出版社 : 東京創元社
子供9人大人3人を乗せた船が、スコットランドのヒルダ島から、無人島へと出帆した。孤島で海鳥を獲る旅が、少年達にとっては大人への通過儀礼なのだ。だが約束の2週間が経っても、迎えの船は姿を現さない。この島から出られないのではないかと不安がつのり、皆の心を蝕み始める。そんななか年長の少年クイリアムは、希望を捨てることなく仲間を励まし、生き延びるために闘う。そして……。カーネギー賞を受賞した、感動の冒険物語。
終戦から復興を遂げつつある古書の街・神田神保町の一隅で、ひとりの古書店主が人知れずこの世を去った。古書の山に圧し潰される皮肉な最期を遂げた商売敵を悼み、同じく古書店を営む琴岡庄治は後処理を申し出るが、彼の周囲では次第に奇妙な出来事が起こり始める。行方を眩ませる被害者の妻、注文帳に残された謎の名前、暗躍するGHQ--名もなき古書店主の死を巡る探偵行は、やがて戦後最大級の“計画”を炙りだす。直木賞受賞作家の真骨頂と言うべきミステリ長編。
ガーナ出身でベルリンに住むコージョは不法残留者だ。ねぐらにしている空きビルの窓から、向かいのアパートで男が売春婦を殺す瞬間を目撃してしまった。強制送還を恐れているため通報はできない。おまけにふとした行動が原因で、容疑者として警察から追われることに。町を疾走し、逃げ続けながら友人たちと真犯人を捜す彼を、さらなる危機が襲う。緊迫感に満ちた追跡サスペンス!
デビュー作にして5冠達成! 待望の文庫化!! 21世紀最高の大型新人による前代未聞のクローズド・サークル 豪華キャストによる映画化! 監督:木村ひさし 脚本:蒔田光治 出演:神木隆之介 浜辺美波 中村倫也ほか 2019年全国東宝系にて公開 神紅大学ミステリ愛好会会長であり『名探偵』の明智恭介とその助手、葉村譲は、同じ大学に通うもう一人の名探偵、剣崎比留子と共に曰くつきの映研の夏合宿に参加するため、ペンション紫湛荘を訪れる。初日の夜、彼らは想像だになかった事態に見舞われ荘内に籠城を余儀なくされるが、それは連続殺人の幕開けに過ぎなかった。たった一時間半で世界は一変した。数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作!
新進気鋭のハードSF作家・高島雄哉が挑む、 ゼロ年代最高の本格SFアニメーション『ゼーガペイン』(サンライズ制作)のスピンオフ長編小説、 『エンタングル:ガール』 2006年にTV放映されたサンライズ作品『ゼーガペイン』は、近未来の舞浜の高校生たちを主役に、衝撃的なループ世界と高度なヴァーチャルリアリティ世界を構築した、ゼロ年代最高の本格SFアニメーション(星雲賞メディア部門候補作)。『エンタングル:ガール』は、オリジナルな着想を取り入れたスピンオフ長編である。語り手の了子(リョーコ)は、映画研究部の仲間とコンテスト用の長編映画製作にとりかかる。受付締切は夏休み最終日。撮影を続けるなかで、了子たちはあちこちで奇妙な齟齬に気づく。高校だけではない、舞浜という町自体も……。新進気鋭のハードSF作家が、ロボットの出てこない『ゼーガペイン』を再構築する。
映画化決定!! 監督:李相日 主演:広瀬すず 松坂桃李 横浜流星 多部未華子ほか出演 2022年公開予定 2020年本屋大賞受賞作 せっかくの善意をわたしは捨てていく。 そんなものでは、わたしはかけらも救われない。 愛ではない。けれどそばにいたい。 新しい人間関係への旅立ちを描き、 実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。 あなたと共にいることを、世界中の誰もが反対し、批判するはずだ。わたしを心配するからこそ、誰もがわたしの話に耳を傾けないだろう。それでも文、わたしはあなたのそばにいたいーー。再会すべきではなかったかもしれない男女がもう一度出会ったとき、運命は周囲の人間を巻き込みながら疾走を始める。新しい人間関係への旅立ちを描き、実力派作家が遺憾なく本領を発揮した、息をのむ傑作小説。
『吸血鬼ドラキュラ』に代表される西洋怪奇小説の紹介と翻訳、洒脱な語り口のエッセーに至るまで、その多才を以て本邦における怪奇翻訳の礎を築いた巨匠・平井呈一。名訳として知られるラヴクラフト「アウトサイダー」ほか、ポリドリ「吸血鬼」、ベリスフォード「のど斬り農場」等この分野のマスターピースたる13篇に、対談やエッセー・書評を付して贈る、怪奇小説読者必携の一冊。
2018年の日本SF短編の精華を収録。今年度版には円城塔、斉藤直子、坂永雄一、三方行成、柴田勝家、高野史緒、田中啓文、飛浩隆、西崎憲、長谷敏司、藤井太洋、古橋秀之、日高トモキチ、水見稜、宮内悠介、宮部みゆきの短編作品のほか、肋骨凹介、道満晴明による漫画も収録。巻末には第10回創元SF短編賞の受賞作と選評を掲載。編者二人による各作品解説や年間日本SF概況、短編推薦作リストなど解説記事も充実した、2018年の日本SFが一望できる年刊ベスト・アンソロジー。
目覚めると、世界は虚空に浮かぶ小島になっていた!しかも人びとはみな記憶を失い、なぜこうなったのかも、自分自身が何者なのかもわからない。唯一の手がかりである謎の地図を頼りに、フォーラーは世界の縁から飛び出し、見わたすかぎりの青空の中を落下してゆく。この下にもあるはずの別の島々を、そして世界激変の謎を解く鍵を目指して…ヒューゴー賞作家の傑作冒険SF!
