出版社 : 本の泉社
大企業で思想差別と闘ったIT労働者の自伝的小説 「思想干渉への反発の代償は空しい窓際人生だった。正義を目指す仲間の友情と利己的な欲求の間で、もがき、よろけながら峠を越えてきた。」(帯文より) 一 悩みの始まり・・・5 二 青春のミカン狩り・・・16 三 夢の架け橋・・・24 四 黒い海・・・31 五 上京・・・38 六 山に登って、なぜ悪い・・・43 七 逆流の時代・・・61 八 川に沿って・・・72 九 兄弟以上の絆・・・78 十 自己申告面談・・・82 十一 あさやけ・・・87 十二 別れの手紙・・・98 十三 ブレスレット・・・101 十四 門前カンパ・・・104 十五 父の願い・・・115 十六 オフィスオンピュータ・・・120 十七 ICのロット不良・・・123 十八 会費制結婚式・・・131 十九 えっ、テニスサークル・・・137 二十 後輩たち・・・140 二十一 新工場建設へ・・・145 二十二 学童クラブ・・・153 二十三 変化の予兆・・・156 二十四 面談での昇格要求・・・159 二十五 郷愁・・・172 二十六 第二の人生へ・・・177 二十七 斜陽・・・179 二十八 病魔は突然に・・・187 二十九 奇跡の血流回復・・・198 三十 涙の早期退職・・・204 三十一 離党の選択・・・209 三十二 別れた道の先に・・・215 三十三 ハヤブサの帰還・・・222 三十四 一万人のリストラ・・・228 三十五 希望退職面談・・・232 三十六 最終出勤日・・・239 三十七 薬の副作用・・・240 三十八 桜八幡の大祭・・・246 三十九 異変・・・257 四十 地域のビラ配り・・・260 四十一 人権の旗を掲げて・・・262 四十二 最後のメール・・・267 四十三 不当解雇撤回の闘い・・・273 あとがき・・・278 解説・・・280
多摩川は私にとって思い出のたくさん詰まった場所で、生活の中に溶け込んでいた。多摩川は東京と神奈川に挟まれた川で、子供たちは大田区側からガス橋を渡り、川崎側にある水門の河口の堰に小魚を捕りに行ったりして遊んで過ごした。 土手や河川敷には、いろいろな生き物が生息している。そんな生き物たちを見つけては捕まえて遊んだりもした。今とちがって遊び事は自分たちで考えた時代であった。 子供は、大人の複雑な社会など我関せずと日々戯れていた。そんな多摩川のほとりでの思い出を、私は大人になっても大切な宝石箱のように抱きしめていて、開けるとオルゴールの音色が脳裏によみがえる。(「プロローグ」より) プロローグ• 多摩川 ほのかなる香りをもとめて 5 1• 家族 15 2• 春が来て小高い丘へ 23 春愁/そよ風に銀輪が走る/寄り道/いざ亀甲山古墳へ/竹鉄砲と竹トンボ 3• 最後の夏休み 39 川遊び/宿題 4• 台風 57 二学期の始まり/台風の接近/九月二六日金曜日 5• イカダの冒険 71 6• ずる休み 81 7• 春・夏・秋が過ぎて 89 冬の訪れ/焚き火/クリスマス 8• 雪だるま 101 9• ほたるのひかり窓のゆうき──友情 111 あとがき 122
教育問題をテーマにした小説 主な登場人物 4 一 無菌室育ち 6 二 探究なき「探究」 18 三 ポンポコ山 29 四 三月の憂うつ 40 五 混沌の季節 52 六 生徒たちの反乱 64 七 星野透真 76 八 障害の名前 85 九 教師たちの宴 97 十 重い肩書 109 十一 命の乱舞 121 十二 展望台 135 十三 試行錯誤 148 十四 社会への開眼 160 十五 化学の実験 173 十六 痛い日々 186 十七 牧原修治 200 十八 関所 207 十九 転落 221 二十 柚木美麗 238 ニ十一 卒業論文 245 二十二 白川俊英 260 二十三 はるかに遠い 268 あとがきにかえて 284
