出版社 : 新潮社
肥前佐賀の大名、鍋島直茂は関ヶ原の合戦で二股をかけた。初め西軍についた直茂は、家康の勝利を確信するや、豊臣方の立花宗茂を隣国・柳川城に攻め、領地安泰をはかったのである。その直茂が自らの墓碑に豊臣家への忠誠を表す「豊臣朝臣」の文字を刻んだ真意とは…。表題作「権謀の裏」をはじめ、武士の激しく哀しい生きざまと、内に秘められた思いを峻烈に描いた秀作10編を収録。
臨時党大会の最中、ゴルバチョフが狙撃された。党内保守派の「愛国者同盟」のメンバーは、ゴルバチョフが健康回復とともに党内の粛清に乗り出すことを恐れ、軍・KGBとともにクーデターにふみきった…。食糧危機、民族問題、労働者の反乱、権力の腐敗など、ペレストロイカの失敗の陰でロシヤが抱える恐るべき現実を、亡命作家トーポリが赤裸々に描く迫真のポリティカル・ノベル。
映画祭で賑うモスクワのホテルで、4人の男が毒殺される。被害者のひとりが取材していた映画関係者たちを結ぶ1本の線とは?事件は殺人というレベルを超え、大規模な同時多発テロ計画へと発展して行く。捜査陣をあざ笑うかのように跳梁する首謀者を追うロストニコフ。彼の胸には、自身と妻だけが知るある計画が秘められていたー。好評のロストニコフ捜査官シリーズ第3弾。
キングダムは、カナダとの国境に近い小さな田舎町です。13歳の「ぼく」の楽しみといえば、町を流れる川での鱒釣りと、雑音の多いラジオで野球の試合を聞くことくらいです。この町の教会に黒人の牧師が赴任してきました。しかし、この町の唯一の黒人となったアンドリュース牧師にとり、ここは決して暮しやすい町ではありませんでしたー。町の人々の生活や心情を生き生きと描く長編。
町の創立以来これといったできごともなかったキングダムで、旅回りのストリップ劇団に拾われてやって来た少女が、何者かに惨殺されるという事件が起きました。犯人として逮捕されたのはアンドリュース牧師。弁護士で「ぼく」の兄のチャーリーが、牧師の無実の罪を晴らすべく立ち上がりましたー。自然に恵まれた牧歌的な田舎町を舞台に、人々の寛容と偏見が共に描き出されていく。
一滴の血も流すことなく〈正義〉を貫くことは可能か?アンタミア標準暦4759年、一隻の星間連絡船が無人の惑星に漂着したことからドラマは始まった。銀河宇宙を舞台に絶対非暴力主義の行方を問う。第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。
ボルネオの森林保護区で働く西緑郎は、病院で死を前にした老人から封筒を託される。西は手紙と3カラットのダイヤが入ったそれを老人の従妹アイリーンに届けるが、2人は何者かの襲撃をうける。手紙は“マレーの虎”山下奉文の幻の財宝のありかを教えるものだったのだ。アイリーンの愛車ダッジ・チャレンジャーを駆って、マレー半島を舞台にすさまじいカー・チェイスが始まった。
ゲームの最中、突然マスコットガールに襲いかかったプロ野球選手・追分知之。元歌手を名乗り、制服姿の女性を次々と狙う連続殺人犯。そして大脳に障害を負った刑事・海藤兼作。精神科医・南川藍子は、深層心理や大脳に傷を持つ3人の男と関わり始める。さらに、藍子を付け狙う謎の人物の影が見え隠れしてー。最先端の精神医学の研究成果を大胆に取り入れた、長編異色ミステリー。
シャクリと呼ばれるポンプ・アクション6連発銃、ウインチェスター・M12。その銃を手にした男たちのそれぞれの生き方ー。自分の射撃スタイルに最後まで固執した選手、一人前の男として生きる姿勢を身をもって息子に教えた父、悪徳養豚業者と闘う陽気なマスター、スパイらしき男と闘争を余儀なくされた老人。銃が人手を巡り、生みだされた四つの切ない物語。ハードボイルド連作短編。
クルマの免許取り立てでデパートに買物に出た中年女性歯科医が、緊張のあまりいつしか帰路を見失い、二昼夜東京近県を彷徨う「ちりぢごく」。肥大化したブルドッグに悩まされる飼い主の滑稽と悲惨「死者の鼾き」。住宅展示場でまんまと一杯食わされた一家の嘆き「しあわせ家族」。他に「俗物行進曲」「銀輪の檻」「物いわぬ海」等々、昭和最後の鬼才が放つ恐怖のお楽しみバラエティ十二夜。
モスクワでの行動でKGB上層部に睨まれた捜査官アルカージは、シベリアに流された後、今はソビエトの北洋漁船「ポーラー・スター」号の船員として働いている。ところが、ある時、引き揚げた底引き網に女船員の死体が発見され、船長から徹底捜査を命じられるや、事件は果たせるかな、国際的な疑惑にまで広がって、深刻な様相を帯び始めた。映画化話題作「ゴーリキー・パーク」続編。
高級娼婦は死んでいた。自宅マンションの浴室で椅子に縛りつけられ、シャワーの熱湯を浴びせられてー。ニューヨーク市警の落ちこぼれ集団、遊軍部隊に所属する女性刑事エリー・クラインは相棒のナードンと共にこの事件の捜査に乗り出した。が、第二、第三の殺人が発生、捜査は難航する。多くを喪い、傷つきながらも、エリーが犯人を執拗に追いつめるまでを冷徹な筆致で描く警察小説。
ニューヨークの〈麻薬王〉チャドウィックの根城が何者かに襲撃された。ソビエト製の手榴弾が使われたことから、第7分署署長エプスタインは、事件の背後に大きな組織があるものとにらみ、ベテランの巡査部長ムードローに捜査を命じる。しぶしぶ引き受けた任務だったが、犯人たちに愛人を惨殺された時、ムードローの心に復讐の炎が燃え上がった。パワフルな大型警察小説の誕生。
目の前で新興宗教の教祖が焼け死んだ途端、俺の中に何かが飛び込んだ。そいつは「私は誰」「ここはどこ」と語りかける-信じがたい出来事が生み出す葛藤、不安、恐怖。焼死の謎、灼熱の恋、そして世界を一変させる衝撃の結末。斬新な発想と緻密な構成で描き切った、究極のミステリー!
異常な記憶力、超人的行動力によって、南方熊楠は生存中からすでに伝説の人物だった。明治19年渡米、独学で粘菌類の採集研究を進める。中南米を放浪後、ロンドン大英博物館に勤務、革命家孫文とも親交を結ぶ。帰国後は熊野の自然のなかにあって終生在野の学者たることを貫く。おびただしい論文、随筆、書簡や日記を辿りつつ、その生涯に秘められた天才の素顔をあますところなく描く。
横須賀の朝、高台の洋館で女の死体が発見された。そして、米軍桟橋沖に沈んだワーゲンからは男の死体が…。無関係に思える2人は、ロシア製の拳銃で射殺されていた。公安警察の怪しい影が見え隠れする、この事件の極秘調査を命じられた県警捜査1課の刑事・二村永爾が、真相に辿り着くまでを描いた表題作のほか、女優脅迫事件を巡る二村の活躍を描く「陽のあたる大通り」を収録。