出版社 : 新潮社
楽しさを追求したら、こういう小説になりました。最新書き下ろし長編は、予測不能の籠城ミステリーです! 仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。SITが出動するも、逃亡不可能な状況下、予想外の要求が炸裂する。息子への、妻への、娘への、オリオン座への(?)愛が交錯し、事態は思わぬ方向に転がっていくーー。「白兎事件」の全貌を知ることができるのはあなただけ! 伊坂作品初心者から上級者まで没頭度MAX! あの泥棒も登場します。
愛する人との内縁関係を貫いた曾祖母、族のヘッドの子どもを16歳で産んだ祖母、理想の家庭像に邁進しすぎる母という、強烈な女系家族に育つ女子高生の若菜は、自分のキャラのなさに悩んでいた。文学少女キャラの友人・高橋さんと家出をしてみたり、彼女の初恋や家族の恋への助太刀を決め、名脇役を目指してみたり。はたして若菜は自分のキャラと、皆の幸せを めるか。かしまし迷走青春劇。
国を追われた二匹のアマガエルは、辛い放浪の末に夢の楽園にたどり着く。その国は「三戒」と呼ばれる戒律と、「謝りソング」という奇妙な歌によって守られていた。だが、南の沼に棲む凶暴なウシガエルの魔の手が迫り、楽園の本当の姿が明らかになる……。単行本刊行後、物語の内容を思わせる出来事が現実に起こり、一部では「予言書」とも言われた現代の寓話にして、国家の意味を問う警世の書。
天府城に拠り国を支配する強大な幕府、女人にだけ帝位継承が許された天帝家。二つの巨大な勢力の狭間で揺れる都市・天府の片隅には、人知を超えた技術の結晶、美しき女の姿をした〈伊武 〉が存在していた! 天帝家を揺るがす秘密と、伊武誕生の謎。二つの歯車が回り始め、物語は未曾有の結末へと走りだす──。驚異的な想像力で築き上げられたSF伝奇小説の新たな歴史的傑作、ここに開幕!
ベテラン警官が拳銃を奪われ、両腕を切られた姿で発見された。遺体損壊の謎を追い、特別捜査班の岬怜司は、似顔絵をメモ代わりにする里中宏美とコンビを組む。連続する銃撃事件、現場に残された不可解な数字。浮上する過去の未解決事件と闇に消えた男とは……。つながる点と線、迷宮の核心、そしてクライマックスは東京駅へ! 緻密な伏線が冴える、本格捜査ミステリー。『特捜 7 銃弾』改題。
グループホームの老人たちがクイズ大会に参加した。珍解答を期待する主催者を手玉に取る面々。覚醒した彼らは海外旅行に出かけ、合コンに妖しく浮き立つ。一方、世間では団塊アゲイン党なる政党が勃興した。同世代の反体制派が闘争を開始、社会に衝撃が走る。これは悪夢か、現実か。日本を守らんと義勇軍を結成したのは…。超高齢社会日本を諷刺するハードコア老人小説。
パトカーに追われた二人組の強盗、四人組の宝石強奪犯、自動車会社社長を襲った男、前総理を襲撃した四人のテロリスト……。たった一本の杖で、次々と暴漢を撃退していく謎の男「天草四郎」。島原キリシタン一揆の英雄と同じ名を名乗る男は、一躍、世間の注目を浴びる。「天草四郎」とは、何者なのか。そして、その目的は? 十津川警部が現代に甦った「英雄」の秘密に挑む、長編ミステリー。
恋人の家に転がり込んできたのは、とっくの昔に離婚したはずの彼の元妻だった。ひとつの場所にとどまることのできない女の存在が二人の関係を変える(「夜を想う人」)。一度は別れを選び、それぞれが新しい伴侶を見つけ、子供も授かった元夫婦の約束とは(「二人のプール」)。裏切りに満ちたこの世界で、信じられるのは私だけ? 平穏で幸福な愛の“ ”に気づいてしま った男女を繊細な筆致で描く六篇。
