出版社 : 早川書房
綿密な手順に従い、オーヴァスとマイケルは麻薬密売組織の裏をかき、コカインと引き換えに大金を手に入れた。しかし、組織がこのまま見過ごすはずもなく、マイケルたちを制裁すべく総力をあげて追跡を開始する。そして、不気味な男の魔手もじわじわと迫ってきた。果たして、彼らは無事逃げのびることができるか?マイアミの市街と郊外の大自然を舞台に、一世一代の取引に賭けた男たちの鮮烈な姿を描くサスペンス大作。
その女が望めば手に入らないものは何ひとつなかった。ロビイストとしての名声も、財務大臣夫人の座さえも。そんなエリート女性の失踪事件に世間は騒然とした。捜査に乗り出したマクリーシュ警部は、背後に醜悪な人間関係が潜んでいることを知るが、やがて彼女は変わり果てた姿となって発見された。愛と憎悪が交錯する政財界を舞台に、注目の女性作家が描く人気のシリーズ第3弾。英国推理作家協会賞長篇賞ノミネート作。
後悔なんかしていない。その気持ちに嘘はなかった。夫のもとを去ったわたしは、今日からは恋人ピートの家で暮らし始めるのだ。ところが、そんな大切な日なのに殺人事件のニュースが飛びこんできた。さっそくわたしは取材に行ったが、やがてピートの前妻の再婚相手が容疑者として浮かび、事件は思わぬ展開を見せはじめた。前作から一年、記者クリスのその後と新たな事件を描く注目の第二弾。
えっ!わたしが大学の講師に?ミステリに関する豊富な知識を買われ、アニーは大学で講座を持たないかと誘われた。ちょっぴり不安はあったが、夫のマックスに励まされ、申し出を受けることに。が、大学でアニーを待っていたのは、学部内スキャンダルのからんだ殺人事件だった…。マカヴィティ賞最優秀長篇賞に輝く、謎解きミステリの人気シリーズ第三弾。
21世紀初期、日本は世界経済を掌握する巨大ネットワーク国家となっていた。東京で国際情報調査会社に勤務する森口咲子には、もうひとつの顔があった。夜ごと彼女は精悍な男性に変身して「ヴィーナス・シティ」に現われるのだ。ヴィーナス・シティとはコンピュータ・ネットワーク上に構築された仮想現実都市。ヴァーチュアル・リアリティの技術を応用したこの電子都市では誰もが自分の望み通りの人間となり、あらゆる欲望をかなえることができる。ある夜咲子は、シティの中で暴漢に襲われた少女を助ける。犯人は何者か、その動機は?やがて事件は日本全土を巻きこむ国際情報犯罪に発展する…。仮想現実感とジェンダー、コンピュータ技術と日本の将来を迫真の筆致で描いた近未来小説。
カントリーの本場ナッシュヴィルで歌手として立とうとして、行方を絶った木田恵美莉。大手レコード会社の日本人調査員〈私〉は、自にの潰えた夢に重ねあわせて彼女の失踪の謎を追うが…。カントリーの殿堂を買収しようとして日米摩擦を起こす日本人実業家、音楽都市に蠢く黒い陰謀、戦争花嫁だった日系老婦人の相次ぐ不審死が、その行く手を阻む。日本人探偵の必死の追跡劇をスケール大きく描く問題作。
17世紀、絢爛たる宮廷音楽の時代。ヴィオールを弾く二人の天才は、妻や恋人との悲劇を超えて、厳粛で官能的な音の織りなすバロックの世界へ旅立った。そして-世界のすべての朝は二度と戻ってこない。
東京に赴任していた英国外交官ピーター・ダーウィンは、本国へ転勤になり、帰国休暇の途中マイアミに立ち寄った。そこでクラブ歌手のヴィッキイと知り合った彼は、なりゆきで、娘の結婚式のために英国へ行く彼女とその夫を送って行くことになる。ヴィッキイの娘ベリンダの住む、チェルトナム競馬場近くの町は、偶然にも、騎手を父にもつダーウィンが幼年時代を過ごした場所だった。ベリンダは勤めている動物病院の獣医ケンと婚約していたが、ケンの周囲には暗雲がたちこめていた。優秀な獣医である彼が手術した馬が、なぜか次々と原因不明の死をとげ、病院に悪い噂がたちはじめていたのだ。さらにダーウィンらが到着して早々、病院は放火され、焼け跡から身元不明の死体まで発見された。ケンの窮地を救おうとダーウィンは調査を始めるが、やがて幼年時代のこの町での思い出がじょじょに甦り、その記憶の中に、事件の謎を解く重要な手がかりが隠されていることに気づく。
