死に就いたのか。膨大な資料をもとに、鋭い観察眼で新たな乃木夫妻像を作り上げた渡辺伝記文学の傑作。文芸春秋読者賞受賞作。
傲慢だが照れ屋で、冷淡そうだがその実優しい、沢山の秀れたところと困ったところをもった、それ故に雅気愛すべき一人の人間を感じていたのである。改めて希典に関する資料を読むうちに、その思いはいっそう深まったが、同時に希典のうしろで見え隠れする夫人の存在が気がかりになってきた。妻も夫とともに死を願ったのか?現在へ続く日本人の夫婦の姿を描く伝記文学。文芸春秋読者賞受賞。
検事が一転容疑者となる…。思いもかけぬ展開に、権勢欲、出世欲、金銭欲、所有欲、性欲、あらゆる欲望の渦巻く複雑な人間ドラマがあらわになり、意外な結末へとなだれこむ。歴史に残る法廷ミステリーの傑作というにとどまらず、制度そのものへの批判を含んだ社会小説としても評価された一級品。ハリソン・フォード主演で映画化。
根室本線を走る二両編成のミニ急行「ノサップ」が、広大な根釧原野のまんなかで列車強盗に襲われた。シーズンオフで乗客は少く、犯人の奪った金額は拍子ぬけするほどわずかなものだったー。今どきめずらしい列車強盗事件の裏にかくされた意外な犯意を、十津川警部が解明する、大好評のトラベル・ミステリー。
父さんと過ごした最初で最後のクリスマス。『あるクリスマス』の前年、トルーマン・カーポティは父を失っている。触れあうことの少ない父子だった。カポーティ自身、すでに酒とクスリに蝕まれていた。この作品の翌々年、彼はこの世を去る。最後にみる夢、だったのかもしれない。
大学時代の同人誌仲間・阿部からの誘いに応じ、矢代と妻の由紀は原田とそのフィアンセとともに、五年ぶりに水戸を訪れた。意外にも阿部は、やはり同人だった木下みどりと結婚していた。東北の温泉巡りをかねた旅が飯坂、天童とすすむにつれ、なぜか仲間が殺されてゆく。卒業後五年の歳月はそれぞれに何をもたらしたのか?