出版社 : 早川書房
連続殺人事件で揺れるモスクワに、さらに重大な事件が起きようとしていた。失脚した前書記長が、再び政権を握るべく陰謀をめぐらし始めたのだ。彼には強力な味方がいた。その人物、恐るべき魔力をを持つ少年シラーイはジャスティンの命を狙っていた。連続殺人事件を追うスターチャーと運命の再会を果たしたジャスティン、その彼を倒すべく執念を燃やすジャルコフ。-古来からの奇しき縁によって続けられた二人の抗争に、今、悪の化身シラーイが加わり、闘いはさらに、激化する。ファンタジィとスパイ小説を巧みに融合した一大エンターテイメント。
美術品密輸業のギルバート・ケンプにとって、それは朝飯前の仕事だった。ニカラグアの女富豪が、ヨーロッパ各国で買い集めた名画を輸出規制のないスイスまで運び込んでくれというのだ。高価なセザンヌの絵を抱え、ケンプはさっそくチューリッヒへと向かった。ところが駅に到着するやいなや、何者かの襲撃を受け、不覚にも輸送中の絵を奪われてしまった。あまりにも手際のよい襲撃の背後に潜むものは何か?プロとしての意地をかけ、ケンプは見えざる敵へ反撃を開始した。冒険小説の雄が美術界の裏側に生きる男の闘いをスリリングに描く。
ロンドンのビジネス街にあるささやかな煙草屋の二階に、切手商が間借りしていた。間借りといっても、切手商は週に二回しか部屋に来ず、しかも部屋には家具もカーテンも絨毯もなかった。ある日切手商のことを調べに刑事がやってきて、煙草屋の主人は俄然好寄心にかられた。切手商は、なんのために部屋を借りたのか。空っぽの部屋で何が行われているのか…築二百年を経た建物の意外な来歴が惹き起こした犯罪を描く表題作はじめ、ブラック・ユーモア、とぼけた味わい、あざやかなツイスト等、さまざまな趣好の逸品16篇を収録した初短篇集。
男は、フロリダ・キイズの湖のほとりに一人で住んでいた。フィッシング・ガイドとフライ作りをなりわいとして。恋人がいたが、その女にも、ほかの誰にも心を開いたことはなかった。生まれたばかりの時に自動車事故で両親を失い、その事実を十代の終わりに知らされた時、彼は復讐を決意した。この湖で相手の男を殺し、事故に見せかけて逃亡してから、人目を避けるように生きてきたのだ。そして、母親代わりに男を育ててきた女性が、いま釣り船の中で殺された…。環境破壊の進む島々を舞台に、孤独な男の闘いを描く全米書評子絶賛のデビュー作。
倒産寸前の音響メーカーに革命的な新スピーカーを売りつけた老人が殺された。殺人の現場は完全防音された実験室で、密室も同然の状況だった。しかも老人が何者であるのかを知る者はなく、犯人の動機さえわからないー投資会社の社長でやり手の父親と哲学者で世間知らずの息子の凸凹親子が不可能犯罪の謎に挑む、ハートウォーミングな本格派パズラーの好篇。
一撃で相手を天国へ送ることから“パラダイス・マン”と渾名される殺し屋ホールデン。彼は請け負った仕事のために幼友達のギャングを殺し、その時助け出した人妻と恋に落ちた。やがてマフィアの抗争に巻き込まれた彼は何者かに命を狙われ、彼女とともに身を隠すが。NYの暗黒街に生きるクールな殺し屋の姿をハードに描き出すクライム・ノヴェルの力作。
異星文化のごった煮と化した都市ヤミナベ・ポリスで開かれた超人サミットに四十数名のスーパーヒーローが集結した。このスーパーヒーロー一網打尽の機会を逃してなるものかと、悪の組織〈希望抜きのパンドラ〉は爆弾テロを敢行。スーパーヒーローの体はばらばらに。だが、天才バイオ科学者ユノ・Kの力により、地球人のホテルボーイ、スイハラ・カズヒコの脳とスーパーヒーローの部分を集めた新スーパーヒーロー〈怪傑ミイラ男〉が誕生した。
子供たちの父は、チャンドラーだった。その友は、フィリップ・マーロウだった。彼らの熱い思いがマーロウをここに蘇らせた。レイモンド・チャンドラー生誕百年記念出版。
