出版社 : 日本放送出版協会
春希は、脚本家として忙しくなり、とりわけ、涼子と組む仕事は次々と評判をとっていく。仕事と家庭の両立にも一生懸命。そんなある日、夫の高志にガンが宣告される…。激動の時代を生きぬいた春希、ついに完結。
兄たちの相次ぐ死により二十二歳の頼方は、紀州五十五万五千石の国主徳川吉宗となった。一方、将軍家では、五代綱吉の後を受けた六代・七代将軍がともに短命、財政破綻の危機に陥る幕府はますます混迷の度を深める。紀州か、それとも尾張か、次期将軍の座を賭けた息詰まる抗争の果て、吉宗はついに八代将軍となる。幕府の、そして日本の命運は彼の手に委ねられた。NHK大河ドラマの出版化。
春希は自分の進むべき道を模索し始めていた。大学への進学、映画・シナリオとの出会い、父大造との確執、そして母リュウとの別れ…。NHK朝の連続テレビ小説「春よ、来い」の小説化。
廃墟と化したアジア最大の兵器工場・大阪造兵廠跡の闇の中で残骸を掘り出す鉄泥棒アパッチ族と警官隊の果てしない攻防がつづく。そしてアパッチ族は北朝鮮へ、大村収容所へ…。戦後五十年を総括する書き下ろし長編。
17世紀末、尾張・紀伊・水戸の徳川御三家は、五代将軍綱吉の後継者の座をめぐり、水面下で激しい争いを続けていた。それは、紀州藩部屋住みの庶子である源六にとって、ほとんど無縁のはずであった。しかし運命の歯車は、すでに大きく動き始めていた。
ジャマイカ、バイーア、ペルー…。南の果てまで逃亡していく主人公の独白を軸に、時空を超えたエピソードが積み重ねられ、意表をつくイメージが奔流となってほとばしる。ありとあらゆる文の織り成すコラージュ形式に眩惑されるうち、あなたは次第に小説の仕掛けた罠にはまっていく-。知的刺激に満ちた、ラジカルで魅力的な「熱帯小説」。
経清・貞任の死により前九年の戦いは終わった。経清の妻結有は敵方の清原氏へ嫁がされ、清衡と改名した清丸は安倍氏の再興を心に誓う。さきの大戦から20年、清原真衡・清衡・家衡異父・異母兄弟の確執と源義家の陸奥守就任が、みちのくを再び炎に包む。北の覇者をめぐっての壮大なドラマは、黄金の都・平泉へ向けていよいよ動き始めた。
加藤唐九郎没後6年…。著者の心の中で唐九郎像が熟成され、芳醇な作品となった。「永仁の壼」事件の真相は何だったのか?天才とは?人間とは?深夜の電話、ラジオの対談、著者と陶工の交わりは淡く、深い。老人の性を見つめ、円空、芭蕉とオーバーラップさせながら巨人・加藤唐九郎の虚実を描いた、著者会心の作。