出版社 : 新潮社
あかりも中学1年生になった。とうさんも絵本作家としての活動を続け、個性的なライバルたちに刺激を受ける毎日だ。あかりの今の悩みと言えば、本の置き場がなくなってきた狭くるしい家と、とうさんと山名さんとの宙ぶらりんの恋の行方ー。思春期を迎えた多感な少女と父との、ちょっぴり変っているけれど魅力的な二人暮しを、やわらかな筆致で綴った、『優しさごっこ』の続編。
人口わずか十七人、南西諸島の絶海の孤島をリゾート化すべく、観光会社の青年が島に赴任してきた。前任者が死を遂げたこの島で、彼はいつしか島の女タカ子の魅力に引き込まれて行く。彼が忌ましい島の秘密に気づいた時、年に一度の祭が幕を開けた…。古代からの因習と共同体の掟に縛られた亜熱帯の離島を舞台に、人間存在の秘められた深淵を浮かび上がらせる恐怖と衝撃の長編。
日本で働き、そして死んでいった一人の外人娼婦。華やかなライトを浴びる歌手の後ろのコーラス・ガール。ツアーを支える裏方スタッフ。皆が遊びに来るリゾートランドのホテルで働くおかあさん。北海道で生れ、育ち、これからも北海道で暮す女、酒場の女ー。中島みゆきが街で、仕事場で、旅先で出逢った六人の魅力的な女たち。それぞれの人生を鮮やかに描く、初の書き下ろし小説。
死の影に脅える少女が、心臓手術を決意するまでを描く「燕の駅」。毎日曜日、1日だけの家出を繰り返す少年を通し、現代の子どもの孤独に迫る「日曜日の反逆」。教室の退廃に中学生たちの眼が鋭く注がれる「友」。そして、4歳の男の子の目に映る様様な人生の断片を描く表題作「子どもの隣り」。現代に生きる子どもたちが持つ孤独と不安を、しなやかに映し出した四つの宝石のような物語。
アメリカ空軍の誇る早期空中警戒管制機AWACSがソ連によって強奪された。西側への亡命を望むKGB第1管理本部長ポーヴィンの支援を得て、CIAの工作員は奪われた機体を破壊すべくただちにシベリアへ向かう。だが厳重な警戒網に彼らは1人、また1人と倒れ、ポーヴィンにもKGBの手が…。ハイテク兵器をめぐる熾烈な戦いをスリリングに描くスパイ・アクション。
愛らしい笑顔でTVドラマ・CFに引張りだこのスター犬ジェリーロール。その飼主アーティは愛犬の稼ぐギャラで、優雅な生活を送っていた。しかし、別れた恋人ビリーが殺されて彼の生活は一変した。死ぬ間際、ビリーがアーティに残したネガフィルムに写されている人物たちは一体、何者なのか。そして、ビリーは誰にどうして殺されたのか。アーティは単身、事件の謎を追い始める。
家庭生活の光と影のあわいを描いた初期の「結婚」から、母の死を看取った単行本未収録の「愁月記」等最新作まで、著者の肉親や身辺に題材を取った名作23篇。
夫を捨てて、突如出奔した母・絹子。「ドナウ河に沿って旅をしたい」という母からの手紙を受け取った麻沙子は、かつて五年の歳月を過ごした西ドイツへと飛ぶ。その思い出の地で、彼女は母が若い男と一緒であることを知った。再会したドイツの青年・シギィと共に、麻沙子は二人を追うのだが…。東西ヨーロッパを横切るドナウの流れに沿って、母と娘それぞれの愛と再生の旅が始まる。
絹子は娘・麻沙子の説得にも応じず、ドナウの終点、黒海まで行くと言い張る。絹子の若い愛人・長瀬の旅の目的に不安を感じた麻沙子とシギィは、二人に同行することにした。東西3000キロ、七ヶ国にまたがるドナウの流れに沿って二組の旅は続く。様々な人たちとの出逢い、そして別れー。母と娘それぞれの、年齢を超えた愛と、国籍を超えた愛を、繊細な筆致で描き上げた人生のロマン。
現金輸送車が襲撃された。犯人に名を呼ばれたことから当然疑いをかけられた運転手は、潔白を主張した。彼は、急に病欠した同僚に代って運転手を務め、事故に遭ったのだった。度重なる取調べと周囲の冷たい目に耐え切れず、彼は独力で真犯人を追うが、そのまま失踪してしまう。夫を信じる妻も又、孤独な戦いを挑むがー。社会の谷間で傷つく弱者を描き続ける著書の書下ろし長編。
13歳になったぼくは、前科二犯の父さんと結婚詐欺師の母さんに連れられて、一流の泥棒になるべく修行の旅に出た!ところが大変、抗争中のヤクザにおだてられて敵の親分さんのチワワを盗み出すはめになっちゃうし、ヘンな宗教団体には追いかけられるし、ぼくらの前途は多難。ぼくは立派な泥棒になれるだろうか?そして父さんはおじいちゃんの敵を討てるだろうか?
先端技術企業の金庫から機密資料が漏洩した。容疑者の守衛は無罪。その判決直後のある日、都内の火葬場の炉から出された遺骨にもう一つの髑髏が。一見無関係な場所で発生した二つの事件の背後に、競合会社の思惑と、謎の金庫破りの名人の存在が見えかくれする。守衛の上司の総務部長は独自の調査を開始するが…。元東大医学部教授の著者が専門知識を生かして描く本格推理長篇。
再びチャンスがめぐって来る日をダッグアウトの片隅でひたすら待ち続けた九人の選手たち。人知れず練習を重ねてきたセカンド、実力がありながら監督に認められる事のなかったショート、ピッチャーから転向したサウスポーのキャッチャー。やがて再起する者、去りゆく者、球界に生きる男たちの爽やかな後ろ姿を描いて、様々な人生のあり様を浮き彫りにした珠玉の連作短編集。
シベリア=西ヨーロッパ・パイプライン開通式を目前に控えた1983年12月、極寒の収容所から3人の囚人が脱走した。この事件はやがて凍土帯の少数民族の暴動へと発展する。クレムリンは軍を投入し事態の収拾に全力を傾けるが、脱走犯の足取りさえ掴めない。一方、現地に派遣された民警の女性検事アンナは捜査を進めるに従い、意外な真相に近付いていく。亡命作家が描く迫真のサスペンス。
CIAは、百万人に1人という心を覗く力を持つ男女を集めてスパイに仕立てあげ、国家の重要機密にかかわる情報戦に利用している。しかし彼らは、そのあまりにも“敏感な心”のために32歳以上は生きることが出来ない、という。ふとしたことから、自分の運命に疑問を抱いたスパイたちは、巨大な組織との対決を余儀なくされる。特殊な力を持つスパイたちの苦悩を描く異色サスペンス。
ハリウッドの著名なTVプロデューサーが、取材先で事故死した。テレビに毒され、病んでしまったアメリカ文明の実態を記録するため、大陸を横断し、最終地でネットワークの陰の大物にインタビューした直後だった。撮影済みのテープをめぐって、残された妻ジャンヌの周囲は急に騒がしくなった。夫の死に疑念を抱いた彼女はその謎を解くため、夫の足跡をそっくり辿る決心をしたー。