出版社 : 新潮社
旋風とともに背後から襲い、喉を突き刺し、眼球を抉る。過去を忘れ、何もなかったように生きる者こそ、わが標的。そう、これは「狩り」なのだ…。朝もやにけむる街でジョギング中の男が惨殺された。死亡推定時刻は午前六時。総頸動脈、後頸部に深い創傷。頸部椎間板亀裂。左鎖骨部分骨折。眼球剥落。死因は外傷性ショック死。遺留品は殆どなく、凶器も不明。行き詰まる捜査の果てに、やがて浮かんできたものは。森に棲む者の復讐を描くサスペンス。第7回日本推理サスペンス大賞優秀作。
夫の恋人と称する若いモデルに対して、冷静にふるまい夫婦の愛情の危機を乗り越える年上の妻の心情「冬の梅」。戦争のさなか、隣家の若い人妻との秘められた青年時代の思いを回想する「十九歳」。やがてこの人生を去っていく老夫婦にとって、最後の秋のヨーロッパ旅行を私小説に仕上げた「ルーアンの木蔭」「ヒースの丘」など、人生の機微を淡々と綴った5編を収める短編遺作集。
ぼくはネス。家の裏山に隕石が落ちるまでは、赤い野球帽をかぶるふつうの野球少年だった。でもあの夜から、ぼくと仲間たちのとんでもない冒険が始まった。超能力を使う金髪の美少女ポーラ。メカに強い秀才ジェフ。そして神秘の国の王子プー。地球の未来を救うため、勇気と知恵と愛で巨大な敵に立ち向かう。糸井重里制作総指揮、帰ってきた名作RPG感動巨編オリジナル小説化。
徳川の威光あまねき江戸の世に、天下の御用提灯も照らし出せない闇がある。泰平の盛りを誇る街並みに、夜の帳が降りるころ、人の心に棲む闇が、おもむろに目覚め蠢き出す。鼠小僧、天一坊、石川五右衛門ー憑かれたように騙り、盗み、殺す者たち、密やかに繰り広げられるうたかたの宴。その心の闇ゆえに、「悪党」と呼ばれた人間たちの人生の明暗を描く、アンソロジー第6巻。
ロンドンの会計士パトリックは、ボルドーのワイン工場不正経理を追及中、勤務する多国籍経理会社から一方的に解雇された。この不正に麻薬が絡んでいると知った彼は単身マドリードの密売ルートに潜入する。次第に浮かびあがってきたコロンビアの麻薬王は、少年の日、ゲルニカの惨劇を体験したバスク人だった…。世界各地を舞台に、迫真の描写で展開する、国際麻薬サスペンス巨篇。
巡り合いとすれ違いをくり返す日米の恋人同士の話「雨に打たれて」、日本文化の虜になり、吉祥寺に40年も暮す“ガイジン”の話「吉祥寺綺譚」、伝説的なビッグスターへのインタビューを任された新米雑誌記者の緊張と気後れを扱った「有紀子のためのブルース」など、爽やかでチャーミングな短編13編を収録する。大都市TOKYOを舞台に、生粋のニューヨーカーが描く大人の愛の物語。
なぜ父は猟銃で自らの頭を吹き飛ばしたのか。非業の死の背後に潜んでいたのはロンドンの“成長産業”金融界と麻薬ルートを牛耳る二人のマフィアの影だった。闇の人脈に復讐を誓った「わたし」は犯罪のスペシャリストを集め「報復チーム」を組織し、マフィアの重鎮を追いつめる罠を画策するのだが…。復讐サスペンスと金融小説双方の醍醐味を見事に盛りこんだ新進気鋭のデビュー作品。
実父と兄が対立する社内抗争に巻き込まれた晴生は、社を去らざるを得なくなるが、老いてなお盛んな実父はさらに晴生をその勢力下にからめとろうとする。奔流に逆らいながらも流されていく彼は、頽廃を秘めた年上の女性新聞記者や一途に思いつめる娘との恋愛に、動揺と安らぎを覚えつつ、老造型作家の世界に強く魅かれていく…。現代をみつめ、生の真実を問いかける、長編青春小説。