米軍機の墜落事故は閑静な住宅地を一瞬にして火だるまにし、27トンもの機体は時速約550キロもの速度で地面をえぐった。 重軽傷者9名、全半焼家屋6棟のうち1棟は、1年前に越してきたばかりの平凡だが幸せな生活を送る一家だった。 第1章 激突 4 第2章 生と死 29 第3章 生活の行方 59 第4章 種田の場合 112 第5章 家族 138 第6章 山原直道弁護士 173 第7章 刑事告発 207 第8章 損害賠償請求裁判 221 第9章 歩み出る道 249
戦時中の広島を舞台にしつつ、人間を掘り下げることで現代社会をあぶりだした表題「巨艦の幻影」。 初期の作品群から最新作まで15編を収録。 「小説家というのは、一周遅れどころか、二周遅れ、三周遅れのランナーです。それでも、小説家にはジャーナリストとは異なる役割があると信じたいし、また、心のうちに書きたい衝動がある限り、私は書かずにおれません。」(「あとがき」より) 1 短編小説1 亀山先生 / 金星煥 / 茶髪狩り / 暮れゆく春に / 折れ線グラフ 2 掌編小説 ミニゴン / エリック・クラプトンを聴きながら / 人力車夫 / 白骨と春景色 / 慰問袋 3 短編小説2 絹子の行方 / コロナ禍の夏に / 隣家の人々 / 誠太郎の判断 / 巨艦の幻影
安吾の残した作品はじゅうぶんに、現代に放つ痛烈な一矢なのだ。ぬるま湯につかってうたた寝しているところに突き刺さる。わたしはその力を感じとれる人間でありたいと思う。いまこそ、多くの人に安吾を読んでほしい。(解説「一矢の力」 佐田暢子) 『白痴』、『日本文化私観』、『堕落論』、『風と光と二十の私と』、『桜の森の満開の下』、『オモチャ箱』の6編を収録。
周五郎のユーモア小説は単純ではない。 ほんとうの自分ではないことに気づいて堪忍袋の緒を切る「評釈堪忍記」には、占領下日本の悲哀が隠され、口舌で藩の権力争いを収める「おしゃべり物語」は、秘事・陰謀が欲望まみれなことを語りかける。城内のあらゆる出来事を自分がやったと名乗り出る「わたくしです物語」には、「責任」を顧みない「時代」への警鐘もある。他「真説吝嗇記」「ゆうれい貸家」「よじょう」「ひとごろし」を収録。おかしみはやさしい人間のもの。珠玉のユーモア七編を厳選。 好評の『山本周五郎 人情ものがたり』(武家篇)『山本周五郎 人情ものがたり』(市井篇)『山本周五郎 心ばえの物語集』に次ぐ第4弾。解説は新船海三郎「時代のなかのユーモア」を付載。 〜〜〜〜〜〜 周五郎のユーモア小説は単純ではない。ほんとうの自分ではないことに気づいて堪忍袋の緒を切る「評釈堪忍記」には、占領下日本の悲哀が隠され、口舌で藩の権力争いを収める「おしゃべり物語」は、秘事・陰謀が欲望まみれなことを語りかける。城内のあらゆる出来事を自分がやったと名乗り出る「わたくしです物語」には、「責任」を顧みない「時代」への警鐘もある。他「真説吝嗇記」「ゆうれい貸家」「よじょう」「ひとごろし」を収録。「ユーモアは、もしかすると人が生きる〈真実〉に一番近いのかもしれない。夏目漱石はユーモアを〈人格の根底から生ずる可笑味〉と評した」(新舩海三郎解説「時代のなかのユーモア」より)。 好評既刊『人情物語 武家篇』『人情物語 市井篇』『心ばえの物語集』に続く、山本周五郎の珠玉の短編集。 ※書影を最終画像に変更いたしました(3/6)。 評釈堪忍記 真説吝嗇記 おしゃべり物語 ゆうれい貸家 よじょう わたくしです物語 ひとごろし 【解説】 時代のなかのユーモア(新船海三郎)
