出版社 : 新潮社
アルバイト先に忘れられた一冊の本。それは誰からもまともに取り合ってもらえなかった千春がはじめて読み通した本となった。十年後、書店員となった彼女の前に現れたのは。(『サキの忘れ物』)。前の東京オリンピック以来の来日で、十二時間待ちの展示の行列に並びはじめた主人公がその果てに出会った光景。(『行列』)。ある晩、家の鍵をなくした私は居場所を探して町内をさまようことに。一篇のなかに無数の物語が展開!(『真夜中をさまようゲームブック』)。
「どうぞ愛をお叫びください」は、YouTubeにゲーム実況動画を投稿している4人グループ。全員が現役男子高校生であることを明言している。主に「愛ダサ」と略される。
あきらめて生きる癖がついた。明日何が起きるか予測がつかない、それがわたしの日常だった。その頃見る夢は、いつも決まっていた。誰かに追いかけられる夢。もう終わりだ。自分の叫び声で目が覚める。私は安心が欲しいだけ。なのに夫は酔わずにいられない。父親の行動は破滅的。けれど、いつも愛していた。どうしたら、信じ合って生きていくことが出来るのだろうー。
騒乱に乗じミサイル発射を企む北の軍部に対し、米国はピンポイント爆撃へと動き出す。だが、その標的近くには、日本人拉致被害者がー。日本は、この事態に対峙できるのか?政治家は、国民は、人質奪還の代償として生じる多大な犠牲を直視できるのか?そして、実戦投入される最強部隊の知られざる内実とは?特殊部隊・海上自衛隊特別警備隊の創設者が、政府の動きから作戦行動の詳細までを完全シミュレーションした、これぞ壮絶なリアル!
甲斐の農家から江戸の飛脚問屋の養子となった茂十郎は、十組問屋との紛争解決で名を揚げた矢先に永代橋の崩落事故で妻と跡取り息子を失う。その悲しみを糧に、三橋会所頭取となり橋の運営に要する莫大な費用を集め、衰退した菱垣廻船を立て直して流通を一新。疲弊した慣例を次々と打ち破り、江戸の繁栄に生涯を捧げた改革者に迫る傑作歴史小説。
世紀末の今年、社会人生活4年目。まだ25歳だけど、直属の部下67人(年上の猛者ばかり)の、警察本部公安課長になる、らしい。最重要任務は、テロ防止と、絶対回収しなければならない「落とし物」-大先輩の(だけど部下の)相棒と一緒に、任務を果たす、僕は警察キャリア。2年未満をかぎりの、渡り鳥ですー選民思想、そして殺人容認思想。日本を窮地に陥れる可能性が高い、最凶カルトの総本山が、その県にはあった。赴任直前、恐るべき先制攻撃がー起こってはならない、毒殺テロ。発生場所は、警察本部のとある部屋だったー日本警察小説史に刻み込まれる、圧倒的な現実と、驚愕と、感動!
1999年、カリフォルニアで死んだ男が書き残した「アコーディオン弾きの息子」という回想録。親友である作家は、バスク語で書かれたこの手記を元に、彼ら二人の物語を紡ぎはじめる。死んだ幼なじみが、家族にも読めない言葉で綴り、向きあおうとした過去とは何だったのか。故郷の美しい自然、朴訥で生気あふれる人びと、名士として知られた幼なじみの父のもう一つの顔…。スペイン内戦とフランコ独裁、そしてテロの時代へ。暴力の歴史にさらされた若者たちの震える魂、痛ましい記憶を力強く繊細に描きだす。多彩な人物が躍動する、バスク語現代文学の頂点。
「実は、世界は、もう壊れはじめているんだ」幼馴染の翔子と再会した書店店主・大介は、すっかり忘れていた小学校時代の出来事を思い出す。同級生四人と忍び込んだ、町で一番高いマンションの最上階。そこにいた不思議な男は、世界の終わりを予言した。その真意を確かめたくなった大介と翔子は、三十年前の記憶をたどりながら再びマンションを訪れるが、男がマンションから飛び降りたという噂を耳にして…。大人になった俺たちは、世界を、自らを、救うことはできるのか。同級生との再会で呼び覚まされた、三十年前に出会った不思議な男の記憶。「ひび割れた世界」に生きる人々のかすかな希望を力強く描く連作短篇集。
津波で失われたはずの手帳。行方不明のまま永い時を経た少年からの伝言。そこからは強いメッセージが発信されていた。騙されるということ自体が一つの悪なのだ。やられっ放しで判断力を失う前にやれることがある。僕たちはもう迷子のままではいられない。やけに心に沁みる、再生の歌ふたつ。
絵描きの父と料理上手の母と暮らす銀花は、一家で父親の実家へ移り住むことに。そこは、座敷童が出るという言い伝えの残る、歴史ある醤油蔵だった。家族を襲う数々の苦難と一族の秘められた過去に対峙しながら、昭和から平成へ、少女は自分の道を歩き出す。実力派として注目の著者が描く、圧巻の家族小説。
「あなたは考えたことがありますか?自分がラストエンペラーになるかもしれないって」私は東京の空虚な中心に広がる森に住む憂いの皇后。ハンドルネームはスノードロップ。花言葉は「希望」「慰め」の二つ。腐敗した泥舟政権は国民を国家に奉仕させる倒錯を繰り返している。さあ、「ダークネット」を駆使し、「令和の改新」を実行すべき時がきたー。「立憲君主国」日本の最後の「良心」はどこにあるのか?作家の奔放な想像力が躍動する禁断の「皇室小説」!あの『無限カノン』の陶酔が蘇るー。
19世紀末、貧しい家庭に生まれたオルガは、誰にも媚びないまっすぐな性格を気に入られて農園主の息子ヘルベルトと恋仲になる。だが結婚は許されず、行き場のないヘルベルトは北極圏への無謀な冒険に出たまま、消息を絶った。その哀しみを乗り越えて半世紀あまり、オルガは途方もない行動に出るー。激動の20世紀ドイツを毅然と生きた女性を描く人気作家の最新長篇。
必要なのは、1%のひらめきと99%の食欲だ!?美味珍味の連打に唾液腺崩壊!無限の食欲に抱腹絶倒!!笑って泣ける“飯テロ”小説。昭和三〇年代の福島。日本酒の蔵元に生まれ育った少年の頭の中は、寝ても覚めても食べ物のことばかり。「美味しくて、便利で、みんなが幸せになる食べ物を作りたい」…かくて少年は、大学卒業後、東京で発明家を目指す。日本が誇る発酵学を駆使しながら、尽きせぬ食欲を糧に新たな美味を追い求める「食いしん坊発明家」の栄光と失敗の日々。