出版社 : 早川書房
「狼」と呼ばれるダイヤモンドを手にした瞬間、美貌の青年ダニエルの運命は変わった。満月が昇るたびに狼に変身し、殺戮を繰り返すようになったのだ。人間たちを血祭にあげながら、ダニエルはダイヤに導かれるように故郷の村へと舞い戻る。懐かしい地で出会ったのは焔のごとく赤い髪の美しい女。ダニエルと女はダイヤの魔力の命ずるままに激しい恋に落ちた…ファンタジイ界の女王が贈る華麗なるロマンティック・ホラー。
快楽のために殺し、被害者の臓器を提供する謎の男、コレクター。完全犯罪に喜びを見出す彼にとって、巨額の報酬は二義的なものに過ぎなかった。シカゴ市警の精鋭捜査班を率いるトゥリオ刑事も、殺人者の鉄壁の仮面を剥ぐことができない。しかもコレクターは情報収集のため、トゥリオの恋人である弁護士メリアンの身辺に迫っていた。やがて彼女が知ったコレクターの意外な正体とは?謎の殺人者との対決を描くサスペンス。
何者かの罠に落ち、無実の罪で服役していた元最高裁判事のアデアは、釈放の日に獄中で命を狙われた。自分の首に二万ドルの賞金が懸かっていることを知った彼は、隠れ家を提供するビジネスを行なっているカリフォルニアの小さな町に元弁護士の男と共に逃れる。そして、姿なき敵に復讐する策を練り始めるが、彼の周囲で次々と殺人が…急逝した巨匠の代表作。
アイルランド系アメリカ人のヨット・ブローカー、ポール・シャナハンのもとに、四年もの間待ち続けた依頼が舞いこんだ。IRAのために、地中海からアメリカまで船を運ぶ仕事-彼はかつて、IRA暫定派とパレスティナ・ゲリラとの連絡役だった。ところが、四年前に彼がCIAの回し者だという噂が立ち、そのために組織から遠ざけられていたのだ。久しぶりの依頼は、IRAが53基のスティンガー・ミサイルを買うための500万ドルの金貨を、ヨットでアメリカまで運ぶというものだった。500万ドルの資金の出所には、イラクのサダム・フセインの影が見え隠れしていた。折りしも湾岸戦争が勃発しようとしており、フセインは西欧各地でテロを煽動しているらしい。IRAからの見張り役二人とともに金貨を積んだヨットで出港したシャナハンは、しかし意外な行動に出る…。
ナイフ会社のしがない営業マン、ギル・レナードは狂喜した。メジャーリーグのスーパースター、ボビー・レイバーンが彼の応援する地元チームに移籍してきたのだ。やがて、ボビーが泥沼のスランプに陥ったとき、ギルは悟った。すべてを犠牲にしても、彼をスランプから救いだすことは自分の使命なのだ。そのためには殺人を犯すことも辞さない、と…。超満員のファンに埋めつくされたスタジアムで、いま、運命のゲームが幕を開けようとしていた!ロバート・デ・ニーロ主演、トニー・スコット監督で映画化のサスペンス話題作。
数年前、偏執的な男チャールズから一方的に思いを寄せられ、命までも狙われた弁護士のサラ・フォーチュン。身も心もぼろぼろに傷ついた彼女を救ったのは、献身的な恋人マルコムだった。しかし、時が経つにつれてサラには、彼の愛がかえって重荷に感じられるようになっていた。そんな時、彼女はノーフォークの海辺の村で遺産問題を処理するように依頼される。地元の有力者パードウ氏が遺した巨額の遺産と奇妙な遺言をめぐって、未亡人と三人の子供が骨肉の争いを繰り広げているという。だが、その村はまた、かつて彼女をつけ狙ったチャールズが妻の後を追って入水自殺を遂げた因縁の土地でもあった。自らの過去を清算すべく、サラは進んで仕事を引き受けるが、そこには忌まわしい記憶をふたたび呼び覚ます、恐るべき事件が待ち受けていた。