人は心ばえーー 相手を思いやり気遣う、ひたすらな心働き。貧乏が邪魔をし、純情が遠回りさせるけど、思いはいつか必ず届く。人情ものとは一味違う「心延え」を主題とした山本周五郎の名作短編をオリジナル編集。「おれの女房」「湯治」「三十ふり袖」「かあちゃん」「釣忍」「水たたき」「ちいさこべ」。心の近づき、寄り添い、延ばしあいを伝える好短編7作を収録。解説として新船海三郎「〈心ばえ〉ということ」を付載。 〜〜〜〜〜 人情ものとは一味違う、ひたすらに相手を思いやり心を延ばす「心ばえ」のある人びとの登場する傑作七編を、オリジナルに編集。 〈収録作品〉おれの女房/湯治/三十ふり袖/かあちゃん/釣忍/水たたき/ちいさこべ 貧乏が邪魔するも、絵師又五郎の元に戻るお石。そこへ又五郎の心が延びる「おれの女房」、心の延ばしようの取り違えをえがく「三十ふり袖」、貧乏によって修復不可能にみえる親子でも相手を思いやる気持ちがあれば心は延びることを教える「かあちゃん」、貧しくなくても親子、兄弟の仲が軋む「釣忍」、器用ゆえに相手の人生を狂わす怖さをえがく「水たたき」、幼なじみの若棟梁の茂次とおりつの心が揺れながら近づく「ちいさこべ」など七編を収録。 ※解説◎新船海三郎(文芸評論家):「『心ばえ』ということ」掲載 おれの女房 湯治 三十ふり袖 かあちゃん 釣忍 水たたき ちいさこべ 【解説】「心ばえ」ということ(新船海三郎)
見上げる超高層ビル群。人口1400万人を超える大都会・深〓。捨てられた人もまた息を吹き返し食べ、飲み、語り、生動する。日本人が失くしたものをそこに見る。
人の温もり、生きる誇りを描く山本周五郎の名作短編をオリジナル編集。おしずの一途な愛を描いた「おたふく」、家付き娘の放蕩無頼を相手に家と商売を守る意気を見せる「こんち午の日」、火鉢づくりにかけた職人の誇りがみんなの自慢の「ちゃん」、岡場所にもまことが出逢う「つゆのひぬま」、そして「将監さまの細みち」「落葉の隣り」。庶民の心根をしみじみと語る好短編6作を収録。解説として戸石泰一「「庶民」性の底にあるもの」を付載。 山本周五郎の作品から、しみじみと心を丸くする人情ものがたりを市井篇・武家篇にオリジナル編集。2022年4月下旬、2冊同時発売! 〈市井篇〉 おしずの一途な愛をえがいた「おたふく」、家付き娘の放蕩無頼を相手に家と商売を守る意気を見せる「こんち午の日」、岡場所にもまことが出逢う「つゆのひぬま」、火鉢づくりにかけた職人の誇りがみんなの自慢の「ちゃん」など、庶民の心根をしみじみと語る好短編六作を収録。 おたふく こんち午の日 将監さまの細みち ちゃん つゆのひぬま 落葉の隣り [解説]「庶民」性の底にあるもの(戸石泰一)
人の温もり、生きる誇りを描く山本周五郎の名作短編をオリジナル編集。旧友の仕官を助ける「人情武士道」、馴染まぬ新妻の愛の成就をはかる「山椿」、肩寄せ合う人たちのためにかけ試合をする「雨あがる」、婢や使用人にも慕われた妻の日常をはじめて知る「松の花」、死去した夫人の願いをわが事として仕えた下女の「二十三年」、そして「四月のあやめ」「橋の下」「裏の木戸はあいている」「墨丸」。武家とその妻女たちの人情ものがたり9編を収録。解説として戸石泰一「メルヘン」を付載。 山本周五郎の作品から、しみじみと心を丸くする人情ものがたりを市井篇・武家篇にオリジナル編集。2022年4月下旬、2冊同時発売! 〈武家篇〉 旧友の仕官を助ける「人情武士道」、馴染まぬ新妻の愛の成就をはかる「山椿」、片寄せ合う人たちのためにかけ試合をする「雨あがる」、婢や使用人にも慕われた妻の日常をはじめて知る「松の花」、死去した夫人の願いをわが事として仕えた下女の「二十三年」など、武家とその妻女たちの人情ものがたり九作を収録。 人情武士道 山椿 雨あがる 四月のあやめ 橋の下 裏の木戸はあいている 松の花 墨丸 二十三年 [解説] メルヘン(戸石泰一)