巨大疑獄の闇を暴け!知略と策謀の警察小説。東京オリンピックの後、急激に治安が悪化した首都。大量の難民の発生と過激派の台頭とともに多発するテロ計画を察知し、未然に鎮圧すべく、総理直轄・女性 6 名の特殊捜査班、通称「R.E.D.」が警察庁に設立された。謎のテロリスト〈勿忘草〉を追う彼女たちは、副総理と警視総監が絡む政官業巨大疑獄の影を捉える。元警察庁キャリアのみが描けるリアル。警察小説の新機軸がここに誕生。
ローマ大学に留学中の玄須聖人は、教授の依頼でヴァチカン秘密記録保管所を訪れ、企画展に向けて幻の資料を探すことに。その頃、ドイツとオーストリアで魔女狩りを彷彿とさせる猟奇殺人が起こる。悪魔信仰者の存在がちらつくなか、疑惑の目は教皇庁にも向けられる。図書館の膨大な蔵書に謎を解く鍵があると調べ始める聖人と神父のマリク。だが、事件の真相は意外なところに…。
奥様、貴方にとって私は、完璧なメイドでしたか? 北海道東川町のお屋敷で営まれる十九世紀英国式の生活。この特別な毎日にも終わりが近づく中、メイドのアイリーンこと派遣家政婦の鈴佳は、奥様が望む舞踏会の実現に奔走する。しかしそれは思いがけず、町ぐるみの盛大な催しへ。頼みの綱の執事のユーリさんはどこか様子が変で──。庭の侵入者、秘密のダンス、奥様が遺した最後の謎。お屋敷の歯車達が輝かす「本物」の時間の締めくくり。
イギリス郊外に静かに佇む古い貴族屋敷に、両親と死別し身を寄せている眉目秀麗な兄と妹。物語の語り手である若い女「私」は二人の伯父に家庭教師として雇われた。私は兄妹を悪の世界に引きずりこもうとする幽霊を目撃するのだが、幽霊はほかの誰にも見られることがない。本当に幽霊は存在するのか? 私こそ幽霊なのではないのか? 精緻で耽美な謎が謎を呼ぶ、現代のホラー小説の先駆的な名著。
2075年、環境破壊のために沿岸地域が水没しつつあるアメリカ。化石燃料の使用を全面禁止する法案に反発した南部三州が独立を宣言、合衆国は内戦に陥った。家族の大黒柱をテロで失った南部の貧しい一家の娘サラットは、難民キャンプへ避難する。北部へのゲリラ戦を繰り返す武装組織に接近する兄。サラットに自爆テロ攻撃をそそのかす謎の男。苛酷な運命に導かれる彼女はどこへ向かうのか──。
北部民兵による難民キャンプでの大虐殺で母親を失った傷心の一家は、故郷へと帰還するが、サラットの心だけは内戦の前線地帯でわだかまっていた。自爆テロか、弛緩した生か。しかし、ある日突然彼女はテロ容疑で戦犯収容所に拘留されてしまう。地獄のような拷問の日々。解放されるも、人格が崩壊したサラットは、ある人物のもとを訪れるのだった──。驚異の新人による問題作が緊急上陸!
「ハッピーエンドのお話はないの?」「だってこれはロシアの話だからね」サンクトペテルブルクに生まれ育ち、ロシア革命にともなってオランダに帰国した祖父が「ぼく」だけに語ってくれたこと。ゴーゴリの『外套』より悲惨、どこにも救いはないのに、なぜか可笑しく滑稽な人生の悲喜劇。『ハリネズミの願い』の作家テレヘン自身がもっとも愛する宝箱のような掌篇集。
隣の家のお母さんは、エプロンを着けたゴリラだった。奇妙な世界の王道青春小説。十五歳。若い人間として生きられる、これが最後の一年だ。歳を取るのが怖い小春は、隣に越してきた同い年の歩くんと出会う。彼はバレエダンサーで、おまけにお母さんはゴリラなのだ! それっていったい、どういうことーー? 部活動、新しい友だち、恋にも似た心の揺れ。少し風変わりな世界で成長する少女の一年を描く長編。
世界が変わるほどの恋、すべてが反転する秘密。大胆な仕掛けに満ちた、選考委員激賞のデビュー作! とれた差し歯が思い起こさせるのは、一生に一度の恋。もう共には生きられない、あの人のことーー。選考委員の三浦しをん、辻村深月両氏が共に大絶賛! 第15回「女による女のためのR-18文学賞」大賞受賞作をはじめ、どんな場所でも必死に泳いでいこうとする5匹の魚たちを、とびきり鮮やかな仕掛けで描いたデビュー作。