ついにローダン一行は建造中の死の衛星に潜入し、六次元爆弾をしかけることに成功した!つぎの目標は宇宙港エクシロット。そこで脱出用の宇宙船をカピンから奪取しようというのだ。おりから宇宙港のあるコプタイト大陸でも、クロキソールをはじめとするツォイトの原住生物が冬眠から目覚めるや、エクシロットへの進撃を開始していた。かくてローダン一行と、ツォイトの野獣たちとの奇妙な共同作戦がはじまったが…。
若い女性は誰だって白馬の王子さまを夢に見るもの。でもわたし、アンネッタは結婚しているから、もうそんな夢は見ない。結婚した相手の男はニコラ。ホテルの雑用係だけど、家に帰れば暴君と化し、夫婦の営みはまるで暴力沙汰。“愛”なんて少しも感じられなくて、あるのは、ただ動物的な肉体関係のみ。それでも、結婚したというそれだけのことで、いつのまにやら奥様にまつりあげられてしまったわたし。いったい、“結婚”ってなに?“奥様”ってなんなの?わたしだって、おもてで働きたいのに!いまだに古い因習が生活を支配するシチリア島の港町で、真の自由を求めてはばたこうとする少女、アンネッタの心情をみずみずしく描き、ヨーロッパ各地で記録的ベストセラーとなった『ズボンがはきたかったのに』の続篇。
21世紀、偶発核戦争の勃発により人類文明は崩壊した。残されたのは地球上空を巡る三つのスペース・コロニーと月基地のみ。だがそのおのおのは補給を絶たれ、孤立無援の状況に陥っていた。ロシア人研究コロニーは他国との協力をこばみ、交信を絶った。アメリカの工業コロニーでは生存のため、合理性の権化のような指導者によって常軌を逸した非常手段が取られようとしていた。孤絶した各コロニーに生き残る途はあるのか。
唯一食糧を自給できるフィリピンのコロニーから使者として送りだされたラミス少年は、真空中を帆走する生物を操ってアメリカの工業コロニーに辿りついた。あとはロシア人のもとへ赴くだけだ。アメリカ人により開発された超強靱なハイテクワイアーの存在を知った彼は、大胆きわまりない策を実行に移すー軌道上のコロニーをひとつに結びつけるために。気鋭の科学者作家コンビがサスペンスフルに描く、傑作宇宙冒険SF。
本書は、70年代のもっともすばらしい私立探偵小説といわれる『さらば甘き口づけ』の続篇にあたり、国際推理作家協会が主催するハメット賞を受賞するなど高い評価を得た作品である。魅力的な登場人物たち、想像力豊かで奔放なプロット、詩情豊かな語り口など、クラムリー節は相変わらず健在だ。ハードボイルドの最高峰クラムリーの入魂の最新作。
「あのとき宇宙から地球へ逃亡してきたレプリカントは、六人いたのよ」サラ・タイレルの言葉に、デッカードは愕然とした。「タイレル社に侵入しようとしてまず一人が死んだ。そして、あなたが四人殺した。これで五人、でも、もう一人、六番めのレプリカントがいた。あなたにそいつを捜しだして欲しいの…」あのめくるめく事件から9カ月、オレゴン山中の山小屋でのささやかな安息の日日も、レイチェルそっくりの女性、いまやタイレル社の総帥となったサラ・タイレルのこの言葉によって終わりをとげた。拒絶すれば、死-レイチェルの死だ!かくして、2020年8月、荒廃したロサンジェルスを舞台に、デッカードの新たなる探索が開始された。なんとしても謎のレプリカント-六番目のネクサス6型レプリカントを捜しだすのだ、愛するレイチェルを、そして自分自身を救うために…。
“悪魔の子”ルークー自分の弟や里親の子どもを惨殺した九歳の少年は、自分が殺人を犯したことをまったく覚えていなかった。両親から受けた凄惨な性的虐待が原因で、多重人格者となっていたのだ。同じく虐待された経験をもつバークは、少年を救済し自らの過去に決着をつけるために、ルークを虐待した真の“悪魔”に罪を償わせるべく敢然と立ち上がった。自己の再生をかけたバークの熱き闘いを描くシリーズ第一期最終章。
