出版社 : 文藝春秋
理由あって、都会から実家に戻った「私」は、年老いた母とペットのマルチーズと暮らしている。時どき立ち寄るペットショップの女主人・中山圭子は、犬や猫をあやしながら、さり気なく飼い主から話を聞き出すのが得意。圭子のもたらす情報が、「私」のどす黒い過去を甦らせるー。女が本当に怖くなる11の物語。
27歳、童貞、無職、全財産0円。笑いに狂った青年が、世界と正面衝突! “伝説のハガキ職人”による、心臓をぶっ叩く青春私小説。 21歳にして「ケータイ大喜利」でレジェンドの称号を獲得。「オールナイトニッポン」「伊集院光 深夜の馬鹿力」「バカサイ」「週刊少年ジャンプ」などで、他を圧倒する質と量で圧倒的な採用回数を誇り、「アメトーク」でも取り上げられる。いつしか彼は“伝説のハガキ職人”と呼ばれるようになる。 構成作家を志すも、“人間関係不得意”のため、挫折の繰り返し。命を削るように面白いネタを書くことに邁進する、貪欲なまでのストイックさ。恋と、挫折。やがて彼の頭の中に奇妙な「カイブツ」が棲みつき、主人公をときに叱咤し、ときに罵倒する。休むことのない内なるカイブツとの戦いの果て、主人公はいつしか「死」を想うようになる。 笑わせるか、死ぬか。 この主人公は、著者自身なのか、それとも頭の中のカイブツが生み出した妄想なのか? ツチヤタカユキの熱狂的な道行きが、いま紐解かれる。 単行本刊行後を濃厚に描いた「文庫版あとがき」を収録。出版によってメジャーな世界に一歩踏み出したことで、主人公(作者)の鬱屈は晴れる日がきたのか、それとも・・・? とどまることのない激情の発露が、読者の心に突き刺さる、感動の「最新章」。 1章 ケータイ大喜利レジェンドになるか死ぬか 2章 砂嵐のハガキ職人 3章 原子爆弾の恋 4章 燃え盛る屍 5章 堕落者落語 6章 死にたい夜を越えていく 文庫版あとがき
駆け出し芸人・綾小路きみまろは、雇われ支配人の多田や用心棒ヤクザの高橋に励まされてステージに立つ毎日。酔っ払い相手の漫談から、いつか売れる日を夢見るが…。70年代に花開いたキャバレーを舞台に綴る、笑いと哀愁とノスタルジー溢れる長編小説。
大晦日、実家に帰ると母がいなかった。息子の泉は、夜の公園でブランコに乗った母・百合子を見つける。それは母が息子を忘れていく、始まりの日だった。認知症と診断され、徐々に息子を忘れていく母を介護しながら、泉は母との思い出を蘇らせていく。ふたりで生きてきた親子には、どうしても消し去ることができない“事件”があった。母の記憶が失われていくなかで、泉は思い出す。あのとき「一度、母を失った」ことを。泉は封印されていた過去に、手をのばすー。現代において、失われていくもの、残り続けるものとは何か。すべてを忘れていく母が、思い出させてくれたこととは何か。
大ヒット和風ファンタジー「八咫烏シリーズ」第一部完結! 松本清張賞史上最年少受賞のデビュー作『烏に単は似合わない』から一巻ごとに 読者を魅了して成長してきたシリーズの第一部完結の第6巻。 八咫烏の一族が支配する異世界・山内を舞台に繰り広げられる、お后選び・権力争い・外敵の進入。大地震に襲われた山内で、100年前に閉ざされていた禁門がついに開かれた。 崩壊の予感が満ちる中、一族を統べる日嗣の御子・若宮は、失った記憶を取り戻すことができるのか。そして、人喰い猿との最終決戦に臨む参謀・雪哉のとった作戦とはーー。 一巻から周到に張り巡らされてきた伏線がすべて回収され、この世界の大いなる謎が驚愕とともに明かされるクライマックス。 大人気キャラの受難、神秘の謎とどんでん返しに驚愕した後に、 未知の感動が味わえる堂々完結の一冊。 巻末には、先輩の大作家・夢枕漠さんとの熱い対談を収録! 講談社コミック「烏に単は似合わない」第二巻も同時発売。 第一章 開門 第二章 断罪 第三章 治癒 第四章 迷走 第五章 完遂 終章 こぼれ種
結婚して三年ほどの三十歳の主婦、初美。編集者の夫とは仲が良く、優しい彼に不満はないが、夜の営みが間遠に。欲求不満で同級生の男と浮気をしそうになったり、義弟に妄想、浪人生を誘惑、果ては乳房を触診する女医にまで発情する始末。夫婦はエロさから遠ざかる? 幸せとセックスレスの両立は難しい? “セックスレス”という名のモンスターに挑む主婦は、禁断の果実をかじってしまうのか!? 解説 小橋めぐみ(女優)
スーパーでアルバイトをしながらいつかのスポットライトを夢見る売れないバンドマン。恋をした相手はピンサロ嬢。どうでもいいセックスや些細な暴力。逆走の果てに見つけたものはー。人気ロックバンド「クリープハイプ」のフロントマン尾崎世界観、渾身の初小説。書下ろしスピンオフ短篇「字慰」収録!
