出版社 : 日経BP日本経済新聞出版
プロレスに「最強」を復権させる!--かましてなんぼですよ、この世界は 日経小説大賞『散り花』に続く、美しく切ないプロレス讃歌第2章 どんな遺恨も因縁も、リングの上で白黒つける。そうでなければ夢がない。一度リングで“死んだ”男の死闘が、光を失いかけたレスラーたちの心に火をつけたーー 札幌での立花と一ノ瀬の試合。週刊リングの寺尾は、一ノ瀬が立花の狂気を引き出したと書いたが、三島の印象は違った。一ノ瀬は立花の世界に引きずり込まれたのだ。この試合で終わってもいいと思わせる快感にも似た昂ぶり。甲斐の世界が対戦相手だけでなく観客をも手玉に取り、会場全体を支配するものなら、立花は二人だけの世界にしてしまう。一ノ瀬はそれに引きずり込まれ、呑みこまれた。立花はなぜジャパンに戻ったのか。総合格闘技への出陣は意外ではなかった。もともとそのスキルはあった。しかし、立花はプロレスに復帰した。(本文より) 悪役 首抜き ざらつく キャッチ・アズ・キャッチ・キャン
「日本外交の父」が辿った波瀾万丈の若き日々。幕末維新史を一新する「19世紀クロニクル」 明敏な知性が、野望に心を奪われる時ーー師・坂本龍馬と目指した新たな国家像、理念と実践の狭間で犯した愚状とは 陸奥は紀州藩で重用された父の失脚により所払いとなり、高野山の学僧から身を起こそうと、尊皇攘夷の嵐の中、洋学を志す。勝海舟の海軍塾に学び、坂本龍馬の海援隊へ。薩長連合を実現させた龍馬の許で、桂小五郎、後藤象二郎らに接近。若き日の伊藤博文、アーネスト・サトウらと心を通わせる。しかし維新後、陸奥は新政府内で苦境に立つ。時代の流れは、龍馬が構想した世界とは違う方向に進んでいる。薩摩で西郷が蜂起し、これを千載一遇の好機と捉えた陸奥は、身の破滅に向かって最初の一歩を踏み出した……。
ITベンチャーを起業、急拡大させた「男」が、投資案件を物色中のフィリピンで、突然命を狙われる。九死に一生を得たが、なぜか現地の刑務所で長く屈辱の日々を送る。ついに解放された男は、愛人だったカテーテル手術の名医に見えないかたちで、自らを裏切った者たちに対する復讐を始めるー。東京、フィリピン、北海道。IT業界、医療界、そいて劣悪な環境の刑務所…。時間と空間を超えた壮大なスケールのエンターテインメント大作。
幕府直轄の出羽の島に、なぜ蝦夷地の赤い花が?その島では曇って海が霞んで見える日に、怪異な浮き物が沖合に現れる。幕閣が江戸から送り込んだ若き藩主たちがその正体に迫った時ー文化文政の世、幕府の威光に陰りが見え始めた世情を照らし出す、時代ミステリー。第15回日経小説大賞受賞。
日本の小説の祖・曲亭馬琴、「八犬伝」を生んだ劇的人生! 200年の時を超え、作家の本分に迫る傑作長編!! 大名の家臣の家に生まれるも何一つままならず、彷徨い続けた青年時代。放浪の末、当代一の戯作者・山東京伝の門をたたき、蔦屋重三郎の店に奉公して戯作の道に踏み出す。葛飾北斎らとの交誼を経て、馬琴はやがて江戸随一の戯作者となりおおせるのだが…… 妻はヒステリー、愛する息子は柔弱、『南総里見八犬伝』に着手するも板元とはトラブル続き。それでも馬琴は、武家である滝沢家再興の夢を捨てず、締切に追われながら家計簿をつけ、息子とともに庭の花園で草花を丹精する。 狷介で知られた馬琴の素顔、けなげな哀歓が鮮やかに蘇る。苦難の末、大戯作者が辿り着いた花園とは? 第一章 ある立春 第二章 神の旅 第三章 戯作者 第四章 八本の矢 第五章 筆一本 第六章 天衣無縫 第七章 百年の後
この者は時機がくれば、雲を招き、天に昇る龍となる。彼の澄み切った忠誠心はいかに育まれたのか。知られざる生い立ち、晴耕雨読の青年期…宮城谷版『三国志』完結から十年、ついに待望の作品が紡がれた。
