出版社 : 新潮社
時の昭和3年、所は奉天。一瞬の爆風とともに、張作霖暗殺さる。唯一の目撃者である少女、麗華を追って、関東軍が立ち上がる。奉天軍、そして国民党軍も動きはじめた…。上海まで1600キロ、期限は3日。日中全軍を敵にまわして、デューセンバーグが中国の大地をひた走る。脱出なるか?日本冒険小説の金字塔、ついに文庫化。日本冒険小説協会新人賞、吉川英治文学新人賞受賞作。
ソ連大使館員殺害の容疑で逮捕された大学教授・荻野が、突如聞き慣れぬロシア人名を口走り、精神鑑定に持ち込まれた。自分は元ロシア赤軍情報部スパイ、クリヴィツキー将軍の生まれかわりだと言うのだ。彼の心神喪失状態なのか、それともなにか他の可能性が?謎は深まるばかりー。スペイン現代史が趣味という私立探偵・岡崎神策が活躍する、表題作など五編の連作ミステリー。
えっ、あたしのパソコンに電子メールの脅迫状!数美は主婦一年生。予想外に忙しい夫の帰宅を待つ暇つぶしにと、押入れでホコリをかぶっていたパソコンをひっぱりだし、苦闘半年、いまではパソコン通信に夢中。が、夫の出張中、ある日とつぜん舞いこんだ正体不明の脅迫状をきっかけに、思わぬ事件に巻きこまれてゆく。ユーモラスなタッチで描く、素人パソコン探偵のドタバタ推理。
妻は海外旅行社の優秀な添乗員。夫は外出嫌いの人気旅行作家。御推察の通り、資料と経験談の提供者は妻である。さて、今日も、それぞれの思惑を秘めた参加者たちと共に、ツアーが出発した。行先はローマ、スリランカ、チュニジア、ニューヨーク他。そして旅先で起こる不倫、嫁姑の確執、殺人事件…。妻の報告に、夫の推理が冴える。練達の著者ならではの異色連作ミステリー集。
銀座の宝石店から二億五千万円相当の宝石を奪った強盗の片割れ宮本信介が東京に護送される途中、「ひかり62号」の車中で何者かに射殺された!十津川警部は、彼の最後の言葉から主犯の江上利夫の割り出しに成功。しかし、江上は逃亡先のフィリッピンで、顔を潰され、指を焼かれた射殺死体で発見された。十津川は急遽マニラに飛ぶが…。国際的スケールのトラベル・ミステリー。
「自殺するみたいな走り方が、面白い?」と女は言った。深夜の高速を〈ルノー5ターボ2〉で疾駆する、28歳の設計技師、村田真司。かつて冬山で瀕死の友を背負い、肩の上で彼が死んでいった時、真司の中で何かが変わった。その真司が、あるマンション建設を任されることになった。しかし、その背後には建設会社同士の醜い争いがほのみえるー。男の野性を解き放つハードボイルド長編。
シベリアの寒村ツムスクで反体制医学博士サムソノフの娘が、何者かに殺害された。事件調査のために派遣された統制委員のラトキンも、数日後に殺されてしまった。現地に赴いたモスクワ民警の敏腕捜査官ロストニコフと部下のカルポがあらためて事件を洗い直す。住民たった15人の流刑の村で起きた連続殺人の背後に隠されたのは…。’89年度エドガー賞を受賞したポリス・ストーリー。
最新鋭の米原子力空母ユナイテッド・ステーツの巡航は、もう100日を越え、航空団司令グラフトン大佐は乗員の士気を保とうと心を砕いていた。しかし搭載機の原因不明の墜落事故が続き、自身も視力低下のため、この航海での搭乗が最後になるかもしれなかった。艦に接近した小型船を偵察していたグラフトンは、突然対空砲火を浴びた。-元艦載機パイロットが書いた迫真の航空冒険小説。
狂信者エル・ハキムはアラブ統一を夢見ていた。そのための、米空母を乗っ取る大胆不敵な計画は、周到なクァズィ大佐の手で着々と進められた。ナポリ入港中のユナイテッド・ステーツは、目的も正体も明かさず忍び寄る侵入者たちの前に、全く無防備だった。そして突然、格納庫の側で火の手が上がったー。吹き荒れる暴風雨の下、航空団司令グラフトン大佐は最後の出撃に飛び立った。
一度は断絶した服部家を再興し、配下の伊賀同心を率いる三代目服部半蔵は、英明だが軽率な行動が目立つ三代将軍家光の身辺警護を命ぜられた。将軍位をめぐる家光と弟忠長との暗闘。家光の命を狙う甲賀毘沙門天と半蔵の秘術をつくした死闘。非情な政治の論理は人々を血みどろの戦いへと導く…。家光と半蔵、徳川長期政権を切り拓いた表と裏二人のヒーローを主人公に描く長編小説。
モノカミ教団が支配する世界から、幻の国アマノンに布教のため派遣された宣教師団。バリヤの突破に成功した唯一の宣教師Pを持っていたのは、一切の思想や観念を受け容れない女性国だった。男を排除し生殖は人工受精によって行われるこの国に〈男〉と〈女〉を復活させるべく,Pは「オッス革命」の遂行に奮闘するが…。究極の女性化社会で繰り広げられる、性と宗教と革命の大冒険。
耳の越に刻まれた《音》の記憶をもとに半生を再構築する。《音》は茫漠たる過去を鮮から照らし出す。-ヴェトナムの戦場で体験した迫撃砲の轟音。家庭をかえりみない夫に対して妻と娘が浴びせかける罵声。アマゾンで聞いたベートーヴェン…。昭和29年にサントリーに入社し、芥川賞を得て作家となり現在に至るまでを、一人称「私」ぬきの文体で綴る野心作。日本文学大賞受賞。
徳川家康の妻が、子を生んだ。今川義元の人質だった幼少のころに、家康は子種を絶たれており、生まれるはずのない子だった。しかも、妻は義元の情人だったことがある、という噂も囁かれているー家康のわが子への憎しみは、年月とともに大きく膨れあがり、遂には、見事な若武者に育った信康を自刃に追い込むのだが…。戦国の世に生きる、権力者たちの不安と苦悩を描く7編。
コンピュータ会社に勤める三人の重役候補は、社長の発案で、雪山登山のサバイバル訓練に参加することになった。このテストにパスすれば、新設の重要ポストを手中にできるかもしれない。はやり立つ三人は、社長、二人のガイド、ほか三人のメンバーとともに出発する。が、彼らを待っていたのは、想像を絶する苛酷な試練だった…。極限状況の人間心理を鋭くえぐる、異色の企業小説。
最初の女性はマンションの屋上から飛び降りた。次の女性は地下鉄に飛び込み、三番目はタクシーの前に…。誰にも気づかれずに仕組まれた三つの事件。魔の手は四人目に迫る。だが逮捕されたタクシー運転手の甥・守は、知らず知らずに伏せられたカードをめくり始めていた。-見事な構成、卓抜な文章力、生き生きとした人物像、爽やかな読後感。ページを繰る楽しさを選考委員に絶賛された話題の第2回日本推理サスペンス大賞受賞作。