出版社 : 早川書房
KGBがアイルランドに送り込んだ休眠工作員ケリイ。その任務は、テロによって英国とIRAとの和平の動きを妨害し、紛争を激化させることだった。偶然入手した情報から彼の存在を知った英国情報部は、元IRAの闘士デヴリンの手を借りて、その正体究明と抹殺に乗り出す。だが、ケリイは追及を察知して逃走した。次なる暗殺を阻止すべく、デヴリンは必死の追撃を開始するが…。硝煙の世界に生きる男たちの姿を鮮烈に描く。
アメリカとNATOの依頼を受けた英国は、ソ連がバレンツ海に敷設したソナー網の位置をつかむために、画期的な対ソナー装置〈レパード〉を搭載した原子力潜水艦プロテウス号を出航させた。そんな折り、〈レパード〉を開発した科学者クインが突如失踪した。ソ連側に拉致された可能性は充分にある。SISの工作員ハイドは捜査を開始する。やがて重大な事態が起こった。プロテウス号がソ連の周到な罠に落ち、捕獲されたのだ。
プロテウス号は、バレンツ海に面したソ連の軍港に曳航された。機密を守るために、〈レパード〉を一刻も早く取り戻さなければならない。奪回作戦の指揮をとるSISの副長官オーブリーは、アメリカ海軍情報部のクラーク大佐をその軍港に潜入させる。そして彼を援助すべく自らも、連れ戻したクインと共に対潜哨戒機に乗って飛び立った。北の海に展開する息づまる奪回作戦の成否は?名手がスリリングに描く傑作冒険巨篇。
アメリカ探偵作家クラブがミステリの発展に寄与した各分野の優れた作品に対して栄誉を与えるエドガー賞。本書はそのうち1981年から88年までに最優秀短篇賞を受賞した作品を年代順に網羅したアンソロジーである。フレデリック・フォーサイス、ルース・レンデル、ローレンス・ブロックをはじめとする、現代ミステリ界最高の作家たちによる多種多彩な短篇を結集したファン必携の書。『エドガー賞全集』待望の続篇。
ピンチョン捜査官の身辺で事件が相次いだ。別れた妻が館長を務める図書館で司書が殺され、さらに恋人のアンナが何者かに誘拐されたのだ。二つの事件にはどんな関連が?自分に恨みを抱く者が復讐を企てているのか?アンナの安否を気遺いながら必死の捜査を続けるピンチョン。しかし彼を嘲笑うかのように犯人は次なる殺人を…。頑固者の捜査官と狡知にたけた誘拐犯との熾烈な闘いをサスペンスフルに描くシリーズ最新作。
うまそうな料理の匂いが漂う浜辺の別荘で愛する家族と至福の時を過ごす。わたしはこの週末を心待ちにしていた。ところが長男ジャックの友人が殺され、息子に容疑がかけられたのだ。幼い頃、浜に打ち上げられた瀕死の鯨のために涙を流した我が子が殺人犯だなどとは。冤罪を晴らすため、わたしはひとり事件の真相を探りはじめた…。冒険に憧れる中年男ドク・アダムズの活躍を描いた注目の冒険小説、文庫オリジナルで登場。
田中幸太にも、病院研修二年めにして、ついに後輩ができた。だが、この後輩というのが、とんでもないヤツだったのだ!コンピュータを駆使するデータ至上主義の後輩に、正しい医学の道を教えようと悪戦苦闘する幸太だったが…。「いよいよ神経内科」ほか2篇を収録ー。医者、看護婦、患者、その誰もがちょっと変。現代医学の常識を超えた羅門堂病院を舞台に、研修医・田中幸太の活躍を描くホスピタル・コメディ第二弾。
わたし、キンジー・ミルホーンはオフィスとしてカリフォルニア信用保険会社の二階の一室を使っている。そしてそれと引き換えに、ときおり型どおりの保険調査を行ない、不正な保険金請求がないかどうかを調べて、社に提出する。十月末のある午後、こうした疑わしい保険請求の一つがまわされてきた。それはもともと、しばらく前にジョギング中に殺された若い保険精算人が扱っていた一件の書類だった。人的傷害をともなう自動車事故で、ビビアンナ・ディアースなる女性が、むち打ち症、頭痛、筋肉の痙攣などの症状を訴えている。わたしはこの女の実際の居所を追いはじめたが、どうやら女は悪質な保険金詐欺グループとつながりがあるらしい。狡猾きわまりない保険金詐欺の実態を暴くため、わたしは別の女になりすまし、おとり捜査に身を投じることになる。南カリフォルニア、サンタ・テレサに立つ爽快な風、女探偵キンジー・ミルホーンの魅力が爆発する全米ベストセラー最新作。
