出版社 : 早川書房
バークの前に現われた女はベルと名乗った。圧倒的な肉体を持つストリッパーながら媚びを知らず、その心は無垢だった…ベルの手引きで、少女売春婦だけを次々と襲う〈幽霊ヴァン〉を片付けてくれという依頼を受けたバークは、暗黒街を探り始める。だが、逆に血に飢えた空手使いをおびき寄せてしまった。現代ハードボイルドの鬼才が描く、殺人鬼とバークの凄絶な対決。一途な女の哀しき純情が心打つ、シリーズ代表作。
マイアミ市警の女刑事バレンのもとに悲報が届いたのは、深夜だった。最愛の姪スーザンが惨殺されたのだ。犯行手口は女子学生ばかり狙う連続殺人犯のものと一致する。警察は以前からマークしていたアラブ人学生宅で動かぬ証拠を発見、男も一連の凶行を認めた。だがバレンは、残された犯人の唾液に飲酒の形跡があったことを思い出した。イスラム教は飲酒を禁じているー真犯人は別にいるのだ。彼女は単独捜査を開始した
報道カメラマンの顔の下に殺人の衝動を秘めた男、ダグラス・ジェファーズ。彼は、罪もない女子学生アンを記録役にして、かつて自分が殺人を犯した場所を再訪する旅を続けていた。一方バレン刑事は、ジェファーズの弟である精神科医マーティンを訪ね、協力を求めるが…。姪の復讐を誓う女刑事、兄を自首させようとする精神科医、凶行の総決算を目論む殺人者、彼の虜となった女子学生ー大陸を縦断する追跡劇の結末は。
わたしが勤める美術館に、フランスの画商がレンブラントの絵を寄贈するといってきた。だがその男は美術界の異端児で、事前の科学的な検査は認めないという。寄増は受けるべきか。恋人と過ごす休暇を犠牲にして、わたしは絵を鑑定するためフランスへ赴くが、そこで殺人事件に巻きこまれようとは…好調、美術館学芸員クリス・ノーグレン・シリーズ第三弾。
2061年、ヘイウッド・フロイドは高鳴る動悸を抑えきれなかった。75年ぶりに再接近してきたハレー彗星の探査計画への参加を要請されたのだ。最新型のミューオン駆動宇宙船ユニバース号に乗り組みハレー彗星をめざすーそして、みずからの手で彗星を調査する。だが、彗星に着地し探査を始めたフロイドたちを、思いもよらぬ事件が待ち受けていた。
人類は、木星軌道上に設置したワームホールをタイムマシンに転換すべく奮闘していた。そんな時、そのワームホールから未来人の船が現れた。乗っていたのは〈ウィグナーの友人〉と名乗る人々で千五百年未来の地球を支配する異星種属クワックスを滅ぼすためにやって来たのだという。だが、その裏には途方もない意図が。ハードSFの新たな旗手が、千五百年の時に隔てられた二つの太陽系の抗争を壮大に描いた傑作長篇。
こいつは時価五十万ドル、いやそれ以上かー私たちは忍び込んだコルキャノン邸で、世界に五枚しかないという超希少コインを手に入れた。たった一時間の仕事としては上出来だ。と喜んだのも一晩限り、翌朝コルキャノンの妻が撲殺死体で発見され、なんと私に殺人容疑が。その上、第二の殺人が起こり、問題のコインが消えるにおよんで、私は犯人捜しに乗り出すことに。
西暦19352年に開発された時間航行の方法は、人類に多大な危険をもたらした。この方法を悪用し、過去を都合よく改変しようとする者があらわれたのだ。こうした時間犯罪を取り締まるためにタイム・パトロールが組織された。その一員エヴァラードは、大規模な歴史改変をもくろむ「称揚主義者」を捕えようと命じられるが…時流を縦横無尽に行き来して歴史を管理するタイム・パトロールの活躍を描く、時間テーマSFの傑作。
タイムサイクルで時流を行き来して歴史を監視し、時間犯罪を取り締まるタイム・パトロールの一員エヴァラード。さまざまな時代で歴史に干渉して時流を支配しようとする超人〈称揚主義者〉との戦い、隊員として出向いた時代に生きる人々との出会いと別れ、そして美貌の隊員ワンダとのせつないロマンス…“正しい時間線の管理者”たるエヴァラードの活躍を描く、時間テーマSFの名作『タイム・パトロール』の続篇登場。
九カ月の赤ちゃん、ビンク坊やはお気に入りの絵本『赤ちゃんのおでかけ』を子守りに読んでもらっていた。大富豪コットウェル家の跡取り息子のビンク坊やの夢は、絵本の主人公のブー坊やと同じように、すてきな冒険をすること。それが思いがけず実現した。悪党三人組が、ビンク坊やを誘拐して身代金を手に入れようと考えたのだ。誘拐された赤ちゃん、ビンクをめぐって起こる大騒動を描く、痛快アドヴェンチャー・コメディ。
