出版社 : 文藝春秋
僕たち一家の悩みは隣家の犬の鳴き声。そこでワナをしかけたのだが、予想もつかぬ展開に……。他に豪華絢爛「この子誰の子」「祝・殺人」などユーモア推理の名篇四作の競演。(北村薫)
時代劇専門チャンネルによる、オリジナル時代劇シリーズ『三屋清左衛門残日録』(主演・北大路欣也)が話題! 日残りて昏るるに未だ遠しーー。 家督をゆずり、隠居の身となった三屋清左衛門は、日録を記すことを自らに課した。 世間から隔てられた寂寥感、老いた身を襲う悔恨にさいなまれつつ、なお命をいとおしみ、力尽くす男の残された日々の輝きを描き、共感をよぶ傑作長篇小説。 文庫解説・丸元淑生
明治初年、京の茶道宗家・後之伴家は衰退し、その日の食事代にも事欠くほどの窮乏ぶりであった。家元も出奔してしまい、残された者たちは、まだ幼い家元を立て、必死の思いで苦難に立ち向かう。成長した家元は宗家再興を期して、東京に向かった。千利休を祖とする一族の愛憎の歴史を秀麗な筆致で描く。文芸春秋読者賞受賞。
明治四十年代、茶道宗家・後之伴家十三代家元の伴秀室と一族の苦闘により、後之伴家はようやく隆盛の時代を迎えようとしていた。十四代家元は仙台から才ある嫁を迎え、ますます繁栄をとげていくのであった。千利休を祖とする名族の、明治、大正期における孤高の歩みを余韻嫋々、香り高く謳う傑作長篇。文芸春秋読者賞受賞。
小説づくりの名工。端正緻密な小説世界。これこそ人生通の、大人の物語。日本人なら忘れがたい、愛惜さそう情趣のすべてがここにある。市井小説短篇。
「男の人が倒れている」一一〇番通報の女の声には妙ななまりがあったーー。裁判を通じて明らかにされる経済大国の底辺に生きる女たちの真摯な姿。感動の直木賞受賞作。(石和鷹)
高原の病院に様々な過去を背負った男たちの生と死が交錯してゆく。逝く者と残る者、心と心で交わす思いのたけのキャッチボール。--表題作の他、「冬への順応」「長い影」「ワカサギを釣る」収録。
雨の大川端を蛇の目をさして去って行く嫂佐江の後ろ姿を描いた光線画「東京新大橋雨中図」で好評を博した最後の木版浮世絵師小林清親は、もと御蔵屋敷の御勘定掛であった。彼の波瀾に充ちた半生と江戸から明治に移り変わる時代の流れ、風俗、そして庶民の生きざまをあざやかに描いた第100回直木賞受賞作。
都市に暮らす人々はいま、豊かな物質と過剰な情報の洪水の中で疲れきり、たしかな「自分」を見失っていはしないだろうか。「尋ね人の時間」は自分捜しの物語だ。失踪した鳥を探し求める鳥篭のように、失われたわれを求めて尋ねさすらうカメラマンと女子大生の哀しくも結ばれぬ関係ー。現代人の心の空洞を描く芥川賞受賞作。