出版社 : 新潮社
1956年、動乱に揺れる街ブダペストで、祖国を違える4人のスパイとひとりの女が関係した。そして生まれた娘、イローナ。誰が本当の父親なのかわからないまま14年の月日が流れ、美しく成長した娘と4人の“父親”は出会いの時を迎えた。しかし、娘が何者かに誘拐された。その道では百戦錬磨の男たちによる必死の救出作戦が始まった。異色のスパイ小説、世界に先駆けて日本版刊行。
空軍を退いたスティーブン・ゴールドは、父ハーマンが創設した〈ゴールド航空アンド運輸〉の経営に携わる。しかし、彼を待ち受けていたのは、謎の資本家による合法的乗っ取り計画だった。一方、空軍の特使として海軍の「トップ・ガン」に入隊したハーマンの孫ロビーは、特殊訓練の中で大きな挫折を味わっていた。ファミリーの誇り“金色の翼”は今再び大空をめざす。感動の完結編。
ニューヨーク画壇期待の新進画家にして、タロット占いの名手、さらにコンピュータ筋の裏仕事もこなす天才ハッカー“キッド”。彼が防衛産業界の巨魁から依頼されたのはライヴァル社の次期戦闘機開発プランをしっちゃかめっちゃかにすることだった。ヤバイとは知りつつ、失業記者・デイス、女泥棒・ルーエレンと組んでこのでっかいヤマを踏むキッド。彼は明日も無事ビールが飲めるか?
樹々の緑にいろどられ、雨の日には緑の島になる公園。都会のオアシスのようなこの場所に、あの人はきっといるはずだ、という確信がある…。少年野球のコーチ、夫に裏切られた女、高層マンションの1室にひとり暮す老婆、骨折したテニス青年、推理小説家の孤独なハイミス。さまざまな眼が織りなす“あの人”と私の物語。
昭和五十年暮、最後の元海軍大将が逝った。帝国海軍きっての知性といわれた井上成美である。彼は、終始無謀な対米戦争に批判的で、兵学校校長時代は英語教育廃止論をしりぞけ、敗戦前夜は一億玉砕を避けるべく終戦工作に身命を賭し、戦後は近所の子供たちに英語を教えながら清貧の生活を貫いた。「山本五十六」「米内光政」に続く、著者のライフワーク海軍提督三部作完結編。
美作国宮本村の牢人の子に生まれ、父の敵平田無二斎に養育された弁之助は、激しい独習を積んで無二斎に勝ち、宮本武蔵と名乗って武者修業の旅に出る。僧・沢庵の草庵に草鞋を脱いだ青年武蔵は、扶桑第一と称される吉岡道場の当主吉岡清十郎に挑戦した。剣聖でもなく、野人でもなく、ただ剣において勝つことのみにその生涯を費やした兵法者。独自の視点から武蔵を造形する長編。
当主清十郎を失い、さらにその弟伝七郎をも斃された吉岡道場は、一門を挙げて一乗寺下り松での決闘を武蔵に申し入れた。七十余人を敵に回して阿修羅と化した武蔵は、一刀一撃に渾身の殺気をこめて、次々に対手を斬り殺し、ついて勝利をおさめた。再び流浪の旅に出る武蔵。そのころ、武蔵の宿敵佐々木小次郎も、おのが剣名を上げるべく、四尺の長剣を背に、京・大坂を闊歩していた。
紀州山中で、仇敵の鎖鎌の名人宍戸梅軒を破った後、江戸に下った武蔵は、細川家家老長岡佐渡から、同家兵法師範となっていた佐々木小次郎との試合を所望され、九州へ赴く。対決はついに実現した。所は豊前長門の海門・船島。しかしその日、刻限を過ぎても武蔵は姿を現わさない。待つこと一刻、遅参に苛立つ小次郎の眼に漸く、沖合の波にもてあそばれる一艘の小舟が映った…。
とある地方の高校に伝わる奇妙なゲーム。三年に一度、学園祭で行われるそのゲームは、学校の運命を占えると言われていた。ゲームは一人の生徒によって行われる。その生徒は「サヨコ」と呼ばれ、十数年間、秘密裡に受け継がれていた。「六番目のサヨコ」の年、一人の転校生がやってくる。名前は津村沙世子。それは不慮の事故死を遂げた「二番目のサヨコ」と同じ名前だった。