呼び出しは深夜にきた。二人の刑事が、失業中の元警視ピーター・ダイヤモンドを、ロンドンのフラットのベッドから引っ張り出したのだ。連れて行かれた先は、ダイヤモンドのかつての職場、バースのエイヴォン・アンド・サマセット署だった。かつて彼を辞職に追い込んだ上司たちが、深刻な顔で迎えた。殺人犯マウントジョイが脱獄し、副署長の娘を誘拐して交渉相手にダイヤモンドを指名しているという。四年前、女性ジャーナリストが口に赤い薔薇を詰めこまれて刺殺された事件があり、彼がマウントジョイを逮捕していた。頼みこまれて、ダイヤモンドはしぶしぶ、しかし内心では大好きな捜査活動ができることにほくほくして、マウントジョイとの会見にのぞむ。そこで要求されたのは、四年前の事件の洗い直しだった。もしマウントジョイが無実だとすると、真犯人は誰だったのか。被害者のボーイフレンド、家主、取材していた不法居住者たち…。調べていくうちに、当時は埋もれていた事実が次々と明るみに出、ダイヤモンドの不屈の刑事魂が過去と現在を鮮やかに結びつけていく。巨匠会心の、英国推理作家協会シルヴァー・ダガー賞受賞作。
待ちに待った夏休み。プレップ・スクールの英語教師アマンダにとっては、生徒たちから解放され、思う存分羽をのばせる絶好のチャンスだ。折りも折り、親友の写真家サシャが撮影でアトランティック・シティへ行くという。費用は一切合切クライアント持ちという甘い言葉に誘われて、アマンダは彼女に同行することに。ところが、宿泊先のホテルのスイートから見ず知らずの男の死体が発見されたから、さあ大変。おまけにサシャらしき女と被害者が連れだってスイートに入っていくのを見たという目撃者まで現われる始末だ。被害者は投資コンサルタントで老人たちから大金を騙し取るなどかなり悪どい商売をやっていたらしいのだが…。親友の容疑を晴らすために真犯人探しを始めたアマンダを、次なる殺人事件が待ち受けていた。美人英語教師アマンダ・ペッパーの、ロマンティックでちょっぴり危ない夏休みを描く人気シリーズ第五弾。
スティーヴとサンドラ、ヘイルとヴィヴィアンの二組の夫婦は、かたい絆で結ばれた親友同士だった。数週間前、凄惨な殺人事件が突如四人の身に降りかかるまでは…。私立探偵ジョン・カディは、恋人の検事補ナンシーからメイン州で二組の夫婦の三人がクロスボウで射殺され、残された一人が容疑者として逮捕された事件の調査を依頼された。容疑者のスティーヴは一貫して犯行を否認しており、事件には不自然な点も多かった。調べを始めたカディは、四人が別荘地にやってきては地元民から顰蹙を買っていた事実を知る。さらにスティーヴが勤める会社の商売敵の陰謀説や、四人に利害関係を有する肉親の存在も浮かび上がってきた。残忍な手口の背後にはいったいどんな動機が。友情の裏に隠された歪んだ人間関係に迫るカディ。
魔石ベーリオンを得たスパーホークは「光る魔物」と呼ばれる謎の一族の接触をうけた。彼らは、自分たちに背負わされた呪わしい運命から逃れるためにベーリオンの力を借りたいのだという。だが、聖騎士の導き手たるセフレーニアはこの一族に深い恨みを抱いている様子。そんな彼女をよそに、読心能力を操る「光る魔物」の指導者が、聖騎士一行の中に裏切者がいると告げた。軍神シルゴンと通じ騒乱をしくんだその人物とは。
何者かに妻を殺されて生きる気力を失っていた造船所の経営者ティム・ブラックバーンは、過激な環境保護組織「ジェネシス」に入ったまま行方不明になった娘を探すためにフロリダめざし旅立った。世界各地の環境保護団体が一堂につどう会議に「ジェネシス」のリーダーが出席するかもしれないという情報を入手したのだ。だが、それは、嵐吹きすさぶ地の果てパタゴニアの海まで続く苛酷な闘いの旅のはじまりにすぎなかった。