出版社 : 新潮社
関西最難関のK大で博士号をとり順風満帆の出世ルートを歩むはずだった瓶子貴宣は、学内派閥を読み間違えて、目下は香櫨園女子大学の非常勤講師(つまりパート講師)としての少ない月収を死守する毎日。しかも、姉が育児放棄した誉との二人暮らしで“父親業”まで背負っている。そんなある日、貴宣の授業を奪いかねない強力なライバルが出現!貴宣はコマ数を確保できるのか、そして、マル合の傘下に入れるのか!?さらに、誉にはある人物の影が忍び寄っていて…。貴宣の未来を、開くのはいったい、誰?象牙の塔の“最下層”で起きている出世競争を描くお仕事小説!
3千vs15万!50倍の大兵力で奥州北端の九戸城を囲んだ秀吉軍。その真意ははたしてどこにあるのかー。跳梁する間者たち、頻繁に飛び交う暗号文。その戦さ、降伏するだけでは済まぬらしい…。城主・九戸政実を頭とする四兄弟が結束すれば、形勢は五分と五分。石田三成の仕組んだ謀略に百倍返しする秘策を、今こそ実行に移せ!奥州北端の九戸城を狙った戦国最大級の謀略。直木賞作家、怒涛の歴史小説。
難題を依頼された若き戯作者は、苦悩と自問の末に筆を執った。七十四年前に起きた加賀藩と幕府老中の対立、その緊張関係を解消せんと奔走する飛脚たちの闘いを描くためにー。男の誇りを賭けた仕事が、加賀百万石を救う。真の忠義とは何かを問う大型時代長編。
新卒で秘書課に配属された咲良は、初対面なはずの専務の安藤に懐かしさを感じていた。このふわっとする気持ち、一体なにー?遡って明治、結ばれることが許されなかった公爵家の令嬢と書生は、固い約束を交わしていた。「お嬢様、いつか必ずお迎えに上がります」その想いは時を越え蘇るが、また儚く引き裂かれてしまう。次第に惹かれ合う咲良と安藤。でも彼には婚約者が…。再び巡り会った二人は、今度こそ結ばれるのか?何度でも、狂おしく君に恋をする。切なさ溢れるドラマティック・ラブストーリー!
世界文学史上に空前の伝説を刻んだ33万語、100万字超の巨篇ーー新訳成る! 耳をつんざく叫びとともに、V2ロケット爆弾が空を切り裂き飛んでくる。ロンドン、一九四四年。情報局から調査の命を受けたスロースロップ中尉はーー。 ピューリッツァー賞が「卑猥」「通読不能」と審査を拒否した超危険作にして、今なお現代文学の最先端に屹立する金字塔がついに新訳。詳細な註と膝を打つ解説、索引を付す。
世界文学史上に空前の伝説を刻んだ33万語、100万字超の巨篇ーー新訳成る! 耳をつんざく叫びとともに、V2ロケット爆弾が空を切り裂き飛んでくる。ロンドン、一九四四年。情報局から調査の命を受けたスロースロップ中尉はーー。 ピューリッツァー賞が「卑猥」「通読不能」と審査を拒否した超危険作にして、今なお現代文学の最先端に屹立する金字塔がついに新訳。詳細な註と膝を打つ解説、索引を付す。
英国国教会主教の娘として生まれたセリーナは、ケンブリッジ大学の数学科に進むが、成績はいまひとつ。大好きな小説を読みふける学生時代を過ごし、やがて恋仲になった教授に導かれるように、諜報機関に入所する。当初は地味な事務仕事を担当していた彼女に、ある日意外な指令が下る。スウィート・トゥース作戦ー文化工作のために作家を支援するというのが彼女の任務だった。素姓を偽って作家に接近した彼女は、いつしか彼と愛し合うようになる。だが、ついに彼女の正体が露見する日が訪れたー。諜報機関をめぐる実在の出来事や、著者自身の過去の作品をも織り込みながら展開する、ユニークで野心的な恋愛小説。
古い歴史と街並と親しい友人との憶い出が重なる、懐かしい都会、巴里ー『どくとるマンボウ航海記』時代のパリを舞台に、若き日に思いをはせる表題作。山岳小説の傑作『白きたおやかな峰』で描いたカラコルムーその地を二十六年ぶりに再訪し、参加した登山隊で出会った心優しき案内人を探し当てる「カラコルムふたたび」。二つの旅の記憶が走馬灯のように甦る、詩情溢れる二編。
島原女郎の請け出しに身代賭けた大店の旦那。菊の香りを懐かしむ消えた恋女房に瓜二つの歌比丘尼。国もとの妻の胸を騒がす不思議な夢が暴く、見てはならないこの世の闇…。浪花で恋に焦がれ江戸で情けに溺れる女と男。西鶴もかくや、の情念にじむからくり話を自在に操る名うての著者の絶品世話物競演!
