出版社 : 朝日新聞出版
余命宣告された52歳の末期がん患者は、「もう治療法がない」と告げた若き外科医を恨み、セカンドオピニオン、新たな抗がん剤、免疫細胞療法、ホスピスへと流浪する。2人に1人ががんになる時代、「悪い医者」とは何かを問う、第3回日本医療小説大賞受賞の衝撃作。
不良華族の醜聞が世間を騒がせていた時代。藤巻虎弥太は高級中華料亭の給仕係だが、裏では華族を調査する機関・宮内省宗秩寮幹部の御園尾男爵に飼われる密偵だ。石蕗伯爵家の次期当主・春衡の監視を命じられるが、中国の文化と美食を愛する春衡とともに怪事件に巻き込まれる。
失踪した公安刑事の行方を追うため、IT企業に潜入した特命係の二人は、社長の北潟の元に、人間の左腕が送られてきた場面に遭遇する。数日後、東京湾から、片腕のない男性の焼死体が発見され…。事件のかかわりを調べる右京と薫の前に、思いもかけない人物が立ちはだかる!
殺し屋に家族全員を殺され、ただ一人生き残った少女は復讐を誓う。その男にたどり着く手がかりはタンゴとシェイクスピア。東京とブエノスアイレスを舞台に、“ロミオ”と“ハムレット”の壮絶な闘いが幕を開ける。アルゼンチン軍事政権時代の暗黒の歴史を絡めた復讐劇はどこへ向かうのか?タンゴのリズムに乗せて破滅へとひた走る狂気のような疾走感、切なく痛ましい殺し屋としての宿命。美しく、激しく、圧倒的な切なさが胸を撃つ、著者新境地のノワール長篇。
白昼の井の頭公園に放置されたピエロ姿の遺体。発見直前まで息があったとされる被害者の頬には謎の英数字が…。独自の視点から事件解決を図るため“鷹の目”の異名を持つ組織犯罪対策課の白鷹雨音が捜査の過程で目にしたのは、常に自らを責め苛む過去の凄惨な事件だった!
国道246号沿いでバイクを利用した強盗が連続発生、警視庁の覆面捜査チーム「トカゲ」に出動命令がくだる。IT捜査専門の捜査支援分析センターも動員され、「黒ずくめのライダー」を捜すが、なぜか糸口が見つからない…。犯人はどこへ消えたのか?
「あたしには生きる価値なんてない」容疑者として札幌に送り届けた少女の言葉が気になった亀山薫は、彼女が犯罪に走った理由を調べ始める。しかし、何者かに襲われ、雪原に置き去りにされてしまった!薫を追ってきた右京は事件を追ううちに、十年前に起きた殺人事件に端を発する悲劇に直面する。
刹那にリアルを感じる美しい妹・杏と、規律正しく行動する聡明な姉の理有。二人が「共有」する家族をめぐる「秘密」とは?姉妹にしか分かりえない濃密な共感と狂おしいほどの反感。スピード感と才気あふれる筆致がもたらす衝撃のラスト!
黒田みつ子、もうすぐ33歳。一人で生きていくことに、なんの抵抗もない。だって、私の脳内には、完璧な答えを教えてくれる「A」がいるんだから。私やっぱり、あの人のこと好きなのかな。でも、いつもと違う行動をして、何かが決定的に変わってしまうのがこわいんだー。感情が揺れ動かないように、「おひとりさま」を満喫する、みつ子の圧倒的な日常に、共感必至!同世代の気持ちを描き続けてきた、綿矢りさの真骨頂。初の新聞連載。
父に音楽を反対され、家出したミュージシャンの兄ジン。父の想いを受け、歯医者を目指す浪人生の弟ヒデ。メジャーの世界で挫折したジンは、仲間と共に音楽の魅力に引き寄せられている弟を見て、才能を確信する。二つの夢の間で苦悩するヒデに、ジンはある提案をして…。
男たちのもとへ現れた若きボクサー。才能あふれる彼に、いったい何を手渡してやれるだろう?叶わなかった夢の続きを、おまえに託す。人生の終盤にたどり着く「幸せ」のかたちを問う感動巨編!
警察学校の教官・杉下右京と、運転免許試験場の亀山薫。そんな2人を頼ってきたのは、連続殺人鬼だった!「染み込んで消えない汚れた臭いだ」平成の切り裂きジャック・浅倉が嗅ぎとった、殺人鬼の香り。その言葉を信じ、右京と薫は犯人と目される女性に迫るが、証拠を見つけられないうちに、彼女の仕掛けた罠にはまってしまう。「売られた喧嘩は買いますよ」静かに闘志を燃やす右京が、犯人の秘密を暴く!
聴取率0%台。人気ゼロの深夜ラジオ番組を改革しようと、入社4年目の新米アナウンサー寺島尚人が名乗りを上げてしまう。何という無謀!!しかしファクスやメールではなく、リスナーからの「葉書」に頼るという方法が、小さな奇跡を起こし続けて…。
杉下右京が冠城亘とともに外国人斡旋業者の卑劣な悪事を暴く「右京の同級生」、逃亡中の宝石強盗犯を追って山深い秘境で遭難した右京が、決死の脱出劇を繰り広げる「神隠しの山」、捜査妨害をしたとして警視庁を去ることとなった亘と謹慎処分中の右京が、警察学校で大量殺戮を行ったテロリストに挑む「ラストケース」など6篇を収録。
明暦三年(一六五七)、材木商の河村屋七兵衛(後の瑞賢)は、徳川四代将軍家綱の後見役である保科正之から日本列島の海運航路開発を命じられた。食糧不足に悩む巨大都市・江戸に、奥羽の物産を届ける新たな物流拠点を構築するためである。さらに大坂・淀川治水工事や越後高田藩の銀山開発など、知恵と並はずれた胆力で何度も危地をくぐり抜け、七兵衛は江戸という時代を縁の下から支えるインフラ構築事業に邁進していく…。
真夜中のサラダ工場、最先端のハイテク農場、地産地消を目指す学校給食…「安全安心」を謳う「食」の現場でいま何が起きているのか。利益追求と科学技術への過信の果てに現れる闇を、徹底した取材と一流のサスペンスで描くエンターテインメント超大作。
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一の趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて…。宵山で賑やかな京都を舞台に果てしなく長い冒険が始まる。著者による文庫版あとがき付き。
山形、東京・渋谷、沼津、川崎、千葉・館山、大阪・西成区、茨城。巨大暴力団の内部抗争は、他の暴力団組織にも飛び火した。警察組織にも多数の殉職者を出していく。飛び交う銃弾、燃え上がる警察車両。戒厳令状態になった日本を、ふたりの男は、それぞれの過去にケリをつけるため疾走する。
のんきな兄・良夫と聡明な弟・亨がドライブ中に乗せた女優が翌日急死!パパラッチ、いじめ、恐喝など一家は更なる謎に巻き込まれ…!?車同士がおしゃべりする唯一無二の世界で繰り広げられる、仲良し家族の冒険譚!愛すべきオフビート長編ミステリー。