出版社 : 新潮社
15年前、わずか一年で結婚生活に失敗して以来、ずっと独り身を続けてきた47歳の女性弁護士撩子。大学時代の友人に連れられていったホスト・クラブの化粧室で、撩子は、突然、唇を奪われた。相手は爽やかな笑顔の青年宮島ヒデジ。彼女は、ヒデの境遇を聞くうちに麻疹にかかったように、彼に一目惚れをしていた…。表題作を初め、大人の愛のかたちを描く5編を収める短編集。
フィリップ・フレッチャーは売れない中年俳優。ひょんなことから旧知の大スター、ゴードン・ワイルドと再会した彼は、仕事の口利きを頼む。ところがゴードンは悪罵の限りを尽くし、激情に駆られたフィリップは彼を殺害してしまう。警察の追及をかわす彼のもとには次々に仕事が舞い込み始めるが、昔馴染みも続々と彼の怒りを買う羽目になってー。元俳優が描く愉快な殺人回り舞台。
世界のダイヤ取引を支配する〈システム〉は、窮地に陥った。南アからの仕入れが滞り、在庫が底をついた時、救い主が現れた。シベリア産ダイヤだ。品質は一級、値段も一級。ロシア側交渉官のニコライは、卸し値引上げを通告したところだ。が、実は彼の心はヴィヴィアンで一杯、二人の出会いは衝撃的だった。彼女は贅沢が大好き、彼はお金には無縁…。いや、でも、ダイヤなら…。
猛吹雪の夜の21時15分、若き天才外科医シェリー・ライニッシュが、危篤状態でユニバーシティ病院に運びこまれた。意識はなく刺激反応なし。死因はアスピリン中毒による心肺機能不全。22時25分死亡。検屍は自殺。同僚のイブが、記憶の中の時計の針を逆にしてシェリーのすべてを思い出す。彼女が自殺する理由はない。そして、死の謎を追うイブに忍び寄る恐怖の影…。サスペンスロマン。
一度めは暗い船底に詰め込まれ、半死半生で連行された。二度めは日本人の女と夜陰に紛れて密航した。そして三度め-九州から釜山に届いた一通の手紙が、老境の男に朝鮮海峡を越えさせた。数十年を経ても拭い去れぬ痛恨の思いとは何なのか。朝鮮半島の側から、日本人の手で描かれた、限りなく熱い復讐物語。『モンテ・クリスト伯』に比すべき大巨編。血沸き肉躍る大河小説千枚。ナショナリズムの耐えられない軽さに悩む日本人に捧ぐ-。
私の髪を撫でる、その同じ指で、同じ腕で、彼女のことを抱くのですか?出会いから22歳の今日まで、私は彼だけをみつめ続けてきた。記憶の水底にたゆたう暗い予感におびえ、「同級生」という名の距離をみずからに課しながら。そんなある日、偶然ひき会わせた親友が、一瞬にして二人の歳月を飛び越え…。深く静かな水底のような恋を描く、初の書下ろし長編。
現代の侍になるんだ-。武士道精神に生きる混血児ヒロの父親を求める無垢な心情と行動と破滅。東西文化の融和は果たして可能か?軽いタッチで永遠のテーマに挑む異才の最新長編。
発端は、日本のブシドー精神の書物〈ハガクレ〉盗難事件の調査依頼だった。依頼人の態度は気に入らないが、白紙の小切手には魅力がある。早速、私立探偵コールは調査を開始するが、逆に依頼人の娘ミミが誘拐されてしまう。独自捜査を進めるうちに浮かんできた日系ヤクザの存在。ミミ誘拐の裏に隠された秘密とは?タフでクールな探偵コールが活躍するハードボイルド・シリーズ第二弾。
スペース・シャトルが謎の飛行物体によって爆破された。-これが戦慄の〈オメガ計画〉の烽火だった。アメリカ全土の経済と生活をコントロールするコンピュータの盲点を衝いて全情報を支配し、国家の転覆をはかる恐るべき計画。これを阻止すべく、ベトナム帰りの極秘情報機関〈ギャップ〉エージェント・マクラッケンは、単身で戦いを挑む。スーパー・ハードボイルドの新シリーズ。
港区海岸通りのアパートメントに住む25歳の作家-セイとササミの航海は、春の夜、始まった…恋人を想いながら過ごす日々に、家族と離れ友人に励まされながら働く日々に、自分を信じ続けるなら、きっとこの街は、ぼくらを裏切りはしない。東京を祖国に感じて暮らしている若者たちの青春を描いた、新しい世代の恋物語。
母親ダラが生前「ナタリーおばさん」と呼んでいた女性が殺害されたことに興味を持ったブリジットは、母親と親交のあった六人の人物を訪ねる。だが彼らの話を聞いていくうちに興味の中心は母親の生涯へと傾斜してゆく。-ダラはユーゴにチトーが凱旋してくる前夜に国を捨てた政治亡命者だった。混迷の時代を生きなければならなかった女性の過酷な生を慈しみをこめて描く長編。
昭和5年正月。経済恐慌のさなか、目前に迫る金解禁に向けて、大阪造幣局から東京日銀へ20円金貨10万枚、5円金貨40万枚、総重量3トン半の金貨の移送が決定された。強奪計画を練るグループと、受けて立つ鉄道省の警護陣。一方で警備担当の子供を誘拐し金貨を狙う一味。様々な思惑が絡み合う中、金貨を満載したC53が東海道をひた走る。金貨の行方は。渾身の長編ミステリー。