出版社 : 新潮社
ある法律事務所から破格の待遇で迎えられた青年弁護士マクディーアは、5人の前任者がそれぞれ不審な最後を遂げていることを知る。自分の身辺も常に監視されているような気が…。マクディーアの疑惑は深まる。全米50週連続ベストセラーの新人作家のサスペンス。
心理療法士の牧子は、失恋の痛みを忘れるために喧騒の東京を離れ、北海道の東の果て、森と湿原と海に囲まれた病院に勤務した。ギャンブル好きの一風変った寛大な堂福院長の開放病棟で、牧子は意欲的に働き、青年漁師の洋々との出会いに生きる喜びを再び全身に感じた。しかし、幸福な愛の時も束の間、海が彼の命を奪う。安らぎを求め強く生きようとする若い二人の純愛を描く長編。
ソーントーンの見習い魔女ジリオンは、瞳を封印され、山の館に戻れなくなっていた。青狼の毛皮をまとった王子と大海原をさまよううちに、二人は竜の部族の女戦士たちに囚われてしまう。その日からジリオンは、部族を救う巫女姫になることを求められるのだった。しかし、閉ざされた瞳は邪悪な石の瞳、いま、廃墟の城でその封印が解かれてしまった。好評の本格異世界冒険ファンタジー。
月夜の晩。都会を遠く離れ、海へとボートを漕ぎ出す男と女。うねりを乗り越えて波間にただよう二人は、しかし、恋人同士ではなかった…。(「うねり」)。夢と現実のあわいでつかのま触れあう男と女。そんな人々の、一瞬ではあるけれど確かにそこにあった思いを描いた抒情小説集。表題作「土星を見るひと」の他、「壁の蛇」「クックタウンの一日」「ボールド山に風が吹く」など計7編を収録。
1936年、ベルリン。オリンピックを間近に控えながらも、ナチ党の独裁に屈し、ユダヤ人への迫害が始まったこの街で、失踪人探しを仕事にするグンターに、鉄鋼王ジクスから調査の依頼が舞い込んだ。ジクスの一人娘とその夫が殺され、高価な首飾りが盗まれたという。グンターはナチ党政府高官だった娘婿の身近を洗い始めるが…。破局の予感に震える街を舞台に描く傑作ハードボイルド。
ローラとひとつ年下の弟のクレイは14歳の時に両親を交通事故で亡くした。異父兄のベンは幼い二人にも盗みを教えた。泥棒稼業もこれが最後と、ホテル一族のサリンジャー家に住み込むローラとクレイ。ホテル王サリンジャー・オウエルは孫娘以上にローラを愛し信頼し、彼女を後継者にと遺言して急死した。いま彼女の過去が暴かれた。愛しい婚約者ポールも失ったローラの運命は…。
サリンジャー家から追放され、裁判にも敗訴したローラは、オウエルの遺志を実現させようと立ち上がった。国際的金融王のウェスとの出会いがローラに、ホテル・ウーマンを確実に約束させていく。しかし、彼女はウェスの愛情に応じない。冷酷なまでのローラの権謀術数は成功し、オウエルの夢のホテルの所有を目前に窃盗事件が彼女を襲う。そしてポールとの再会に心が震えるローラ…。
いろいろ新しい宗教や信仰が、現在、さかんのようだが、それは、人間がつくった神で、祈ったからとて、何の力もない。他に神があるように説いて、信仰をすすめる者が多いが、それは、そう説く者の、私利、私欲によるもので、神とは全く関係ないので、愚かにも惑わされては、恥である…。神は、ただ大自然の親神しか、存在しない。書き下ろし長篇。
後白河院の策謀がうごめき、義経・頼朝が反目しあい、洛中に印地、凶徒、あやかしの者どもが跳梁する末法の世。おのれに幻術をかけ、愛しき百合根を殺した巫女を追う、古童子・阿古丸は、いつしか乱世の渦に呑みこまれていった…。京、熊野、鎌倉を舞台に血腥い風が吹きあれ、怪事、変事が続発する。伝奇小説の新境地をひらく傑作長篇。
