小説むすび | 出版社 : 早川書房

出版社 : 早川書房

嵐の眼嵐の眼

「サダム・フセインの力を世界に示せ」イラクのフセイン大統領の命を受けた大富豪アルーンは、湾岸戦争のさなか、パリで一人の男に接触した。男の名はショーン・ディロン。元IRAのメンバーで、変装を得意とする名うての国際テロリストである。多額の報酬と引き換えにディロンは仕事を受諾、標的を訪仏中のサッチャーに定めるが、密告により暗殺は失敗した。密告者の情報から、暗殺を図った犯人がIRA関係者であることを知ったフランス情報部DGSEのエルニュ大佐と、イギリス国防情報部のファーガスン准将は、元IRAの闘士マーティン・ブロスナンに協力を要請する。ブロスナンは犯人がディロンだと断言するが、自ら行動することは拒否した。ディロンとの間には浅からぬ因縁があったが、今は硝煙の世界と訣別していたからだ。だが、やがて痛ましい事件が起き、彼は銃をとりディロンの行方を追い始める。一方、ディロンは新たな計画を進めていた。標的は英国首相官邸。戦時閣議が開かれているその官邸を迫撃砲で攻撃し、メージャー首相と閣僚を抹殺しようというのだ。だが、彼の背後には、ブロスナンの追跡の手が確実に迫っていた…。『テロリストに薔薇を』で鮮烈な印象を残したマーティン・ブロスナンが再び登場、冷酷なテロリストと宿命の対決を繰りひろげる。湾岸戦争中に実際に起きた英国首相官邸砲撃事件を題材に描く、白熱の冒険アクション。

決断決断

困難な医療過誤裁判に勝利をおさめた弁護士のギャルヴィンは、その手腕を買われてボストンの一流法律事務所のパートナーになり、多忙な毎日を送っていた。そんなある日、彼のもとに一人の女性弁護士ティナが訪れてきた。動脈硬化や心臓病の特効薬ライオシンの副作用として先天異常の子供が生まれることが判明し、訴訟を起こしたいという。だが、ライオシンを販売しているアメリカのガーメット社と、製造元のイギリスの会社は共に巨大で、手に負えないので代わって起訴してほしいというのだ。ギャルヴィンはいったんは断わるが、薬害にあったという子供を見て心を動かされ、その依頼を引き受けた。そして法律事務所の幹部たちにこの件を語るが、意外にも却下されてしまう。ガーメット社は事務所の顧客だったのだ。ティナは一人で訴訟を起こした。そしてギャルヴィンは恩師の老弁護士モウ・カッツに、彼女を助けてもらえるよう頼んだ。だが、運命の皮肉か、ギャルヴィンの事務所がガーメット社の弁護をすることになってしまった。心ならずも恩師と対決する羽目に陥ったギャルヴィン。しかも、やがて訴訟の関係者が相次いで不審な死を遂げ、事態は奇怪な様相を呈してきた…。迫力と感動の第一級の法廷サスペンス。

ペイパ-・ド-ルペイパ-・ド-ル

ルイスバーグ・スクェアに豪邸を構えるボストンの名家の女主人が通り魔に殴り殺された。犯人を挙げられない警察に業を煮やした当主のラウドン・トリップは、私立探偵スペンサーを選んだ。殺された妻オリヴィアを心から愛していたラウドンの苦悩は深く、なんとしても殺人犯を捕らえ、厳罰を下したかった。だが、依頼を受けたスペンサーはしっくりしないものを感じていた。いくら家庭を大事にしていたといっても、彼らの息子や娘はなにか問題を抱え、殺された妻には夫の知らぬ秘密がありそうだった。一見非の打ちどころのない幸せな家族-、それは大いなる幻影だったのではないのか?この事件の担当刑事は恋人をエイズで失ったゲイの青年リー・ファレルだったが、スペンサーは彼の協力を得て次第に事件の背後にあるものを嗅ぎとっていく。そして、被害者オリヴィアの出身地サウス・カロライナへ赴くが、そこには彼女の出生にまつわる意外な事実と、調査を妨げようとする巨大な圧力が待ち受けていた…。シリーズ中もっともプロットに凝り、高く評価された第20作。

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