出版社 : 東京創元社
【第33回鮎川哲也賞受賞作】 辻真先 終盤で明らかとなるこの物語ならではの、 トリックにも感じ入った 東川篤哉 この舞台でのみ可能なトリックがあって大いに関心した 麻耶雄嵩 敵艦との交戦などストーリー的に盛り上げるべきところは 盛り上げ、しかもきちんとトリックに関与している。 正賞受賞にふさわしい 海上を征く巨大な“密室”で相次ぐ人知を超えた不可能犯罪 【第33回鮎川哲也賞受賞作】十八世紀末、フランスと交戦状態にある英国海軍は常に兵士不足だった。強制徴募された若者たちを乗せ、戦列艦ハルバート号は北海を目指すが、新月の夜に衆人環視下で水兵が何者かに殺害される事件を切っ掛けに、続けて不可解な殺人が発生。逃げ場のない船の中で、誰が、なぜ、そしてどうやって殺したのか? フランス軍との苛烈な戦いのさなか、軍艦という巨大な密室で相次ぐ不可能犯罪を描く第33回鮎川哲也賞受賞作。
【受賞作決定!】 第33回鮎川哲也賞 選評 辻 真先・東川篤哉・麻耶雄嵩 第1回創元ミステリ短編賞 選評 大倉崇裕・辻堂ゆめ・米澤穂信 【第1回創元ミステリ短編賞受賞作】 嘘つきたちへ 小倉千明 ●小学校卒業以来、久方ぶりに東京で再会した三人。自然とあの日、あの事件を思い出す…… 朝からブルマンの男 水見はがね ●喫茶店で週三回、一杯二千円のコーヒーを注文する奇妙な客。彼の目的とは一体何か? 【新連載】 粒と棘 第1話 幽霊とダイヤモンド 新野剛志 ●元飛行士の担ぎ屋を尋ねて闇市には怪しい男の姿が。終戦から間もない東京を活写する連作 【小説】 泥酔肌着切り裂き事件 今村昌弘 ●明智恭介からの電話着信は、厄介な事件が持ち込まれる前兆だ。ただ今朝はいつもと様子が違って…… 明治殺人法廷 第6回 芦辺 拓 ●一家大量殺人の容疑者の弁護に立つ決意を固めた迫丸。かくして法廷の扉が開くーー きみのかたち 第9回 坂木 司 ●シュンの自宅であるマンションを訪れた大地とイリコ。だが、小学生にとっては問題は山積みで…… 名探偵の有害性 第3回 桜庭一樹 ●第三の事件で絶体絶命の危機に陥った名探偵。三十年後の今、その場面を私たちはテレビで見ているーー 記憶の対位法 第6回 高田大介 ●紙片の謎を調べる一方、新聞記者としても飛び回るジャンゴ。そして友人の身に思わぬ事件が…… 神の目 フランシス・ハーディング 児玉敦子 訳 ●ロンドン上空の気球から画家が不審な落下死を遂げた。容疑をかけられたメイドを助けようと下働きの少年は調査をはじめる 【コミック】 第3回 レーザービーム・ステッチ 熊倉 献 ●「パーカーの袖を、4本にして欲しいの」奇妙な頼みごとに想像は膨らんで…… 【特別企画】 日本推理作家協会賞2023年 翻訳小説部門賞 受賞記念翻訳者インタビュー 【ESSAY】 私の小さな地図帖 その三 子供たちの旅 山崎佳代子 装幀の森 第8回 柳川貴代 翻訳のはなし 第11回 『失われたものたちの本』 田内志文 ホームズ書録 パリの実録であるかのようなホームズ翻訳 北原尚彦 【COLUMN】 みすてりあーな・のーと その1 フィルポッツとクリスティ 戸川安宣 ひみつのおやつ*芋けんぴ 市川哲也 私の必需品*古本あれこれ 柳川 一 【INTERVIEW 期待の新人】 岡本好貴 【INTERVIEW 注目の新刊】 『ヴァンプドッグは叫ばない』 市川憂人 『でぃすぺる』 今村昌弘 【BOOKREVIEW】
【シリーズ累計40万部突破!】 ビストロ・パ・マルへようこそ。 コロナ禍も乗り越え、 おなじみのスタッフが皆様をお待ちしております。 シェフ三舟の絶品料理と 鮮やかな推理をご堪能ください。 下町の小さなフレンチ・レストラン、ビストロ・パ・マルのスタッフは、変人シェフ三舟さんとスーシェフの志村さん、ソムリエールの金子さん、ギャルソンの高築くんの四人。 コロナ禍で厳しい状況の飲食店業界、〈パ・マル〉でも、テイクアウトメニューを考えたり、料理教室を始めたり……。そんななかで、料理教室で起きた気まずい出来事、ひとり分のテイクアウトを買いにくる男子中学生の謎、自身のレストランにスタッフが定着しない理由がわからず悩む他店のシェフ、高築くんのいとこのプロポーズ計画等々、名探偵シェフのまわりには相変わらず謎や相談ごとがいっぱい。全七編を収めた待望のシリーズ第四弾。 ◆収録作品 「クスクスのきた道」 「未来のプラトー・ド・フロマージュ」 「知らないタジン」 「幻想のフリカッセ」 「間の悪いスフレ」 「モンドールの理由」 「ベラベッカという名前」
