出版社 : 文藝春秋
昭和四十三年、京都国立近代美術館からロートレックの名画「マルセル」が忽然と消えた。亡父・謙吉がこの事件を執拗に追っていたと知った新聞社文化部の瀬川千晶は、四十余年前の謎に導かれるまま、神戸、京都、パリで、家族の驚くべき真実と出会う。実在の未解決事件をテーマにした、芳醇なる絵画ミステリ。
「孤愁」とは、「愛するものの不在により引き起こされる胸の疼くような思いや懐かしさ」のこと。ポルトガルの外交官モラエスは、明治後期に来日、日本の自然、文化、女性を愛し、その著作で、日本の素晴しさ、日本人の美徳を世界に知らしめた。父・新田次郎の未完の絶筆を息子・藤原正彦が書き継いだ力作評伝。
戦国の世、井伊家を背負って立った女がいた 徳川四天王・井伊直政の養母、直虎。彼女は先を視る不思議な力を持っていた。戦国の世に領主となった女の熾烈な一生を描いた渾身作。
本当に、私たちが幸せになることを望んでる?恋愛禁止、スルースキル、炎上、特典商法、握手会、卒業…発生し、あっという間に市民権を得たアイドルを取りまく言葉たち。それらを突き詰めるうちに見えてくるものとはー。「現代のアイドル」を見つめつづけてきた著者が、満を持して放つ傑作長編。
奇才の画家・若冲が生涯挑んだものとはーー 今年、生誕300年を迎え、益々注目される画人・伊藤若冲。緻密すぎる構図や大胆な題材、新たな手法で周囲を圧倒した天才は、いったい何ゆえにあれほど鮮麗で、奇抜な構図の作品を世に送り出したのか? デビュー作でいきなり中山義秀賞、次作で新田次郎賞を射止めた注目の作者・澤田瞳子は、そのバックグラウンドを残された作品と史実から丁寧に読み解いていく。 底知れぬ悩みと姿を見せぬ永遠の好敵手ーー当時の京の都の様子や、池大雅、円山応挙、与謝蕪村、谷文晁、市川君圭ら同時代に活躍した画師たちの生き様も交えつつ、次々に作品を生み出していった唯一無二の画師の生涯を徹底して描いた、芸術小説の白眉といえる傑作だ。
いま、そこにある個人情報の危機を描く警察小説 行政サービスの民間委託プロジェクトを進めるエンジニアが誘拐された。サイバー犯罪捜査官とはぐれ者ハッカーのコンビが個人情報の闇に挑む。
若手刑事・小山田聡介は『八王子署の椿姫』こと椿木綾乃警部(39歳独身)に蹴られることをこの上ない楽しみとするドMの(実は)キレ者。彼がおもむく殺人現場にたびたび現れる謎の「家政婦」美少女の正体は、実は魔法使い「マリィ」-。本格ミステリと魔法がまさかの融合を遂げた、新シリーズ第一弾!
芥川賞作家が贈る脱力ミステリ、夏の事件簿登場 ザリガニを釣って食用とする赤貧生活を送る准教授クワコーを見舞った2つの怪事件。答案用紙と女子大生の水着はなぜ消失したのか?
腕利きの鏡磨ぎである梟助じいさんは、落語や書物などの圧倒的な教養があり、人あたりもさわやか。さまざまな階級の家に入り込み、おもしろい話を披露し、ときにはあざやかに謎をときます。薀蓄は幅広く、情はどこまでも深い。このじいさんの正体やいかに…。江戸の“大人”を描く、待望の新シリーズ誕生!