出版社 : 新潮社
ロープが食いこんでねじれた首、飛び出たグロテスクな目ー。子どもばかりを狙う連続殺人犯「エディンバラの絞首人」。行き詰りをみせる捜査に焦った担当検事は、優秀だが、凶悪犯を殺害したため停職中の刑事マクモランに捜査への参加を命じた。マクモランは同様の手口の殺人を調べるうち、二十数年前の殺人事件との微かなつながりを追いはじめる…。緊迫感溢れるサイコ・サスペンス。
大川の流れるほとりの芸者屋に、住み込んだ女中・梨花。この花街に暮らす芸妓たちの慣習と、自堕落で打算のからみあう、くろうとの世界に、梨花は困じながらも、しろうとの女の生活感覚で、誠実に応えて、働き、そこに生きる人々に惹かれていく…。時代が大きく移り変わる中で、抗いながらも、流されていく花街の人々と、そこに身を置いた女性の生活を、細やかに描いて絶賛された長編小説。新潮社文学賞、日本芸術院賞受賞。
亡父の跡を継いで出版社社長を勤める四十歳の桂子さんは、夫の急逝に見舞われる。フロッピイに記憶された夫の遺言。彼との関係が疑われるどこか危うげな女たち。未亡人となった桂子さんの前に出現した謎の財界の大物と或るプロジェクトー。竹林の別荘、豪奢な邸宅、上流階級が集う秘密クラブで繰り広げられる濃密な〈交歓〉。華麗典雅な筆致で描く、知的刺激に満たち倉橋ワールド。
あたしの名前は向井典子、13歳。母さんが、あたしを妊娠している時、父さんと別れたので、父親の顔は知らない。家では毎日、母さんにボコボコ殴られ、学校に行くと今度はクラスメイトにいじめられてばかり。だからいつも、校舎の屋上で一人で本を読んでいたんだけど、ある日、決心したんだ。みんなに復讐してやろうと。だって、あたしには、強い味方がいるんだぞ。文庫書下ろし。
360度人工の明りが目に入らないところ、そこが俺の休暇の土地さー。ネバダ砂漠でひとりバイクを乗りまわして、休暇を過ごす公認会計士との出会いを爽やかに描いた表題作。暴走族に因縁をつけられ、骨董もののシトロエン2CVで目隠しレースに臨む「チキンレース」。ほかに「元禄異種格闘技戦」「ボトムライン」「ご町内諜報戦」など、多彩なアイデアとスタイルがはじける第一作品集。
新宿のマンションで発見された若い女性・小室聖子の絞殺体は局所が無惨に切り刻まれていた。桑島刑事はその恋人を容疑者と断定し、顔も名前も割り出しながら、行方は全くつかめなかった。その一年数カ月後、今度は同じ手口で局所を傷つけられた男の絞殺体が見つかった…。男と女の性の妖しい深淵と、それにもてあそばれた者の悲劇を、本格ミステリーの手法でえぐり出した異色作。
オファレルは46歳のCIA暗殺工作員。妻には身分を偽り、他人の記憶に残ることを極力避ける。家族を愛し、酒はマティーニを一日一杯。週末には必ず車を洗う。そんな彼の原則が徐々に崩れ始めた。娘の離婚騒動、孫を襲った麻薬疑惑、そして殺人という行為への罪悪感…。だが、家族のためにもう一度だけやらねばならない。彼は最後の標的、駐英キューバ大使リベラの元へと向かった。
第二次大戦末期、ドイツ占領下のフランスの片田舎ではレジスタンス組織が不慮の壊滅を遂げ、アメリカの情報機関OSSによる秘密作戦も大失敗に終わった。内通者は誰か?そして〈オルレアンの鬼〉と恐れられたゲシュタポの幹部、クラウベルト大佐はどこへ姿を消したのか?裏切りと謎に満ちた野望のパズルに、英米の諜報活動に一族を捧げたレイルトン、ファーシングの両家が挑む。
〈交響曲〉作戦チームの計略で捕えられたソ連・NKVD将校のラミリズ・レイルトン。実兄キャスパーの苛烈な尋問によって明かされたのは独ソ両国の諜報活動をめぐる戦慄すべき事実だった。そしてついに暴かれる〈オルレアンの鬼〉の秘密ー。重要な鍵を握る工作員が次々に口を封じられるなか、〈交響曲〉チームはクラウベルトが残した暗号を解読、運命の街ニューヨークに集結した。
女性として初めて、英国秘密情報部の長官に昇りつめたダビナ・グレアムは、恋人と訪れたベニスで、アメリカの国防長官の爆殺事件に遭遇した。続いて、パリとワルシャワでも要人の暗殺が発生。恋人の裏切りに遇い、部内の権力闘争に晒される中、ダビナは秘密のベールに包まれた組織に迫る…。権謀渦巻く壮絶な情報戦をしたたかに生き抜く一人の女性の姿を描いた、シリーズ完結編。
2037年ヨーロッパは強大な経済力を誇っていた。世界で初めて人間のクローンの大量生産に成功したからだ。人間の姿をしながら頭脳の機能だけもたないヒト・クローンは、あらゆる産業に需要があり、そこからもたらされる莫大な利益は世界中から狙われていた…。集められた情報の断片から、ジグソーパスルのように浮かび上がる壮大な陰謀の構図。近未来世界の恐怖をスリリングに描く。
何だって上手くできそうで、何一つ上手くいかない16歳の夏。ニューヨークのハイスクールに通うビリーは倦怠感に苛まれていた。真面目一辺倒の教師達、始終セックスしているアホなクラスメイト。命令と質問しかできない疲れた両親。でも、年上の大学生アルフレッドだけは煌めいて見えた…。夏の匂いと、高まる皮膚感覚の中、同性愛という“至高の関係”を始めた二人の少年を描く。
人間と歴史への深い洞察たぐいまれなる想像力と諧謔味あふれる独自な語りによって中世風土のなかに極楽往生をねがい生をいとなんだ日本人のタマシイを現代に昇華させる梅原文学の扉が開かれた。
新任看護婦・規子が小耳に挾んだ「無脳症児」のひと言がきっかけだった。この病院で何か途方もないことが進行している-。周囲で頻々と起る奇妙な出来事、そして親しい者たちの死。涙の渇くひまもなく襲ってくる「臓器農場」からの魔の手。マッドサイエンスを食い止める者はいないのか…。本邦医学サスペンス史上随一の熱血小説。