グロテスクな生人形の作り手として、賛辞を集める常世三姉妹。彼女たちの人形にはまるで人の魂が宿っているかのような迫力があり、世界中の好事家を魅了していたが、一方でその人形作りについて黒い噂が囁かれていた。三姉妹の新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、六歳の娘とともに群馬の山中にある館に向かう。ところが新作人形の発表の夜、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。館も孤立状態となり、残された姉妹は、館中を捜索し始めるがー。ある魔術を受け継ぐ一族を巡る驚愕の事件を巧みに描いた、鮎川賞作家の最新作。
魔法は破られるようにできているの。 でも、約束はそうじゃない。 世界幻想文学大賞に7回、 シャーリイ・ジャクスン賞に4回、 MWA賞、ネビュラ賞など数多の賞に輝く 現代幻想文学の巨人による 郷愁と畏怖と偏愛に満ちた14篇 アコースティックギターの調べは、ぼくの目の前に金色の雨として現われる。指で絹をなでたときには、レモンメレンゲの風味とねっとりした感触を舌に感じる。ぼくは「共感覚」と呼ばれるものの持ち主だったーーコーヒー味を通してのみ互いを認識できる少年と少女の交流を描くネビュラ賞受賞作「アイスクリーム帝国」、エミリー・ディキンスンが死神の依頼を受けて詩を書くべく奮闘する「恐怖譚」、マッドサイエンティストが瓶の中につくりあげたメトロポリスの物語「ダルサリー」、町に残される奇妙なしるしに潜む魔術的陰謀を孤独な男女が追う表題作ほか、繊細な技巧と大胆な奇想に彩られた全十四篇を収録する。 ■目次 「アイスクリーム帝国」 「マルシュージアンのゾンビ」 「トレンティーノさんの息子」 「タイムマニア」 「恐怖譚」 「本棚遠征隊」 「最後の三角形」 「ナイト・ウィスキー」 「星椋鳥(ほしむくどり)の群翔」 「ダルサリー」 「エクソスケルトン・タウン」 「ロボット将軍の第七の表情」 「ばらばらになった運命機械」 「イーリン=オク年代記」 編訳者あとがき
厳戒態勢が敷かれた都市と、 密室状態の隠れ家で起こる連続殺人。 殺人鬼が仕掛けた、想像を絶するトリックとは? マリアと漣が挑む、史上最大の難事件。 『ジェリーフィッシュは凍らない』に連なるシリーズ第五弾! U国MD州で現金輸送車襲撃事件が発生。襲撃犯一味のワゴン車が乗り捨てられていたのは、遠く離れたA州だった。応援要請を受け、マリアと漣は州都フェニックス市へ向かう。警察と軍の検問や空からの監視が行われる市内。だがその真の理由は、研究所から脱走した、二十年以上前に連続殺人を犯した男『ヴァンプドッグ』を捕らえるためだった。しかし、『ヴァンプドッグ』の過去の手口と同様の殺人が次々と起きてしまう。 一方、フェニックス市内の隠れ家に潜伏していた襲撃犯五人は、厳重な警戒態勢のため身動きが取れずにいたが、仲間の一人が邸内で殺されて…!? 厳戒態勢が敷かれた都市と、密室状態の隠れ家で起こる連続殺人の謎。マリアと漣が挑む史上最大の難事件! 大人気本格ミステリシリーズ第五弾。
【受賞作決定!】 第14回創元SF短編賞 選評 宮澤伊織・小浜徹也(東京創元社編集部) 【第14回創元SF短編賞受賞作】 竜と沈黙する銀河 阿部登龍 ●2035年。〈竜の女王〉の影を追い、査察官ザーフィラは故国へ向かう。第14回創元SF短編賞受賞作 【小説】 くらりvsメカくらり 青崎有吾 ●出版社を破壊するのは何者だ? W映像化で話題の著者が描くアクションSF 記憶人シィーの最後の記憶 柞刈湯葉 ●人類が消えて数百年。完全な記憶を持つ少年と喋る黒猫は、終わりのない旅を続けていた ローラのオリジナル 円城塔 ●画像生成者の語り手が作り上げる「ローラ」。