フォーラーが落ちていった先にはたしかに別の島々があった。だがそこでの思いがけない人々との出会いで、世界の謎はさらに深まってゆく。一方ピーターの世界は、戦争と生物兵器による疫病で壊滅の淵にあった。それらすべてを解決するピーターの夢の新技術はしかし、途方もない事態を招く…。世界激変、自らの過去、フォーラーたちはすべての答を求め、空中世界を落ちてゆく!
男の子の年齢は十歳前後。地面にうつ伏せになり、体の下の血だまりは凍りはじめていた。アイスランド人の父とタイ人の母の間に生まれた男の子は、両親の離婚後母親と兄と一緒にレイキャヴィクのこの界隈に越してきた。人種差別からくる殺人が疑われ、エーレンデュルら捜査陣は、男の子が住んでいたアパートや通っていた学校を中心に捜査を始める。世界のミステリ界をリードする著者が現代社会の問題にメスを入れた、シリーズ第5弾。
英国が誇る秘密情報部で、ある常識外れの計画が持ち上がった。ソ連の重要なスパイで、フランス共産党系労組の大物であるル・シッフルを打倒せよ。彼は党の資金を使い込み、ギャンブルで会計の穴を埋めようとしていた。それを阻止し破滅させるために送り込まれたのは、冷酷な殺人をも厭わない007のコードを持つ男ーージェームズ・ボンド。巨額の賭け金が動く緊迫の勝負の裏でめぐらされる陰謀。007初登場作を新訳でリニューアル!
徳川11代将軍家斉の時代。時の老中・松平伊豆守信明を叔父にもつ、気ままで人懐っこい青年剣士・月影兵庫。彼は叔父の秘命を受けた旅の途中で事件に遭遇する度に、鋭い洞察と上段霞斬りを始めとした武芸を駆使し、解決していく。大雨で足止めを食らった人々が滞在する旅籠で、殺人が起こる「血染めの旅籠」。盗賊が豪商から盗み出した千両箱の在処を探す「偉いお奉行さま」。行方不明だった町一番の美人が、4年ぶりに帰還。それを機に奇怪な殺人が起こる「帰ってきた小町娘」など、傑作17編。
銃を持って押し入ってきた男は、なぜ人質に「憎み合う三人の男たち」の物語を話すのか? 意外な真相が光る「二人の男、一挺の銃」をはじめ、腕利きの殺し屋に次々と降りかかる予測不可能な出来事を描く「残酷」、常連が殺されたコーヒーショップで、ツケをチャラにするため犯人捜しをはじめた詩人が謎解きを繰り広げる、黒い蘭中編賞受賞作「赤い封筒」など9編。『日曜の午後はミステリ作家とお茶を』で人気を博した、短編の名手のとっておき!
1944年6月6日、ノルマンディーが僕らの初陣だった。コックでも銃は持つが、主な武器はナイフとフライパンだーー料理人だった祖母の影響でコック兵となったティム。冷静沈着なリーダーのエド、陽気で気の置けないディエゴ、口の悪い衛生兵スパークなど、個性豊かな仲間たちとともに、過酷な戦場の片隅に小さな「謎」をみつけることを心の慰めとしていたが……『ベルリンは晴れているか』で話題の気鋭による初長編が待望の文庫化。直木賞・本屋大賞候補作。 *第2位『このミステリーがすごい!2016年版』国内編ベスト10 *第2位「ミステリが読みたい!2016年版」国内篇 *第3位〈週刊文春〉2015年ミステリーベスト10/国内部門 *第154回直木賞候補
北国カーランディア。建国以来、魔法の才をもつカーランド人と、征服民アアランド人がなんとか平和に暮らしてきた。だが、現王のカーランド人虐殺により、平和は消え去った。怒りに燃える大魔法使いが、平和の象徴であった鐘をで打ち砕いたのだ。そして闇の歌い手と魔物をも解き放ってしまった。闇を封じることができるのは、古の魔が歌のみ。著者が二十年間温めてきたテーマを圧倒的なスケールと筆致で送る、本格ファンタジーの金字塔。
あるコンサルティング会社の男性社員が死体で発見された。その社では一人の女性社員が行方不明となっている。ほぼ時を同じくして同社の海外贈賄事件を内偵していた刑事が姿を消す。実は所轄署の刑事課長と同社社長とは、かつてある事件で刑事とネタ元という形の信頼関係を築いていた。しかも二人にはラグビーという固い絆もあった。しかし今、部下の失踪について調べる刑事課長は署長への道を探り、社長は本社役員の座を狙う。二人の道はどこへ向かうのか?二人にとっての正義とは?男たちそれぞれに決断の刻が迫る。
私たちにとって綾部蓮は、遠い国の王様だった。神の贈り物のごとき肉体に恵まれ、水泳の才と美貌を気ままに揮い、その周囲に王国を築きながら、入水自殺した青年。永遠に若いままの彼を残して、それでも私たちの人生は続く。期待の俊英が紡ぐ、忘れ難き連作ミステリ。