「おれはただ、ずっと自分を誤魔化してきただけだ」リストラ面接官・村上真介の今度の相手は、航空会社の勝ち組CA、楽器メーカーでくすぶる元バンドマン、ファミレスの超優秀店長、おまけに、破綻した証券会社のOBたち。企業ブランドも価値観も揺らぐ時代、あなたは明日をどう生きる? 全ての働き人たちにパワーを届ける、お仕事小説第4弾!(単行本『勝ち逃げの女王』改題。)
あたしたちで真相をつかもうよーー。二人の同級生の死。マスコミによる偏向報道。当事者の生徒たちを差し置いて、ただ事態の収束だけを目指す大人。結局、柏井卓也はなぜ死んだのか。なにもわからないままでは、あたしたちは前に進めない。そんな藤野涼子の呼びかけで、中学三年生有志による「学校内裁判」が幕を上げる。求めるはただ一つ、柏木卓也の死の真実。
遂に動き出した「学校内裁判」。検事となった藤野涼子は、大出俊次の“殺人”を立証するため、関係者への聴取に奔走する。一方、弁護を担当する他校生、神原和彦は鮮やかな手腕で証言、証拠を集め、無罪獲得に向けた布石を着々と打っていく。明らかになる柏木卓也の素顔。繰り広げられる検事と弁護人の熱戦。そして、告発状を書いた少女が遂に……。夏。開廷の日は近い。
育ての親を謎の忍者集団に殺された大道寺菊千代。鞍馬山から江戸に出て、将軍家光の懐刀である寛永寺の怪僧天海から、江戸の治安を守れと命ぜられる。甲賀のくのいち、火術遣いの少年、薙刀を操る荒法師、眉目秀麗な剣の達人、怪力の明人、雑賀党の流れを汲む鉄砲の名手ーひと癖もふた癖もある天下無双の面々を率いる、大道寺菊千代の活躍を描く、痛快無比の書下ろし時代小説。
泥棒長屋に流れ着いた老婆の悲しみが、出世にとことん無欲だった若き慶次郎の思いと交わる表題作「あした」。無精な夫を捨てた、髪結い妻の思わぬ本音を描く「春惜しむ」。内緒の逢瀬を重ねてはらんだ娘が、未来ある思い人を必死に庇う「むこうみず」など、円熟の筆致が香り立つ江戸の哀歓十景。慶次郎への尽きぬ思いを語る、生前最後の著者談話も収録した、人気シリーズ第13弾!
初夏。街では連続変死事件が起きていた。まるで狼に喰い千切られたような遺体。流通する麻薬。恍惚の表情で死んでいく少女たち。自らも死を求める高校生・此花ねむりは鈴原楓との出会いをきっかけに事件を調べ始める。だが、そこには3年前の殺人事件に繋がる驚愕の真実が隠されていたー。性と死、その果てに垣間見える少女の戦い。逸脱者たちが繰り広げる戦慄の新伝奇譚。
生身の人間と会話するのが苦手。でもネットがなくて誰とも繋がれなくなる孤独はもっと苦しい。電波がバリ3表示の場所でだけ生きてゆける、ひきこもりの緑子。しかしひとたびオンライン掲示板を聞けば、ハンドルネーム「圏内ちゃん」はカリスマ的存在だ。驚くべき情報収集力と推理力で、“炎上”した匿名アカウントの本人を特定する。ある日、連続女性殺人事件に巻き込まれて…。
宮籠彩人は、迷路のような庭をもつ鎌倉の旧家に執事と二人で暮らす。訪れる人に似合う花を選び、宴に添える花々の見立てを生業とし、花からのメッセージを読み解く華術師の貌も持つ。ある日、宮籠家の近所で交通事故が発生。被害者は、前日に彩人の家を訪れた女性の夫だった。彩人が彼女にマドンナ・リリーを選んだのは、何故?そのメッセージは、彼女の運命を何処へ導くのか。