命令と選別によって生まれ、殖えてゆく、無数のローラたちーー 扉人 小田雅久仁 ●雨の日の運命的な出会いから二年、男は突然私の前から消えた。国家安全局に追われる彼の正体とは 手のなかに花なんて 笹原千波 ●中学生の優花は、夏休みを祖母と過ごす。認知機能の低下が見られるなか、情報人格となった祖母と…… この場所の名前を 高山羽根子 ●大学事務で学生の要望を淡々と処理する私が夢中になったのは、ネット上で行う協力型場所当てゲームだった ときときチャンネル♯6【登録者数完全破壊してみた】 宮澤伊織 ●ネットの紹介記事がバズって登録者数が急増! 一気に五〇〇人を目指し、今回は耐久配信をお届けします 冬にあらがう 宮西建礼 ●史上有数の大噴火発生。地球規模の苛酷な食料危機に、高校生とAIが立ち向かう 英語をください アイ・ジアン 市田泉訳 ●言語能力を売買できるようになった近未来。中国から移住してきたジリアンは単語を切り売りしながら生活しているがーー 【コミック】 第2回 空中楼閣 熊倉献 【創元SF60周年記念】 特別対談 草創期の創元SF 高橋良平×戸川安宣 特別寄稿 四十三年めの『星を継ぐもの』 加藤直之 【ESSAY】 翻訳のはなし第10回 銀河帝国の方々(ほうぼう)--新訳裏話 鍛冶靖子 乱視読者の読んだり見たり第8回 異星(性)との遭遇ーーレムとル=グィン 若島正 【COLUMN】 ひみつのおやつ*コンビニのクレープ 品田遊 私の必需品*外出を楽しく! おでかけに持っていきたいアイテム7選 野崎まど 【SF BOOKREVIEW】 国内SF 渡邊利道 翻訳SF 鯨井久志 【特別企画】 第23回本格ミステリ大賞贈呈式レポート 【INTERVIEW 期待の新人】 前川ほまれ/水庭れん 【INTERVIEW 注目の新刊】 『君の六月は凍る』 王谷晶 /『あなたは月面に倒れている』倉田タカシ 【BOOKREVIEW】
「二銭銅貨」発表から100年。 若き日の江戸川乱歩が営む、 古書店《三人書房》に持ち込まれる謎の数々 71歳の注目作家デビュー! 第18回ミステリーズ!新人賞受賞作を含む、 地味深い連作集 大正八年東京・本郷区駒込団子坂、平井太郎は弟二人とともに《三人書房》という古書店を開く。二年に満たない、わずかな期間で閉業を余儀なくされたが、店には松井須磨子の遺書らしい手紙をはじめ、奇妙な謎が次々と持ち込まれた──。同時代を生きた、宮沢賢治や宮武外骨、横山大観、高村光太郎たちとの交流と不可解な事件の数々を、若き日の平井太郎=江戸川乱歩の姿を通じて描く。第十八回ミステリーズ!新人賞受賞作「三人書房」を含む連作集。 乱歩デビュー作「二銭銅貨」発表から百年の年に贈る、滋味深いミステリ。 ■目次 「三人書房」 「北の詩人からの手紙」 「謎の娘師(むすめし)」 「秘仏堂幻影」 「光太郎の〈首〉」
読書メーター読みたい本ランキング第1位 (単行本 月間 2023年5月19日〜6月18日) いつか、義務も後悔も手放して。 あなたはあなたの人生を生きるのよ。 私たちはこの港町で家族を介護し、 震災で多くを失い、そしてあの人に救われた。 ヤングケアラーたちの青春と成長を通し、 人間の救済と再生を描く渾身の傑作! 2010年10月。宮城県の港町に暮らす高校2年生の小羽は、統合失調症を患う母を介護し、家事や看病に忙殺されていた。彼女の鬱屈した感情は、同級生である、双極性障害の祖母を介護する航平と、アルコール依存症の母と幼い弟の面倒を看る凛子にしか理解されない。3人は周囲の介護についての無理解に苦しめられ、誰にも助けを求められない孤立した日常を送っていた。しかし、町に引っ越ししてきた青葉という女性が、小羽たちの孤独に理解を示す。優しく寄り添い続ける青葉との交流で、3人は前向きな日常を過ごせるようになっていくが、2011年3月の震災によって全てが一変してしまう。2022年7月。看護師になった小羽は、震災時の後悔と癒えない傷に苦しんでいた。そんなある日、彼女は旧友たちと再会し、それを機に過去と向き合うことになる。ヤングケアラーたちの青春と成長を通し、人間の救済と再生を描く渾身の傑作長編!
