出版社 : 新潮社
ファニーな幽霊たちが東京でとことん迷わせる。日本オリジナル小説、世界に先駆け刊行。コロナ禍とオリンピックで大揺れに揺れる東京を訪れた米国人作家夫婦が出会ったのは、ニッポンが誇る文化的英雄の幽霊たち(太宰、荷風、三島夫妻、黒澤明、宍戸錠、植木等、安藤百福、大松監督、ダダカンetc)。彼らはこの賑やかで寂しい都の何を見せようとしているのか? 狂騒的で、詩的で、懐かしい、〈もののあはれ〉な傑作長篇。
19世紀中盤のアメリカ・ヴァージニア州。黒人奴隷ハイラムは、美しい踊り手でもある奴隷の母と、奴隷主である白人の父とのあいだに生まれた。並外れた記憶力と祖母から受け継いだ神秘的な能力をあわせもつハイラムは、恋人との逃亡に失敗するが、黒人奴隷を逃すネットワーク「地下鉄道」の活動家に見出される。やがて自身もその活動に身を投じ、多くの奴隷たちの物語に触れるうち、自らの力の源である、失われた母の記憶を取りもどしてゆくー。トニ・モリスンが「ボールドウィンの再来」と絶賛した、いまもっとも注目される全米図書賞作家によるデビュー長篇小説。壮大かつエキサイティングな物語。
「日本は戦争に勝った!」無二の親友を引き裂いた「もう一つの戦い」の真実。デマゴギーの流布と分断が進む現代に問う、渾身の巨篇。沖縄生まれの勇と、日系二世のトキオ。一九三四年、日本から最も遠いブラジルで出会った二人は、かけがえのない友となるが……。第二次世界大戦後、異郷の地で日本移民を二分し、多数の死者を出した「勝ち負け抗争」。共に助け合ってきた人々を駆り立てた熱の正体とは。分断が加速する現代に問う、圧倒的巨篇。
読後、心身に変調をきたしても、責任は負いかねますので、ご了承下さい。大切な人、信頼していた人に裏切られ、傷ついた人々が再起を期して集団生活を営む「いやしの村」。一方、ネット上には、その村は「呪いで人を殺すカルト集団」という根強い噂があった。噂は本当なのか? そもそも、呪いで人を殺すことなどできるのか? 真実を探るため、ルポライターが潜入取材を試みるのだがーー。
「埼玉県内で会社を経営する男性の遺体を発見。警察は、事情を知ると見て、内縁関係にあった女の行方を追っていますー」顔を変え、新しい名前を手に入れた女は、日本海沿岸の温泉地で働き始める。誰も知る者のいない新天地で、別人としての人生を生きるはずだったが…。人間の欲望と業をみつめるスリリングな長篇小説。
読み書きできない母に綴った僕の真実ーー。ベトナム系詩人の才能迸る初小説。幼い僕を連れ、母は祖母と共に太平洋を渡った。戦争に人生を狂わされた祖母と、新天地アメリカでの生活に翻弄される母。二人の苦難は少年の僕にも影を落とすが、ある年上の少年との出会いによって、僕は初めて、生きる歓びを知るーー。アメリカ文学の新たな才能による痛みと美しさに満ちた自伝的長篇。
島に生きた、ある一族の百五十年の営み。渾身の大河小説三千二百枚、開幕! 神生島にイチマツが帰ってきた。神か仏のような人間離れした美貌の一ノ屋松造に、島の女たちは例外なく魅入られていく。イチマツの子供には、みな体のどこかに同じ徴があった。またその子供たちにもーー。明治維新から「あの日」の先までを、多彩な十七の物語が鮮やかに映し出す。三ヵ月連続刊行スタート。
渋沢栄一を口説き、五島慶太と競い、東京に地下鉄を誕生させた男の熱き闘い! 資金も経験もゼロ。夢だけを抱いてロンドンから帰国した早川徳次は、誰もが不可能だと嘲笑した地下鉄計画をスタートアップし、財界大物と技術者たちの協力を取り付けていく。だがそこに東急王国の五島慶太が立ちはだかる! 『家康、江戸を建てる』の著者がモダン都市東京の揺籃期を描く、昭和二年のプロジェクトX物語。
播州高砂の漁師から身を起こし、大胆不敵な船乗りとして名を揚げた松右衛門。兵庫津を振り出しに瀬戸内を巡り、日本海に入って越後・出雲崎から果ては箱館まで、北前船を駆る海商にのし上がる。やがて千石船の弱点だった帆の改良に自ら取り組み、苦難の末に画期的な「松右衛門帆」を完成させて、江戸海運に一大革命をもたらすことに。あの高田屋嘉兵衛が憧れた伝説のシーマン、ここに甦るー。
ボクたちは誰かと暮らしていけるのだろうか。『ボクたちはみんな大人になれなかった』の著者、待望の小説第二弾。青春は遙か彼方へ過ぎ去り、自分より好きだった人はもういない。なんとなく独身で、テレビ制作会社の非人道的な労働環境下で働いてきた夏、ボクにバグが起きる。その瞬間、手にしたかったものが目の前を駆け抜けたような気がした。「この切なさは事件だ」とネットと文学界をザワつかせた著者の最新作、切なさと事件はつづく!
罰でないなら、この暮らしは一体何なのかーー。各紙誌絶賛、新鋭が放つディストピア小説。広大な地下工場で蛹に拘束され、羽化=自由を夢見る男。異様な労働、模造の蝶、監督官による殴打、地中の街。理不尽な状況から逃れるため、命懸けで道化を演じるがーー。不条理な世界で人間に本当に必要なものは何か。そこで人はどう生き延びるのか。注目の新人作家が圧倒的力量で放つ、コロナ禍の現実と響き合う傑作長篇。
作家の平穏な生活が、一つの噓で崩れ始める。ベルギー発の謎に満ちた実験的小説。家族に〈よんどころない事情〉があってーー。気の進まない会合をドタキャンするために吐いた小さな噓が、やがて作家の人生を激しく狂わせてゆく。3歳の娘が突然脳梗塞を起こし、小説で描いた架空の作家Tの行動が、作家自身を追い詰める。虚構が現実を侵食する、サスペンスフルな文学的冒険。オランダAKO文学賞受賞。
わ、若だんなの御身に、かつてない事件が!?酔っ払った龍神たちが、隅田川の水をかき回して、長崎屋の舟をひっくり返したってぇ!水に落ちた若だんなは200年ぶりの天の星の代替わりに巻き込まれて…。