その信義は宇宙をもふるわせ、誠実さは天地をも感動させる。三顧の礼で迎えられ「天下三分の計」を献策、漢室復興のため帝と国に忠を尽くした名宰相。ただ賢と徳だけが人を服させるー伝説化された“天才軍師”の実像に迫る。
遣唐使は日本の朝廷からどのような命を受けて派遣され、中国で何をしていたのかーー 2012年の直木賞受賞作『等伯』に続く、安部龍太郎氏の日本経済新聞連載小説は、対外的に「国家」としての土台を築き上げた8世紀・奈良時代の日本を、ユーラシア大陸・東アジアの中に位置づけて描いたスケールの大きな作品。安部氏の新たな代表作といっても過言ではない。 日本とユーラシアを結びつけるのは、唐で科挙に合格し玄宗皇帝の側近にまで出世したたぐいまれなる日本人・阿倍仲麻呂、そして仲麻呂とともに唐に渡り当時の大唐帝国のすぐれた文化・政治制度を内政に移植した学者にして政治家の吉備真備。唐からは、玄宗皇帝と楊貴妃、安史の乱を起こした安禄山、大詩人の李白や杜甫など、日本でも多くの逸話が知られる人物が続々と登場する。ついに帰国できなかった阿倍仲麻呂が日本の朝廷から帯びていた重大な密命とははたして…… 当時、吉備真備らが持ち込み移植した律令制度はその後いまに続く日本の法律の中に色濃く残る。日本の皇室の儀礼にもこの頃移植したものが少なからず存在し、鑑真和上の招聘による仏教の興隆など、「国家」としての土台はまさにこの頃に築かれたものである。チベット、新疆ウイグルなどとの中国の緊張関係は1300年前から連綿と存在していた。日本と中国の関係、日本と朝鮮半島の関係、中国と朝鮮半島の関係は古代から幾多の戦乱を経て、連綿と今に続くものである。歴史時代区分としては日本の古代を描いた小説ではあるが、ここが「東アジアの中の日本」の視座の原点かもしれない。 第一章 遣唐使来る 第二章 三人の運命 第三章 帰国と残留 第四章 それぞれの道 第五章 運命の岐路 第六章 出世の階段 (以下、下巻) 第七章 宿敵仲麻呂 第八章 明日への忍従 第九章 盟友再会 第十章 遠い祖国 第十一章 それぞれの道 第十二章 琴弾き岩
遣唐使は日本の朝廷からどのような命を受けて派遣され、中国で何をしていたのかーー 2012年の直木賞受賞作『等伯』に続く、安部龍太郎氏の日本経済新聞連載小説は、対外的に「国家」としての土台を築き上げた8世紀・奈良時代の日本を、ユーラシア大陸・東アジアの中に位置づけて描いたスケールの大きな作品。安部氏の新たな代表作といっても過言ではない。 日本とユーラシアを結びつけるのは、唐で科挙に合格し玄宗皇帝の側近にまで出世したたぐいまれなる日本人・阿倍仲麻呂、そして仲麻呂とともに唐に渡り当時の大唐帝国のすぐれた文化・政治制度を内政に移植した学者にして政治家の吉備真備。唐からは、玄宗皇帝と楊貴妃、安史の乱を起こした安禄山、大詩人の李白や杜甫など、日本でも多くの逸話が知られる人物が続々と登場する。ついに帰国できなかった阿倍仲麻呂が日本の朝廷から帯びていた重大な密命とははたして…… 当時、吉備真備らが持ち込み移植した律令制度はその後いまに続く日本の法律の中に色濃く残る。日本の皇室の儀礼にもこの頃移植したものが少なからず存在し、鑑真和上の招聘による仏教の興隆など、「国家」としての土台はまさにこの頃に築かれたものである。チベット、新疆ウイグルなどとの中国の緊張関係は1300年前から連綿と存在していた。日本と中国の関係、日本と朝鮮半島の関係、中国と朝鮮半島の関係は古代から幾多の戦乱を経て、連綿と今に続くものである。歴史時代区分としては日本の古代を描いた小説ではあるが、ここが「東アジアの中の日本」の視座の原点かもしれない。 第七章 宿敵仲麻呂 第八章 明日への忍従 第九章 盟友再会 第十章 遠い祖国 第十一章 それぞれの道 第十二章 琴弾き岩 (以下、上巻) 第一章 遣唐使来る 第二章 三人の運命 第三章 帰国と残留 第四章 それぞれの道 第五章 運命の岐路 第六章 出世の階段