人の顔はもちろん、鳥や獣や架空の生き物、 物語の登場人物まで分け隔てなく並ぶ、 これぞケアリーの小説世界。(訳者あとがきより) タイトルの『B』は愛用のトンボ鉛筆のBに由来している…… 疫病が広がった一年のあいだ、著者は毎日スケッチ画を1枚SNSに投稿した。 36篇のエッセイを収録、ケアリーの魅力がぎっしり詰まった1冊 コロナのパンデミックで隔離生活を強いられた一年余り。画家にして作家エドワード・ケアリーは毎日一枚の絵を描き、ツイッターに投稿していった。偉大な作家や芸術家、歴史上の人物、小説の登場人物、さらに人間だけではなく、動物や鳥、植物や建物、風景に至るまで描きに描いた500もの絵と、それにまつわる36のエッセイを本書に収録。ケアリーらしさ満載のイラスト集としても、時代を切り取るエッセイ集としても楽しめる一冊。
『風と共に去りぬ』やアガサ・クリスティー『春にして君を離れ』 はたまた、『ながいかみのラプンツェル』から『枕草子』、谷川俊太郎の詩まで 図書館の本が、謎と心のしこりを解きほぐす! 名探偵ばりの司書が、悩める利用者にそっと寄り添います。 図書館開設準備の舞台裏、曾祖母の残した謎の文箱、 失踪したブックカフェの猫・・・・・・ 元司書の著者ならではの、ほんわか図書館ミステリ れんげ野原の中にある秋葉図書館には名探偵ばりの司書がいる。曾祖母の残した開かずの文箱、失踪したブックカフェの猫、図書館開設準備中に発覚した旧家の秘密……。そんな謎を抱える利用者を、誰もが知る古典や名作や、知る人ぞ知る本をそっと差し出して、解決までやさしく導きます。 「どこにいたの?」をテーマに描く、六篇の謎。ほんわか図書館ミステリのちょっぴり番外編。 ■目次 「良夜(りょうや)」 「事始(ことはじめ)」 「聖樹(せいじゅ)」 「春嵐(はるあらし)」 「星合(ほしあい)」 「人日(じんじつ)」
「犯人だって、好きで犯罪に走ろうとしているわけではありません。必ず迷いがあります。その段階でうちに来てもらえれば、犯罪の発生を未然に防ぐことができます」-そのNPO法人には、罪を犯すか悩む人が相談にやってくる。相談員はそんな犯罪者予備軍たる人々から聞き出した犯行計画の穴を次々と指摘していく。不備を突かれた者たちの殺意は、果たして本懐を遂げるのか。犯罪発生を未然に防ぐ!?新しい形の倒叙ミステリ短編集!
姉さんはブラックホール、 姉さんは倒れてくる木、 姉さんは海。 彼女がいなかったら、わたしは一人の人間ではない。 マン・ブッカー賞史上最年少候補となり、 シャーリイ・ジャクスンとスティーヴン・キングの 申し子と称賛された新鋭による、 一篇の詩のように忘れがたい物語 絵本作家の母に育てられた、9月生まれのセプテンバーと、翌年7月生まれのジュライ。内気で意志の弱いジュライは、貪欲で残忍な姉の支配下に置かれているが、二人の絆は他の誰も必要としないほど強いものだった。彼女たちは春先に学校で起きたある事件をきっかけに、オックスフォードから亡父が生まれ育った〈セトルハウス〉へと引っ越してきたが、それを機にジュライの中には奇妙な違和感が芽生える……最年少でブッカー賞候補となった俊英による、一編の詩のように忘れがたい物語。
東アジアに伝わる七夕伝説、 不老不死の薬を求める徐福伝説、 済州島に伝わる巨人伝説ーー 伝説や神話からインスピレーションを得て 日中韓三ヵ国の作家が紡ぐ、十の幻想譚。 七夕の夜、ユアンは留学で中国を離れる親友ヂィンに会いに出かけた。別れを惜しむ二人のもとに、どこからともなくカササギの大群が現れーー東アジア全域にわたり伝えられている七夕伝説をはじめとし、中国の春節に絡んだ年獣伝説、不老不死の薬を求める徐福伝説、済州島に伝わる巨人伝説など、さまざまな伝説や神話からインスピレーションを得て書かれた十の物語。日中韓3カ国の著者による韓国発のオリジナル・アンソロジー。 ■目次 「七月七日」ケン・リュウ 「年の物語」レジーナ・カンユー・ワン 「九十九の野獣が死んだら」ホン・ジウン 「巨人少女」ナム・ユハ 「徐福が去った宇宙で」ナム・セオ 「海を流れる川の先」藤井太洋 「……やっちまった!」 クァク・ジェシク 「不毛の故郷」イ・ヨンイン 「ソーシャル巫堂指数」ユン・ヨギョン 「紅真国大別相伝」イ・ギョンヒ
