出版社 : 新人物往来社
1917年4月、ロシア革命の動乱下、トボリスクに幽閉された皇帝ニコライ2世を救出し、“シベリア国家”を樹立すべく日英共同の作戦が立案される。この作戦の打ち合わせのため英国情報部からサマセット・モームが来日。参謀本部第1部長宇垣一成は、日本側の救出隊の隊長に、ハルビン特務機関員でロシア語に堪能な志摩薩之介中尉を選ぶ。そして、この救出隊は姫路の“陸軍懲治隊”の者で編成することを志摩に命じる。“陸軍懲治隊”とは、不良卒ばかりを集めた最低にして最強の囚人部隊である。2カ月の猛訓練の後、志摩を隊長とする1行8名は極寒のシベリアへ…。第5回サントリーミステリー大賞・読者賞のダブル受賞の気鋭が放つ渾身の長編歴史ロマン。
日本赤十字社の社員として大陸に渡った志摩たち救出隊は、オムスク駅で日本大使館補芦田均の出迎えを受け、英国側と作戦を練り直すため、モスクワに向かう。ペトログラードでは、レーニンによって指揮されたボルシェビキが武装峰起、臨時政府を倒して政権を掌握した。一方、元秘密警察の調査部次長ワシリー・イワノフは、甥のゲンリヒ・ヤーダとともに怪僧ラスプーチンが秘匿したというロマノフ王朝の厖大な財宝を手に入れるべく、皇帝一家が幽閉されているトボリスクへ…。果たしてニコライ2世救出は成るか?財宝は誰の手に!シベリアを舞台に息づく間もなく展開する救出行!第5回サントリーミステリー大賞・読者賞のダブル受賞の気鋭が放つ本年度最高の話題作。
明治39年3月25日、米国の富豪ヘンリー・ジフの来日を機に中国の古美術に詳しい一人の老漢学者が失踪した。黒岩涙香の命によりシフの来日目的をさぐる「万朝報」の記者・天童晋介の前に陸軍参謀本部の影が…。シフと接触を図ろうとする功刀参謀本部少佐。そして参謀本部の裏文庫の地下に秘匿されている中国の古美術品の数々…。虹家コレクションとよばれるこの古美術品をめぐって次々におこる殺人事件。虹家コレクションとはいったい何か。その秘密とは…。中国の古美術の謎に挑む気鋭の長篇歴史ミステリー。
日本人傭兵たちの愛憎と死闘!鎖国下の17世紀半ば、台湾のゼーランジャ城をめぐって戦いを繰り広げるオランダ軍と鄭成功軍。故国を捨て、それぞれの軍に雇われている日本人傭兵たちの相剋と生きざまを描く気鋭の長篇力作!
正宗・吉光・義弘の三振りの宝刀に刻まれた謎の文字。御三家の命運を左右する黄金の埋蔵場所は…。尾張・紀州・水戸、そして幕府探索奉行の決死の戦いが繰り広げられていく…。息つく間もなく展開する気鋭の力作長篇!
父信虎を追放してその領国体制を無傷で引き継いだ若き信玄は、文武両道に通じたエリートであり、源頼朝のように謀略性に富み、粘り強く且つ慎重な性格で、複雑な思考の持主であった。諏訪攻めを手始めに信濃全土の征服に向かって合戦を繰り返し、ついに越後の謙信と対決することとなった。この「信玄の巻(上)」は、諏訪攻めから川中島の大激戦前夜までを書いたものである。
戦国の英雄信玄は、当初、北国経由で上洛を考えていた。謙信と四つに組んだ理由もそこにある。しかし謙信を打ち破ることが出来ず、やむをえず方針を転換、駿河を攻めることとなった。だが、そこにもまた大きな障害があった。嫡男義信との対立・北条氏との同盟関係の崩壊がそれである。信玄は、その障害を無理に乗り越えていった。それは織田信長の動向に大いなるあせりを感じていたからである。合戦に明け暮れていた信玄は、三方ケ原の戦の後に四面を敵にしたまま陣没したが、このことが勝頼に過分の重荷を背負わせる結果となった。