出版社 : 新潮社
時は21世紀、なお権勢を誇る元首相の邸宅に一人の青年が三十過ぎの男と共に乱入、声明文を読み上げると切腹した。事件の真相は謎に包まれたが、介錯され、胴体から切り離された青年テロリストの首は、最新の医療技術によって保存され、意識を取り戻す。首の世話を任された元首相の孫娘・舞と、首との奇妙な交流が始まった…。流麗な筆で描き出す、優雅で不気味な倉橋ワールド。
太平洋戦争も終りに近づいた昭和二十年三月、継ぎはぎだらけのマントをひるがえして、ひとりの老人が日米決戦の場に飛び立った。空を見よ。鳥だ!飛行機だ!いや〈大日本帝国スーパーマン〉宮本武兵衛だ!武兵衛と、クリプトン星人の風上にもおけないゴロツキの〈アメリカ・スーパーマン〉との、生命をかけた壮絶な戦いを描いた表題作をはじめ、荒唐無稽なユーモア小説三編を収録。
かつて、独立のためにイラク軍と戦ったクルド人の戦士ウル・ベグが、単身アメリカに潜入した。目的は、一度はクルドを支援しながら土壇場で裏切ったアメリカに復讐すること。標的は元国務長官ダンツィグ。事態を察知したCIAは、当時ウル・ベグを鍛え、ともに戦った元秘密工作員チャーディに白羽の矢を立てた。チャーディは、裏切りの借りを返すべく、ふたたび戦場に身を投じる。
チャーディは、かつてウル・ベグたちクルド人ゲリラと行動をともにしていた元恋人、ジョアンナに接触。情報収集のかたわら、ダンツィグ警護の任につく。一方、メキシコでは、若手工作員トレウィットが、ウル・ベグ密入国の謎を解く重大な手がかりを発見していた。標的に迫るウル・ベグ。見え隠れするKGBの影。背後に潜む巨大な陰謀とはなにか?著者渾身のスパイ・サスペンス巨編。
天才トレーダー、サイ・バナーマンが自宅のペントハウスから転落した。オプション取引決済の第三金曜日のことだった。自殺または事故死という警察の判定に、親友で共同経営者だったマックスは不審を抱く。高所恐怖所のサイがテラスに出たのはなぜか?直前に姿を消した客の正体は?やがてマックスの身辺にも謎の男の影が…。ウォール・ストリートの内幕を扱うサスペンス。
人気のない帝都の露地を徘徊する乱歩が出会った美しい謎の女。「生きているかのような押絵を抱いて夜汽車に乗っていた男」…。女の語る奇怪な話に魅かれ、女の素姓を探った乱歩の見たものは-。現実と交差するよう幻影の世界を、映画のように鮮かに描き、誰の心にもひそむ、妖しい願望を照らし出す、大型個性派新人の長篇デビュー作。
ドイツ空軍のヘルマン・ゴルトシュタイン軍曹は、腕ききのパイロットだった。彼は16機を撃墜した者に与えられる〈ブルー・マックス勲章〉をめざし、愛機フォッカーを駆って次々に敵機を葬っていった。しかし、16機を撃墜した彼に勲章は与えられなかった。ヘルマンがユダヤ人だからというのがその理由だった…。間もなく第1次大戦は終り、彼はドイツをあとに、アメリカに旅立つ。
アメリカに渡ったヘルマン・ゴルトシュタインは、ハーマン・ゴールドと名を変え、曲技飛行隊に入って活躍した。だが、野望を抱く彼は、メキシコからの酒の密輸で元手を稼ぎ、航空郵便事業を始める。ハーマンは順調に事業を伸ばし、ついには航空機の製造に乗り出していく…。航空機産業がまだ離陸したばかりのアメリカを舞台に、ひとりの男の大空に賭ける夢と情熱を描き大河小説。
1956年4月、ソ連共産党第一書記ニキタ・フルシチョフは初の英国訪問を実現しようとしていた。しかし英国側警備責任者に任じられたクリストファー・クレイトンとジャマイマ・ジェームスの前に、恐ろしい事実が明らかになった。白系ロシア人による暗殺計画が着々と進行しているのだ。フルシチョフを殺させるな!必死の警備作戦が始まった。忠実に基づく迫真のサスペンス長編。
フランスの田舎町の、ある一軒家の地下室で、赤ん坊の白骨体が見つかった。住んでいるのはまだ若い、その町の町長の息子ピアンセ夫妻。片足を引きずりながら、硬骨漢のデブール警部が地道な捜査に打ち込むが、精神のバランスを失いつつあるピアンセ夫人への脅迫も始まって…。スピード感あふれる独特の文体で描かれた心理サスペンス。第一回パトリシア・ハイスミス賞受賞作。
ボストンの老舗の紅茶会社テンプルトン・ティー社。その女社長ミネルバ・テンプルトンの80歳の誕生日に、16年前、従兄のトラビスとの結婚を反対され、喧嘩別れ同然にミネルバのもとを去っていった孫娘のデリラが帰ってきた。引退するミネルバの後継者の座を目指し、かつて愛しあっていたトラビスとデリラは激しく競いあう。ボストンの名門一家を舞台に描く、危険な愛と野望のドラマ。
トラビスとの愛を祖母に引き裂かれ、ひとりロサンゼルスに旅立ったデリラ。彼女はハーブティーの会社を設立し、祖母譲りの経営の才能を存分に発揮して、女実業家として大成功をおさめた。夫と死に別れ、成熟した大人の女性としてボストンに戻ってきたデリラの心は、危険なかおりをふりまく昔の恋人トラビスと彼女を優しく見守る彼の弟ニックとの間で激しく揺れ動く。愛の大河ロマン。
戦国時代、守りの哲学を以て、まさに侵略されんとする国々を救援、その城を難攻不落としていった謎の集団、墨子教団。その戦術とは、そして弱点は何だったか-。「後宮小説」に続き、中国のエッセンスを息もつかせぬエンターテイメントに作り上げた、若き鬼才・酒見賢一の新・中国小説。
大統領を暗殺せよ。日米開戦前夜、日独の秘密作戦が始まった。謀略の真相を知った特殊工作員と上海社交界の舞姫・マヌエラの数奇な運命を描く迫真のノンフィクション・ノベル。
ユダヤ系アメリカ人の作家と結婚した道子、2人の息子=15歳のジョンと13歳の脳障害のケン。南カリフォルニヤの真青な冬の空と海、3週間前に施設に入れたケンが帰宅した週末、行儀の良いケンとは対照的な夫婦喧嘩ー「遠来の客」。13年ぶりのニューヨーク滞在。夫の一族再会と血族の聖なる儀式への彼女の憂鬱ー「過越しの祭」。自由を求めて渡米した道子の予期せぬ戦いを描く。
個人事務所を営む弁護士レイチェル・ゴールドは、かつての上司から奇妙な依頼を受けた。ペット墓地に埋葬された“何か”を調べて欲しいというのだ。その墓の信託基金を巡って彼の法律事務所が微妙な立場に陥っていた。ペットの墓に冠された謎の言葉カナン。レイチェルの調査が始まる。やがて彼女の周囲に次々と起こる異変…最もアメリカ的な街シカゴを疾走する長編サスペンス。