ひたむきに、一途に生きた、小町の美しい人生ーー 小町の歌を手掛かりに紡がれた物語『百夜』 とともに、平安の「雅とあはれ」をたどる旅 「彼女の率直で必死な言の葉が描き出す真(まこと)の姿は、芯の強い、自分に率直な女性です。哀しみを友としながらも毅然として愛を全うした人。 私の中では、大きく豊かな女性として成長して行きました。 多くのしがらみや宿世(すくせ)に翻弄されながらも、最後まで自尊心を保ち、自らの心に忠実に生きた女性の、なんと魅力的なことでしょう。 私はぐいぐい引っ張られながら、小町の人生にのめり込んで行きました」 (本文より) 第一章 私の中の小町 第二章 小野小町の人生 母・大町との別れ 雄勝・多賀城 父親との融和と理解の場 六道珍皇寺 小町の能力 神泉苑 愛の真実を知る場所 雲林院 桜を扇に乗せて思いを伝える 仁明帝 深草陵 竹林と愛の悲劇 欣浄寺 小町は惨めに年老いたのか 山科の花と雪の里 随心院 平安時代の婚姻関係 香は男と女を結ぶ 業平と小町の出会い 慈恩院 魂を鎮めるところ 下出雲寺 父・篁との和解 笛を吹くということ 小町の歌の変遷 母恋い 鄙と都 出家というもの 石上寺 平安時代の暮らし 第三章 [対談]叶わぬところにあはれがある 高樹のぶ子×歌人・小島ゆかり
2020年の新型コロナ禍による緊急事態宣言中に刊行し、大きな反響を呼んだ『小説伊勢物語 業平』。泉鏡花文学賞と毎日芸術賞をW受賞した「日本の美の源流をたどる」小説として、次に紡がれたのは、同じく平安時代の「六歌仙」のひとり、優れた歌の才に加えて、絶世の美女としても数々の伝説が残る小野小町の一代記である。本作も『業平』に続き、日本画家・大野俊明氏のカラー挿絵が「みやび」の世界に色を添える。 能楽の演目でも重くあつかわれる観阿弥作「卒塔婆小町」が元にしたとされる伝説「百夜(ももよ)通い」。小町を恋する男に、百夜通ってくれば共寝してもいいと無理難題をつきつける。男は通いつづけ、百夜目に悲劇的な死に見舞われる。思いが叶わなかった男の恨みはやがて小町の身の上に残され、惨めに老いさらばえるーー小町はなぜこのような姿に描かれ後世に伝えられねばならなかったのか。古今和歌集と後撰集に残された数少ない小野小町の実作とされる和歌をより深く翫味すれば、そこに隠された本当の小町の姿が立ち現れてくる。 小町の歌の世界はけして甘美ではない。しかし、「日本の美の源流」が「もののあはれ」、哀れから来るとなぜ言われてきたのか。五感を研ぎ澄まして、この小説の音律に身を委ね、時に声に出して読んでいけば、読後にかつて経験したことのない深い感動が待っている。「もののあはれ」が体感できる小説と言っても過言ではないだろう。 <前篇 花の色は> 高麗笛 一夜契り 夢と知りせば あはれてふ 六道の辻 月と雲 慈雨 算賀の菊 花ひとひら……など <後篇 我が身世にふる> うつろふもの 鄙の月 熾火 遺戒 梅花 春霞 海松布 懸想文 誘ふ水 母恋ひ 浦こぐ舟 慈恩院 百の文……など
この世界は虚構だった。台本があるからこそ成せる虚構。その大いなる虚構の中に夢があった。その夢が色褪せつつある…気に入らないなら毀せ。おまえの目指すプロレスとは。決まってるだろう、「最強」だ!第14回日経小説大賞受賞作。
ある朝、通勤と反対方向の電車に、魔が差して乗ってしまった。山の中をさまよい、戻ってくると、誰もマスクをしていない!似ているが…ここは私の世界じゃない。コロナ禍の行動制限中に日経連載。迷い込んだ異世界が現実を先取り?