〈バラの傷〉から流れ出る血。雪の上に続く血の跡。傷口から流れる魂-コロンビアの小さな村にこだわってきた作家が、一転して、バルセロナ、ジュネーヴ、ローマ、パリといったヨーロッパの都市を舞台に、異国の地を訪れたラテンアメリカ人の孤独を、洗練された文体で描き、そのアイデンティティを模索する幻想小説集。
夢にも見るほど憧れて慕う良寛さまに差し上げようと、今日も日がな一日七彩の絹糸で手毬をかがる若き貞心尼。-17才の秋に医者に嫁いで5年、夫の急死で離縁され24才で出家した長岡藩士の娘、貞心が、70才の良寛にめぐり逢ったのは30才の時だった。行商のいなせな佐吉に恋慕をぶつけたくなる貞心のもうひとつの心の安らぎと、師弟の契りを結んだ最晩年の良寛との魂の交歓を描く。
30年前の東京に迷いこんだぼくは、好きになった女の子のために、1959年に留まることを選んだ。だが、その7年後の東京で、父親がとんでもない窮地におちいっていることを知って、1966年夏に再びタイムトリップした。ビートルズ来日公演の舞台裏で父親がかかわる“もうひとつの事件”とは。いまや伝説ともなったビートルズ来日の異様な熱気と興奮に包まれた“あの夏”の冒険物語。
民族の悲願、独立国家の樹立を求めて暗躍する中東の少数民族クルド。かつて共和国が成立した聖地マハバードに集結して武装蜂起を企む彼らだったが、直面する問題は武器の決定的な欠乏だった。クルドがその命運を託したのは謎の日本人“ハジ”。武器の密輪を生業とする男だ。“ハジ”は2万梃のカラシニコフAKMをホメイニ体制下のイランに無事運び込むことができるのか。山本周五郎賞受賞作。
機は熟した。運命の糸に操られるかのようにマハバードには様々な人間が集まっていた。革命防衛隊副部長のガマル・ウラディ、隊員のサミル・セイフ、クルド・ゲリラのハッサン・ヘルムート、過去を抱えた女シーリーン、そして二人の“ハジ”も。それぞれの思惑が絡み合い、マハバードは今、燃え上がるー冒険小説の第一人者が渾身の力を込めて描く壮大なる叙事詩。山本周五郎賞受賞作。
電車の車内で、あなたは何をしていますか。時間を持て余した時、誰もがふと見上げる中吊り。JR東日本の中吊りに連載されて話題となった19編の「中吊り小説」が遂に一冊になりました。吉本ばななから伊集院静まで、当代きっての人気作家達が描く、恋愛小説、幻想譚、コント、エッセイ、メルヘンなどなど。単行本収録の8編に、文庫化にあたり新たに11編を加えたお得な完全版です。
16世紀にインカの帝王が国外へ送り出した財宝。その所在を記した工芸品はイギリスの海賊の手に落ちるが、その船もジャングルの奥深くへと押し流された…。1998年、ペルー南部で潜水調査中に失踪した考古学者たちの救出に向かったピットらは、国際的美術品窃盗団が盗品を隠匿している洞穴を発見。いよいよ窃盗団、ゲリラ、FBI、合衆国関税局を巻き込む壮絶な闘いが始まった。
激しい先陣争いの末に、ピットらはインカの黄金の所在地を突き止める。だが、窃盗団はルディ・ガンとピットのガールフレンドである下院議員を人質に取り、黄金の搬出に成功する。一味の目的地はモロッコ。ピットとジョルディーノが人質の救出に駆けつけた頃には、黄金を積載した飛行機はすでに離陸していたが…。機略と体力の限りを尽くし、ピットが再び国際的陰謀に立ち向かう巨編。
かつては外人部隊で勇名を馳せたアメリカ人クリーシィも今や五十歳目前、虚無感に陥りかけていた。そんな彼が、とあるイタリア人実業家の令嬢ボディガードに雇われ、十一歳の少女との心の交流を通じて人生に希望をとり戻してゆく。だが娘は何者かに誘拐・惨殺されてしまった。怒りに燃えたクリーシィは、たったひとり復讐に立ちあがるークィネルのデビュー作、待望の登場。