シナとコナタが相まみえた時から遡ること数百年、ひとに寄生して心身を憎悪で満たし、破壊を招き、悲哀と嘆きを生む、いま一振りの『魔剣』があった。目にまばゆいその黄金の太刀を持つ者の名は牛若丸。奇しくも、同じ鞍馬山の山中に暮らす稚児であった。剣の導くまま、魔人・弁慶と巡り合い、数奇な運命に弄ばれる牛若丸の半生を描く、伝奇歴史ファンタジー第三部。
無個性な生き方はできない。しかし何かに成ることも嫌だ。どうせなら、遊び人らしく野垂れ死をしたいー。「暴飲暴食」「心臓破り」「傷は浅いが」…。五十代に入ったことをきっかけに書き始めた連作は、還暦を迎えて急逝する、そのわずか三カ月前に脱稿した表題作をもって、中絶した。予感するように死を意識した日々の心情を綴った本書は、まさしく著者の「白鳥の歌」であった。遺作短編集。
国際社会の秩序を乱す鬼っ子、日本を経済封鎖、完全占領せよー。巨額の貿易赤字と高失業率にあえぐアメリカは、ついに極秘プロジェクト「チェリー計画」を始動させた。孤立した日本に残された道は?計画をスクープした新聞記者・太刀一希の運命は?現役の国際派記者が、詳細なデータと的確な情勢分析に基づき、数年後に現実に起こり得るシナリオを提示する画期的ミステリー。
KGBの大物実力者カジンとマリクは、かつては親友同士だった。しかし顔を合わせなかった四十年間、カジンは憎いマリクを悲惨な目にあわせることと、KGBの指揮権を獲得するチャンスを狙っていた。マリクの息子ユーリは危険を察して罠を逃れたが、その時父親と上司カジンの間に隠された過去のあることに気づいた…。二大国の謀報組織を舞台に壮大な復讐戦が繰り広げられる。
莫大な賭博の借金を返すため、子供の人身売買に手を染めた男ー。だが、今回誘拐した子供は勝手が違った。人間ではない子供を誘拐してしまった男の破滅を描くキングの「ポプシー」。ベトナムで地獄を見た男の脳裏に焼きつく悪夢が実体化し、現実世界を戦場に変えてしまう、マキャモン「夜襲部隊」。その他に、ブロック、キャンベルなどモダンホラーの精鋭22人による戦慄の饗宴。
スターを夢見てハリウッドへやって来たアニーは、有力映画会社の大物社長カースに身体を要求され、酷い暴行をうける。失業率95パーセントの業界で、女優としての才能だけではやっていけないことを痛感したアニーは、名門演劇教室の生徒となり、着実にキャリアを積んでいく。そして大作「ミドナイト・アワー」に出演したいため、アメリカ映画界の寵児デイモンに接近を図る。
「ミドナイト・アワー」は大成功を収め、官能的なセックス・シンボルとして一躍ハリウッドのスターになったアニーだが、カースの妨害で新しい役につくことは困難だった…。恋人エリックとの愛と破局、そして、謎の高級娼婦クリスティーンとアニーとのあまりにも意外な関係。華麗なショー・ビジネスの世界を舞台に展開する、夢と野望、愛と復讐が織りなすラブ・サスペンス。
昼は北海道庁給仕、夜は夜間中学生。昭和18年4月、15歳の真柴仙吉少年の新たな生活が始まった。油絵、詩歌、バイオリン…。次第に芽生えていく芸術への憧れ、そして初恋。だが、悪化の一途をたどる戦況が少年の心を揺さぶる-。札幌を舞台に戦時下の青春を描いた表題作と、終戦後、シベリアで抑留され今なお戦争の傷痕を抱えながら、ひとり山奥の温泉の管理人を続ける老人を描いた「じねんじょ」の2篇を収録。