出版社 : 朝日新聞出版
大正14年12月21日、鶴見に建設予定の火力発電所の下請分担をめぐり、清水組と間組との関係が悪化。急を聞いた大阪はじめ各地の稼業人が次々と上京、ついに千人を超える男たちが激突した日本最大の喧嘩となる…。関係者の証言、資料をもとに克明に再現したノンフィクション・ノベル。
モーゼル銃数梃と猟銃数十梃がいっせいに火をふいた。砂まじりの烈風が吹きつけてくるような散弾のあらしにまじって、ヒューン、ヒュッ、と挙銃弾。白鉢巻や白襷の男たちの怒号が飛びかい、白刃が交差し、血飛沫が舞う…。千人を超える血気の男たちがくりひろげる乱闘、死闘の顛末は…。
スペイン内戦で外人部隊に身を投じた日本人義勇兵ギジェルモ・サトウ。その足跡を追う特報部記者龍門二郎に仕組まれた戦慄の罠とペンダントの謎…非情の運命に翻弄される男と女の愛の相剋を描いて感動を呼ぶ冒険ミステリの巨編。
パリのスキャンダル!アヴァンギャルドの法王ソレルスは、ついにあらゆる壁を突破した。ビッグバンから女の秘密まで、いまや彼の言葉には、ありとあらゆるものを表現する魔力があたえられた。ソレルスの新小説の前には、すべてのポストモダン小説は青ざめ、現代哲学は色を失なう。フランスで話題のベストセラー小説。
せつない嫉妬のほむらに身を灼く光乃。辛抱していればいつか花咲く日もくるかもしれない。女中として仕えながら、端麗この上ない歌舞伎役者、のちの十一代目松川玄十郎に寄せる献身と苦悶。
たったひとりで主の子を産んだ光乃。一生かげの人間でいいんです。歌舞伎界不世出の名優、十一代目・松川玄十郎との宿縁に、つつましくも激しく燃え、やがて妻となった60年の忍耐の生涯。
「エルサレムに入城するイエスさまを乗せた、小さな子ろばのようになりたい。〈主の用なり〉と言われたら、たとえ自分に力が無くとも、どこへでも出かけて行こう」-敗戦後の激動の満州から帰国した多感な青年・榎本保郎は、挫折を試練にかえて立ち直り、神の道への献身をこのように決意する。京都世光教会を創立し、今治教会を経て、アシュラム運動の発展のために全身全霊を捧げた、熱血牧師の52年の生涯。
「自分が学校から脱落するのではなく、自分から学校にさよならする」と決めた14歳の少女夏実。「ほかの子がちゃんと行ける学校へ、行けないような子に育ててしまった」と自らを責める母の史子。肉親、隣人・教師たちはそれぞれの立場から、この母娘を見守る。無機質なシステムと化した学校をめぐる問題を、現代を生きるすべての人々に関わるものとしてとらえた社会派小説。