イグニッションキーをひるねと、エンジンが吠え、ヘッドライトの両眼に灯が点ったー。ロータス・コーティナ、ヴァンデン・プラ・プリンセス1300、スカイラインGTB、キャディラック、ルノゥ5アルピーヌ、レインジ・ローヴァー、ダットサン510、フェラーリなど、14台の車には、同じ数だけのドラマがあった。様々なクルマと様々な人生が交錯する一瞬を鮮かに描いた14の傑作短編。
桜子とヤマトは、播州平野の小さな町で暮らす大学生。学生から社会人へのわずかに残された時間の中で、二人はあやふやな関係の答えを捜し始める。友達から恋人へ、たった30センチの距離を泳いでゆけない水槽の中の哀しい魚に心を託し、彼の本当の気持ちを探る桜子。三代続く女系家族の家で、自分らしく生きるために彼女が選んだ新しい道は…。22歳のせつないラヴ・ストーリー。
199*年、全体主義国家としてソ連は甦り、40年あまり前に立案されたユダヤ人追放計画を実行に移そうとしていたー。計画名は〈冬の宮殿〉。一方、元ナチス親衛隊将校はイスラム原理主義政権と結託し、ユダヤ人の完全抹殺という、かつて果たせなかった野望を遂げんとしていたー。計画名は〈ファル・ツィーオン〉。計画を察知したCIAは、元工作員サム・コールをモスクワに派遣する。
アリスンは演劇学校で女優を目指す20歳のニューヨーク娘。まるっきり違う人間になることが大好きな彼女に欠かせないものは、芝居とドラッグ、そしてセックスー。ボーイフレンドは山ほどいるけど、みんないいかげんだし、女友だちにも困らされてばっかり。やっとめぐり合えたディーンと純愛を育んでみようかなと思ったのに、やっぱりみんな、黙って見守ってはくれなかったー。
ウォール街の証券マン、ニックは、偶然巻き込まれた事故で突如“透明”になってしまった。透明になったら無限の自由が手に入ると思っているあなた、ちょっと待って下さい。透明な人生は決して楽ではありません。食事は?買物は?生活費は?でも見えても見えなくても、人は生きていかねばなりません。透明人間の苦難と哀しみの底から、不透明な現代が浮び上がってくる秀逸な作品。
安全なねぐらを求めてニューヨークの街をさまようニックの背後から、彼を万能のスパイとして利用しようとする秘密情報機関の魔手が迫る。透明人間には、仕事をし、食事をし、自宅で寛ぐというごく当り前の生活も許されないのか?それどころか、恋人と目を見つめあうことさえ不可能なのだ。苛酷な現実を、創意工夫と旺盛なチャレンジ精神で克服していく、透明なヒーローに拍手を。
古代マヤ文明展が引き金だったー。人類学者ケイトが「神への愛のため、生贅の首を斬り、背中の皮を剥ぐ」儀式について、メトロポリタン美術館で講演した同夜、儀式通りに殺人が起こった。偶然、この講演を聴いていたローク警部補は、生贅に指名されたケイトを護衛するが、いつしか二人はお互いに強く心惹かれていく。一方、数名にしぼられた容疑者は、次々と殺しの擬式の犠牲に…。
憤怒と憎悪が渦巻く荒廃した街、ブロンクス。その一角にあるラガーディア中学校で、黒人刑事による黒人生徒射殺事件が発生した。すでに死亡していた少女とともにトレーニングルームに立てこもっていた少年の動機は?刑事の正当性を主張する警察と、事なかれ主義を決め込む市当局を横目に、教え子を眼前で殺された教師ヒリヤーは真相糾明に立ち上がる。社会派小説の巨編、登場。
射殺された生徒が遺した詩にこめられたメッセージとは何か?そして死んでいた少女はなぜ下着を着けていなかったのか?必死に真相を探る教師ヒリヤーに、射殺した当人であるフランクス刑事も力を貸す。緊迫の度を加える中学校ではまたも生徒が殺害され、同級生たちが次々と拘引されていく。激情の塊となった生徒たちと警官隊が衝突するなか、ヒリヤーは真実に向かって疾走する。