出版社 : 新潮社
すべての推理が裏切られる快感! 誰もこの「館」(ミステリ)から抜け出せないーー。湖畔にある洋館を友人と共に訪れた月島。殺人事件の犯人を当てる、脱出型の謎解きゲームが開催されるという。だが、男女8人の参加者たちの前で、本当の殺人が起きる……。戦慄の最終章に備えよ! 大人気シリーズ「心霊探偵八雲」著者が全身全霊をかけて読者に挑む、一頁先さえ予測不能のノンストップ・ミステリ。
ようこそ、今宵も心躍る物語が紡がれる奇跡の場所へーー。早苗のためにバランタイン三〇年をキープしたいと思ったのは、酔いも手伝ってであったが、早苗の驚く顔を見たくなったからだ。早苗と初めて出会ったのは二週間前のこと。冷たい雨の降る日に何となく顔を出したル・ジャルダンで、三人目のホステスとして座ったのが早苗だった(本文より)。銀座の名クラブを舞台にした6編。
その女神の名を、唱えてはいけないーー。民族史を覆す宗教遺跡をめぐる海洋冒険譚! 大手ゼネコン勤務の加茂川一正は、インドネシアの小島で海底に聳え立つ仏塔を発見する。一正はこの遺跡の保護を自らの使命とし本格的な調査に乗り出すが、次々と障壁が立ち塞がる。住民の反発、開発を優先する地主、他宗教からの弾圧……人間の欲望が女神の怒りに触れたとき、島に激震が走る。圧巻の長編エンタテインメント!
他人を殺す。自分を殺す。どちらにしても、その一歩を踏み出すのは、意外とたやすい。最旬の注目度No.1作家最新長篇。同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている3人。4歳の娘を育てるシングルマザー、朱音。朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦、莉子。マンション管理会社勤務の独身、園田。いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は恨みとなり、やがて……。「生きる」ために必要な救済と再生をもたらすまでのサスペンス。
東京から大阪の夫の実家近くに引っ越し、関西のノリについていけず疲れ果てた沙由美。モデルの仕事を餌に、詐欺師まがいの男にマウントされる華。ネグレクト育ちで転売ヤーとして荒れた生活を送る達也。人生の袋小路で立ち往生する人々の背中をドンと押して勇気づける、大阪のおばちゃん、とし子。だが、無敵に見えるおばちゃんにも、ある“事情”があったー。抱腹絶倒&ちょっと涙のヒューマン・ドラマ!
中国、春秋戦国時代に燦然と輝く名将楽毅。その偉業の陰にはこの男がいた。周王朝の王子という身分を捨て、群雄割拠する諸国を商人として渡り歩く青年・公孫龍。その清廉潔白な人格で将軍や有力者たちの信頼を得た彼は、自らその登用に尽力し、燕に仕えるようになった名将・楽毅が企図する空前の大戦略の実現に向け、才覚を発揮する。名作『楽毅』の感動が新たに甦る、宮城谷文学最高傑作、第三部。
アメリカ文学界に衝撃を与えた記念碑的デビュー作を、村上春樹が新訳。新鮮な言語感覚と幻想に満ちた華麗な文体で構成された本作は、1948年に刊行されるやいなや、アメリカ中で大きな波紋を呼び起こした。父親を探してアメリカ南部の小さな町を訪れたジョエル少年の、近づきつつある大人の世界に怯え屈折する心理と、脆くもうつろいやすい感情とを描いた半自伝的なデビュー長編。
桟敷席を予約し続ける謎の人物の噂が立つ江戸市村座。女形瀬川菊之丞、戯作者平賀源内、二代目市川團十郎、講談師深井志道軒、広島藩士稲生武太夫、大奥御年寄江島、さる公卿とその妹らを巻き込み、芝居小屋の地下で蠢く時を超えた怨讐、恋着、役者の業火等々、虚実のあわいを壮大に描き切る伝奇エンタメの極地!