日本企業ナカモトがロサンジェルスに建設した超高層ビル〈ナカモト・タワー〉で、美人モデルが殺された。階下のフロアでは、マドンナやトム・クルーズをはじめとする日米の有名人ばかりを集めたオープニング・パーティーが進行中だった。緊急連絡をうけた渉外担当官のスミス警部補は、日本人がらみの事件に豊富な経験を持つコナー警部とともに現場に急行する。しかし、ナカモトの現場責任者イシグロは、なぜか強硬に捜査を拒む。しかも、犯行時の現場が映っているはずの警備用ビデオテープは、謎の日本人によって持ち去られていた。経済摩擦で緊迫する日米関係を背景に、捜査は困難を極めるが…。刊行と同時に全米でセンセーショナルな話題を巻き起こし、ベストセラー・リストの第一位に躍り出た大型サスペンス。
酔って帰宅したダルジール警視は、裏手の家の寝室で展開される光景に思わず目をこらした。灯がともり、カーテンがひらかれたと思うと、裸身の女性があらわれたのである。だが、つぎの瞬間、女性のわきには銃を手にした男が立ち、夜のしじまに銃声が轟いた。女の死体をまえにたたずむ男は、現場に駆けつけたダルジール警視にむかって、妻の自殺を止めようとして銃が暴発したのだと主張した。しかし、目撃者のダルジール警視は、こいつは殺人だと自信満々だった。はたして、どちらの主張が正しいのか?一方パスコー主任警部は、つぎつぎと警察に送られてくる自殺をほのめかす手紙の差出人をつきとめるよう、ダルジール警視に命じられていた。内容からして、謎の差出人は今度の事件に関わりのある女性と推察されたが…。人間の生と死に秘められた苦痛と謎を鮮烈に描いた本格傑作。英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー受賞作。
故郷銀河からやってきた〈BOX 13111〉とテラナーを乗せたハルト船は、〈クレスト4〉のローダンたちとの邂逅をはたした。そこへ基地のエンジニア、キボシュ・バイウォフから交渉を求めるメッセージが届いた。人質をとるための罠の可能性はあるものの、交渉せざるをえない。そこでローダンは、チャイ・クールーを長とする交渉使節の派遣を決定した。クールーはコルヴェットKC-21でパルヤル星系へ向かったが…。
宇宙船〈シェナンドー〉は、ゆたかな自然のひろがる未知の惑星に到着した。キャリバンと名づけられたこの星で乗組員一行が出会ったのは、ヒューマノイド風知的生物だった。だが、記念すべき“最初の接触”の場で不慮の事故が発生、キャリバン人の一人が死んでしまった。両種族は、この悲劇を克服できるのだろうか?メンバーは必死で解決策を模索するが…。新鋭が宇宙における知性の意義を問いかける本格宇宙SF登場。
いつもどおり、研究室で心地よい昼寝を楽しんでいた数学者のぼくに驚愕すべきことが起こった。なんと、無意識に幽体離脱をやってしまったのだ!肉体を離れて意識だけになったぼくは、一冊の案内書に導かれ、ヒルベルト空間をー。数学の概念が文字どおり実体化した奇妙奇天烈な世界を目指した…。“無限”の実像を探求するため。鬼才の名に値する真の鬼才が怒涛のアイデアでSFと数学の極北を探求する超絶マッドSF。
かつては力ある魔道師ナカールのもとで栄えた都市カシュマラー。だが、そのカシュマラーもいまは大国ヘロデに征服され、市中にはヘロデ軍の傭兵として警備にあたるダルタル人があふれていた。そんななかで、子供だけを狙う連続誘拐事件が発生した。恐慌をきたす市民たちをよそに、カシュマラーの元軍人たちは、〈将軍〉と呼ばれる人物を中心に地下抵抗組織リヴィング党を結成し、政権の奪回をめざして画策をはじめた…。
リヴィング党の首魁〈将軍〉が暗殺された。犯人は、魔道師ナカールの城に隠れ住んでいる〈魔女〉だった。しかも〈魔女〉は、市中を騒がせている誘拐事件にもかかわっているらしい。彼女はいったい何をたくらんでいるのか?いっぽう〈将軍〉を失ったリヴィング党は、新たな指導者のもとでカシュマラー奪還に向けて最後の闘争を繰り広げようとするが…。都市の支配権をめぐる熾烈な争いを描く、人気作家入魂の意欲作。
ひとりの娼婦が殺された。嫌疑をかけられたイール氏は、隣近所の誰からも嫌われている孤独な独身男だった。極端にきれいずきな彼の唯一の楽しみは、アパートの向かいに住む若く美しい娘アリスを覗き見ることー。夜ごと部屋の明かりをつけず窓辺に立って彼女の様子をながめ、静かに恋の炎をたぎらせていた。ある夜、彼は恐ろしい出来事を見てしまったことから、人生の歯車を狂わせはじめる…。愛と誘惑、謎と裏切りの物語。
海底火山の爆発によって誕生した新島を、英国の領土にせよー海軍省の密命を受けたハーフハイド大尉は、帆船時代の遺物ともいえる老朽艦ヴァイスロイ号の副長として、フィリピン近海へと赴く。だが島は、すでにロシア海軍の誇る新鋭巡洋艦の戦隊に占領されていた。しかも戦隊司令官は、彼に敵意を抱くゴルジンスキー大公。ハーフハイドは大公の狡猾な罠に落ちて捕えられ、絞首刑を宣告された。海洋冒険シリーズ第2巻。