現代の気鋭作家たちの新たなストーリーに乗って、フィリップ・マーロウの心と時代が躍動する。画期的な試みで誕生した記念アンソロジー。レイモンド・チャンドラー生誕百年記念出版。
ロデリックは、大作家の父が若い女優の卵に私生児を生まれたときのスキャンダルをよく憶えていた。だがそのときの私生児コーデリアから連絡をうけようとは思ってもみなかった。コーデリアの用件は、いまや舞台の大女優として君臨する母マイラの伝記を書くので、父の所有する母の手紙を見たい、というものだった。だが、本当の目的は別にあった。マイラから虐待されて育ったコーデリアは伝記で母の本性を暴いて復讐しようと考え、それを裏付ける資料を捜していたのである。その意図に気づいたマイラは、ロデリックの家を訪れたコーデリアを追って、自分も小さな田舎に村にやってきた。2人は村のパブの一室にこもり、激しい口論を闘わせていたが、やがて、一発の銃声が轟いた。愛と憎しみが錯綜する人間関係を鋭い筆致で描き、イギリス本格の魅力を満喫させる、実力派作家の最新作。
人類文明発祥の地、エジプト。今なお古代文明の残り香が漂うこの土地に、エイリアンは興味を示した。やがて彼らの壮大なプランが実行に移されたとき、エジプトは天地創造以来の大激変に見舞われた…新たな神話の誕生を描く表題作。ひたすら加速しつつ大宇宙を飛びゆく宇宙船の物語「相対論的効果」。冷凍睡眠で未来社会に甦り、ジョン・レノンだといつわってスターの座をねらった男の悲喜劇「ドゥーイング・レノン」など、現代ハードSFの旗手のバラエティ豊かな傑作中短篇を一堂に結集したベンフォード・ユニバースへのガイドブック登場。
地球に転属される途中で行方不明になった進歩官アバルキン。秘密調査員マクシム・カンメラーはこの男の捜索を命じられた。だがカンメラーが立ち入った質問をすると、上司はたちまち口を閉ざしてしまう。しかも仕事は5日間で極秘裡に遂行しろとの期限付き。進歩官に関する資料に目を通してみても、失跡しなければならない理由は見当たらない。両親、女友達、恩師ーアバルキンの周囲の人びとから調査を開始したカンメラーだったが、彼はやがて、人類の未来をおびやかす驚くべき事実に直面することに…。ソ連SFの雄が贈る会心のSFミステリ。
ぼくの名はテイルチェイサー。偉大なる猫一族の末裔。これといった取柄もない平凡な猫。そんなぼくに大きな異変がおとずれた。ほんの何日かの間に愛しい牝猫ハシュパッドを含む数匹の仲間が、前ぶれもなしに行方をくらましたのだ。集まった長老たちは自力で解決する方法を見いだせない。業を煮やしたぼくは、ひとりハシュパッド探索の旅に出ようと決心した。だが森へ足を踏み入れたぼくを待ち受けていたのは、地上制覇をもくろむ邪悪な存在だった。…伝承の歌に彩られた猫族の世界を舞台に若き英雄の成長をみずみずしく謳い上げる傑作冒険譚。
悪夢から目覚めたとき、エリックの部屋は竜巻が通りすぎたあとのような有様だった。-幼いころ事故で両親を失ったエリックは最近、事故の夢をみるようになっていた。だが、そのあと必ず部屋が目茶目茶になっているのだ。謎を解く鍵を求めて、エリックは忌わしい記憶の残る故郷の町を訪れる。そこで彼が見出したのは、町のはずれにある湖畔の洞窟で過去に十数件もの殺人・自殺事件が起きているという事実だった。果たして洞窟にはいかなる秘密が隠されているのか?
閑静な田舎町に奇怪な事件が起こりはじめた。洞窟の見える家では男が妻子を射殺したのち、死亡。ヒッチハイクの若者が洞窟に連れ込まれて切り刻まれる。すべては、この世を支配せんとする闇の力の仕業だった。エリックは自分に課せられた重大な使命を知り、身を挺して対決することを決意する。やがて夜が訪れ、邪悪な力がつぎつぎと住民たちを襲いはじめた。〈悪魔の夜〉が明けるとき、生き残っているのは、人間か、それとも悪魔か?気鋭の力作サイキック・ホラー。