標高8000メートル峰が屹立するヒマラヤで、“魔の山”と畏怖されるナンガ・パルバット。立原祐二は、前人未到の冬季登頂に失敗、友人の倉本を失った。5年後、立原は、兄の雪辱に燃える倉本晴彦と共に、再び“魔の山”と対峙する。ロシアのパーティの不穏な動き、牙を剥く過酷な天候…。頂に立つのは誰か。
美しい利尻富士で、一人の会社員が不審死した。警察庁刑事局長の兄・陽一郎から内々に調査を頼まれた浅見光彦は利尻島を訪れ、ある女性から託されたメッセージを足がかりに調査を進めるがー。兄弟の思いは、“国”を動かすことができるのか。「日本人の覚悟」に迫る浅見の姿が熱い!内田康夫の代表作、渾身のミステリー!
武田の遺臣として、数多の主家を渡り歩いた御宿勘兵衛。武田家滅亡から、大坂の陣までー仕えた家が次々と滅びることから、「厄神」と忌み嫌われた男と、彼に関わった度し難い男たち。時代に迎合することなく、己の夢と覚悟を貫いた依田信蕃や久世但馬守など、気鋭の著者が描く、くせものたちの物語。
高校進学を諦め、舞妓になった彩葉、漁師の生き方に憧れる留子、ヤンキー仲間に一目おかれるマリエ、家業の神職を継ぎたい千夏、売れないご当地アイドルみゆき。次から次へと押し寄せる人生の選択肢に彼女たちが選んだ道とはー。まぶしくてちょっと甘酸っぱい5人の少女が紡ぎだす地方発青春エンタテインメント。
女子高生の唐坂和葉は17歳。隣のクラスの沢くんへの告白の返事は「まあいいよ」。いつもヘッドフォンをつけていて「ハブられている」クラスメイトの初岡と、沢の会話を聞きながら、いろいろ考える。いじめのこと、恋愛のこと、家族のこと。十代のめまぐるしく変化する日常と感情と思考を、圧倒的な文体で語る新感覚の小説。
夏を迎えた江戸深川。浪人、坂崎磐音の用心棒稼業は相も変わらぬ貧乏暇なし。同じ長屋に住む婀娜っぽい女を行き掛かりで助けたことで、思わぬ“女難”を招き、一騒動に。そんな折、今津屋の内儀お艶が倒れた。病気平癒を祈るため、相州・雨降山大山寺詣でに発った今津屋一行を襲う不逞の輩。危機に相対し、磐音の剣が唸る!
おこんの慰労をという今津屋の心遣いで海晏寺まで紅葉狩りに出かけた磐音たち。美しい景色に心を奪われたその席で狼藉を働く直参旗本たちに出くわす。おこんに目をつけた旗本たちは、江戸市中に戻った後にも、難癖をつけてくる。後日、狐火見物に出かけた折にも、おこんの身に危険が迫り…。磐音の豪剣と知恵が冴えわたる!
どうぞ、王子さまの魔法にかかってくださいーー シルヴァスタイン作の絵本『ぼくを探しに』の翻訳などで知られる作家・倉橋由美子の名訳が光る、世界に愛される物語。 『星の王子さま』の著者・サン=テグジュペリによる愛らしいイラストは、カラーで掲載。ルビも増量し、読みやすい体裁でお子さまにもオススメです。美しい特別装丁版となっていますので、贈りものにもぜひどうぞ。作家の小川糸さんは、本書の解説で「もしも無人島に一冊だけ本を持っていくとしたら、私は迷わず『星の王子さま』をリュックに入れようと決めている」と綴られています。読む度に味わい深く、新しい気づきをもたらしてくれる名作です。 「ねえ、お願い……羊の絵を描いて」不時着した砂漠で私に声をかけていたのは、別の星からやってきた王子さまだった。王子さまとやりとりを重ねるうちに、私の胸に去来したものとはーー。1943年の刊行以来、世界中を魅了し続けている名作。 解説・古屋美登里、小川糸 誉れ高い美しい名訳をぜひ味わってみてください。