エイズで逝った彼は、15歳年下のぼくを誰よりも深く愛してくれた…。残された者のかぎりない喪失の悲しみを繊細に描くアメリカ新世代ゲイ作家の感動のラブ・ストーリー。
森に埋められていた女性の死体は、一糸まとわぬ姿だった。割れた額、咽にぱっくりあいた傷。いったい誰がこんな酷いことを…。被害者の身元は、地元の不動産業者の妻と判明した。発見された森で、娘の家庭教師としばしば逢引きをかさねていたという。じつは殺された晩も、ふたりは会っていた。だが、それは甘い逢瀬などではなく、別れ話のためだった。必死ですがりついてくる女を、男は思わず杖で殴りつけていた。しかし、男が認めたのはそこまでだった。泣きじゃくる女を残して、そのまま立ち去ったというのだ。弁護士のヘレンは、男がいまつきあっている女性と親しかったことから、恋人のベイリー警視の捜査と対立することになると知りつつ、自分の担当外の事件に探りをいれはじめる。静かな村にひそむ歪んだ人間関係を弁護士ヘレンが解き明かす、英国推理作家協会賞法廷ミステリ賞受賞作。
ポスビ船で事故が発生し〈クレスト4〉が自力で故郷銀河へ帰還する可能性は最終的に断たれた。パラトロン・コンヴァーターを中枢部の設計者たちから調達し、ハルト船二隻に装備する以外に帰郷する道はない。アトランは救出したオフェケノケースたちの協力を得て、M-87の支配者の中央世界に到達するべく作戦をたてた。だが銀河中枢部の惑星モノルに進出したローダン一行を出迎えたのは、ドゥムフリーの大艦隊だった…。
中東平和会議に出席するイスラエル代表団を乗せ、エル・アル航空のコンコルドはニューヨークへ向かっていた。だが、その機内にはアラブ人テロリスト、アメド・リシュによって爆弾が仕掛けられていた。小型ジェット機コンコルドに接近したリシュは、狡猾な手段で同機をハイジャックし、砂漠の古都バビロンへの強制着陸を命じた。これに対し、エル・アル航空の保安部長ハウズナー以下の全乗客は地上での戦闘を決意した。
バビロンに不時着したコンコルドの乗客たちは防衛陣地を築き、リシュに率いられたアラブ人ゲリラへの必死の抵抗を開始した。だがイスラエル側の武器弾薬はあまりにも少なく、飲料水も尽きようとしていた。アラブ側の包囲網は徐徐に狭まり、壮絶な銃撃戦のなかでイスラエル人は次々に倒れてゆくが…。廃墟と化した砂漠の都バビロンを舞台に、極限状態で展開する人間ドラマを重厚かつ精緻に描破した大型冒険サスペンス。
プロの警官は捜査にけっして私情をはさまない。殺人課でもこわもてで知られるおれは、常に冷徹なプロだが、今度の事件ばかりはちがった。かねて捜索中の連続殺人犯グループが恋人のジェニファーを連れ去ったのだ。今ごろはもう殺されているかもしれない。おれは体じゅうの血がたぎるのを感じた。なんとしてでも奴らを見つけ出してやる。野性を秘めた男の壮絶な復讐劇を描き、全米書評子を唸らせた大型新人のデビュー作。
二年で終わる予定の研修期間がなぜか延長されて、われらが田中幸太は、いよいよ第一志望の外科に配属となった。しかし、ここに運ばれてくる患者は瀕死の状態の人ばかり。この最後の関門を突破しなくては、幸太は晴れて正式の医者になれないのだが…。「ふたたび腹部外科」。その他、現代医学が抱える問題点を真剣に笑う二篇を収録ー。スーパー・ホスピタル羅門堂病院を舞台に研修医・田中幸太の活躍を描くシリーズ第三弾。
星降る夜のデートのさなか、〈星の怪物〉にいいなずけの少女をさらわれた少年ウィクルは、捜索の旅に出た。連れは勇名を馳せている女ガイドのシルヴァ。〈星の怪物〉の棲みかを求めて、ふたりは宇宙に翔びたった…。試練の旅を経るうちに、か弱いとも思えた少年は、逞しさを増していく。やがて、〈星の怪物〉が少女をつれさらう恐るべき目的が明らかになった。はたして、ウィクルはいいなずけを再び自分の腕のなかに抱くことができるのだろうか?SFファンタジィ巨篇。