精神科医ケイレブの患者が謎の死を遂げた。警察は自殺と発表するが、そんなはずはないと直観した彼は、独自に調査をはじめる。一方、捜査にあたったシネス刑事はじつはケイレブに殺人の容疑をかけていた。人間を犬型と猫型に分類し、超然と生きる精神科医と、たたき上げの実直な刑事。ふたりはいつしか立場を超えて理解しあうが、時すでに遅く、第二の殺人が…マリス・ドメスティック・コンテスト最優秀作に輝く話題作。
シャーロック・ホームズがこの世を去ってから二年後、ワトスンは彼の伝記を書くため、新聞に情報を募る広告を出した。その時から奇怪な事件が続発し、資料の一部も盗まれた。謎を解くべくワトスンは数々の資料を調べ始める。やがて明かされるホームズの美しい恋と、バイエルン国王ルートヴィヒ二世をめぐる陰謀。意外な結末が待ち受ける傑作パスティーシュ。
カリブ海に浮かぶ雨林の生い茂る小島で、二人は偶然に知り合った。白人の大富豪の庇護を受けて育ちソルボンヌ大学を卒業した娘と、黒人だけに囲まれてフロリダの小さな町で育った青年。異なるがゆえに惹かれあいはげしい恋におちていく。そして異なるがゆえにすれちがい相手を深く傷つけていく。黒人同士でありながら決定的なちがいを持ち合せた二人の、炎のような恋のゆくえは。
自前の会社が倒産して以来、いささか人生に退屈していたぼくの前に突然、拇指サイズの小人が出現した。小人は悪友のハリイ・ガーバーで、自分が時空支配装置を発明したことを告げるために未来からやってきたのだという。これで世界はぼくらのもの、と喜んだまではよかったが、時間と空間をもてあそぶうち、危険な寄生頭脳をこの世に招き入れてしまった。鬼才ラッカーの奔放なアイデアが大爆発する、ポップなSF狂騒曲。
女王陛下の勅書送達吏スタンレーがスペインで危機に陥った。好ましからざる人物として警察から手配されたのだ。救出の命を受けたハーフハイドは現地に潜入。だがスタンレーとの接触には成功したものの、謎の一味に捕らえられてしまった。しかもスタンレーの口から明かされたのはビクトリア女王の暗殺計画。はたしてハーフハイドはこの情報を本国に伝え、陰謀を阻止できるのか。行く手にはスペイン艦隊が立ち塞がる…。
1944年春、連合軍の反攻を前にして、ロンメル将軍はドイツ軍の防衛計画会議をフランスの古城でひらこうとしていた。イギリス特殊作戦部のマンロゥ准将は、城主の姪アンヌーマリーに会議を探らせようと企てるが、彼女を不慮の事故が襲った。そこでアンヌーマリーの双生児の妹ジュヌヴィエーヴが姉になりすまし、フランスに潜入する。だが、古城で彼女を待ちうけていたのは、恐るべき謀略の罠だった…傑作戦争冒険小説。
若い女性が指を潰され、絞殺されるという事件が相次いで起きた。捜査にあたったインディアナポリス市警のパウダー警部補は、ふたつの殺人の関連を追い始める。その矢先、女子学生が謎の失踪を遂げた。錯綜する事件の裏にはいったい何が。都会の夜を守る辣腕刑事パウダー登場。現代ハードボイルドの雄が、私立探偵サムスンを脇役に配し、怒り、迷い、恋に悩む男の姿を描く傑作警察小説。
カリブ海に浮かぶヴァージン諸島。もっとも危険な暗礁といわれるサンダー・ポイントでダイビングをしていたベイカーは、沈没して珊瑚に覆われたUボートを発見した艦内から持ち出した艦長の日記を読んで、ベイカーは驚愕した。なんと、そのUボートはナチの最高幹部の一人マルティン・ボルマンを南米へ脱出させる途中だったというのだ。しかも、当時の英米のナチ支援者の名簿と、ウィンザー公がナチに協力を約した秘密文書が積まれているらしい。これらの書類が明るみに出るようなことがあれば、英国にとっては一大スキャンダルとなる。ベイカーの知らせで、ファーガスン准将ひきいる英国情報機関グループ・フォアが書類の回収に乗り出した。ところが、ベイカーが交通事故で死亡したためUボートの沈没場所がわからなくなった上に、書類のありかを探ろうとする別のグループが存在することが判明した。そこで、ファーガスンは思い切った策に出た。元IRAのテロリストで熟練のダイバーでもあるショーン・ディロンを、回収作戦の実行者としてヴァージン諸島に送り込んだのである。Uボートに眠る秘密をカリブの青い海に探る、会心の冒険サスペンス。