若だんなが行方不明になり、長崎屋の不運が幕を開けた。最大の窮地を乗り越えられるの!? 長崎屋から妖が消えた! 最初は噺家の場久、次は火幻医師。彼らを探すため、影内に紛れ込んだ病弱若だんなは、すべて西から来た妖・以津真天の仕業だと知る。大事な友を救うため、果敢に悪夢に飛び込んだ若だんなだが、目覚めた先はなんと五年後の江戸。鍵を握るのは、以津真天なのか、それとももっと大きな力なのか……。
セカイの底を、覗いてみたくないか? 孤高の物語作家が放つ、中毒不可避の悪魔的絶品集。恋人の百合子が失踪した。彼女の住むアパートを訪れた私は、隣人を名乗る男と遭遇する。そこで語られる、奇妙な話の数々。果たして、男が目撃した秘技・耳もぐりとは、一体 (「耳もぐり」)。ほか、『残月記』で第43回吉川英治文学新人賞受賞&第43回日本SF大賞受賞を果たした著者による、恐怖と驚愕の到達点を見よ!
一発逆転を狙い闇バイトに走る男を襲うワナとは。日常の不穏さを描く作品集。空き巣に入った家で目を覚ました男。仲間は金と共に姿を消し、住人には顔を見られてしまった! いまや足枷となったその家で男は、不遇な過去を振り払うために包丁を握りーーさえない男の煩悶をリアルに描く表題作の他、訳も分からず妻に去られた夫や、海に消えた父を待つ娘など、様々な「隣の人生」を鋭く浮き彫りにする。
高瀬隼子氏推薦! 痴漢加害と介護のリアルを抉り出すブルドーザー小説集! 保険営業所に勤める藤原は、通勤電車で見かける少女に日々「元気」をもらっていた。ある日、同じ少女を盗撮する男との奇妙な交流が始まりーー。痴漢加害者の心理を容赦なく晒す表題作と、介護現場の暴力を克明に刻む新潮新人賞受賞作を収録。愚かさから目を背けたいのに一文字ごとに飲み込まれる、弩級の小説体験!
最良の離婚、請け負います! 家族はもっと、いろんな形があっていい。新時代のリーガル・エンタメ。夫のモラハラと浮気に耐えられなくなり家を飛び出した聡美が北鎌倉で出会ったのは、縁切寺の娘で弁護士の松岡紬。勢い込んで離婚相談をするも、思いがけないことを言われ……。上手に縁を切る方法、教えます。温かなヒューマンドラマにして、前を向く元気をもらえる、痛快リーガル小説。
十九年前、私たちは浮くようにそこに居た。実体験を元に描く慈しみの物語。彼らが女を商品のようにしか扱えないのと同じで、私は彼らを子供を産ませる男か身体を買う男に峻別することしかできなかったーー。十九年前の、デリヘル開業前夜の彼らとの記憶に導かれ、私はかつて暮らした歓楽街へ赴く。酷い匂いの青春はやがて、もうすぐ子供が産めなくなる私の、未来への祈りとなる。新たな代表作!
優しくしてくれる夫。でも、今夜、あなたは私を殺そうとしているでしょう? 15歳で結婚し、16歳で亡くなったと、わずかな記録しかイタリア史に残されていない主人公ルクレツィア・ディ・コジモ・デ・メディチ。『ハムネット』でシェイクスピアの妻を鮮やかに蘇らせた著者が、政略結婚の末に早世した少女の「生」を力強く羽ばたかせる。スリリングな展開と大胆なラストで、イギリス文学史に残る傑作長篇小説。
くり返し現れる夢の風景を求めて旅立つ少年、奪われた恋人を追って故郷を出奔する男、一度は愛した男に裏切られた女、政争と権謀術数の渦に巻き込まれる人々…不条理な運命に抗う先に、救いはあるのか。
新任地川崎で、彼女の頬を濡らすのは涙の雫か、全てを洗い流す慈雨の雫か。モラハラ夫、我が子を見捨てる母親、身寄りのない記憶喪失の男……横浜家裁川崎中央支部にやってくる家事事件の当事者たちは多種多彩。社会から零れ落ちそうな人たちの心を開き、それぞれの人生に寄り添うため、赴任したばかりのかのんはひたむきに奔走する! 人間、そして家族の表と裏を心揺さぶる筆致で描く連作短篇集。
インターネットですべてが変わる。だから今のうちに体験しておくべきなんだ。1995年、宇都宮。高校2年の達也は東京に憧れ、広告業の父は自宅の「スタジオ」で取引先のためのアンプ製作に腐心する。父の指示で、黎明期のインターネットにいち早く接続した達也は、ゲイのコミュニティの存在を知り、おずおずと接触を試みるー。バブル崩壊後の20世紀末を疾走する、父と息子の冒険譚!