高校生の日常に現れた、 “名探偵”という非日常。 探偵事務所、占いの館、古書店ーー雑居ビルの店子が持ち込む奇妙な謎。 『子ひつじは迷わない』の著者が描く、高校生コンビの推理! 高校生の小南通(こなみとおる)は、雨宿りに入った雑居ビルの喫茶店で“名探偵”に出会った──。探偵事務所、占いの館、古書店など、ビルに店を構える店子が喫茶店に持ち込む奇妙な謎の数々。日常に退屈していた小南は謎解きに挑むが、正解に辿り着くのは決まって喫茶店店主の娘、三津橋芹(みつはしせり)だった。 会社員の身辺を調べ回る偽探偵の目的、失踪した大学生の行方を日記だけを手がかりに捜す、古書に記された江戸時代の秘剣密室殺人の真相など、トリッキーな難問に挑む高校生コンビの推理と、店子たちのほろ苦い人生模様を描く連作短編集。 ■目次 第一話 「名刺は語らない」 第二話 「日記の読み方」 第三話 「不死の一分」 第四話 「パック寿司とハムレット」 第五話 「名探偵の死角」
静寂のなか、ゆっくりと息をする。 あの人はなにをしているか、と考える。 ちょっと憂鬱で、でも甘い。 まったくありふれてはいないけれど、 わたしたちの近くで起きていそうな 煌めく五つの人間関係。 『この夏のこともどうせ忘れる』の作者が贈る、 夜の作品集。 三人は同じ日の夜に出会い、恋に落ちた。俺は彼女に。彼女はあの男に。そして、あの男が恋をした相手は俺だった。なぜ俺なのか、とあの男に訊いてみた。健やかな馬鹿がタイプなのだという。それって悪口じゃないのか? それはともかく俺たちの一方通行の三角関係は、しかしそれほど時間を置くこともなく、べつのものへと姿を変えていった(「明日世界は終わらない」)。さまざまな登場人物たちが織り成す、ひとことでは言い表せないような繊細な人間関係を描いた、この作者ならではの珠玉の五編を収録する。 ■目次 「なにも傷つけないように、おやすみ」 「明日世界は終わらない」 「不自由な大人たち」 「家族の事情」 「砂が落ちきる」 あとがき
押し寄せる技術革新に立ち尽くすあなたへの、未来での正しい溺れ方 円城塔 推薦 紙面を縦横無尽に埋め尽くす、地球の形についての語り 言葉を話す猫とのしりとり 歩いてやってくる迷惑メール 奇想/幻想/未来SF--驚くべき9つの小説世界 スパムメッセージがヒトの姿を借りて、ある日玄関先に現れたら?--現実の少し先にあって、けれど決定的な変貌を遂げた日本社会を、若者たちの視点から活き活きと描いた近未来SF「二本の足で」にはじまり、独特の浮遊感ただよう幻想小説「あかるかれエレクトロ」や、タイポグラフィを駆使した実験小説「夕暮にゆうくりなき声満ちて風」まで。柔軟にして力強いイマジネーションの結晶9編を収めた、書き下ろしを含む初の独立短編集。 ■目次 「二本の足で」 「トーキョーを食べて育った」 「おうち」 「再突入」 「天国にも雨は降る」 「夕暮にゆうくりなき声満ちて風」 「あなたは月面に倒れている」 「生首」 「あかるかれエレクトロ」 あとがき
『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(文春文庫)の W映像化(テレビドラマ&韓国映画)決定 罪を犯さざるを得なかった女性たちに対峙する刑事・何森。 定年が迫る中で下した苦渋の決断ーー 話題沸騰シリーズスピンオフ 優秀な刑事ながらも組織に迎合しない性格から、上から疎まれつつ地道な捜査を続ける埼玉県警の何森稔(いずもりみのる)。翌年春の定年を控えたある日、ベトナム人技能実習生が会社の上司を刺して姿をくらました事件を担当することになる。実習生の行方はようとして掴めず、捜査は暗礁に乗り上げた、何森は相棒の荒井みゆきとともに、被害者の同僚から重要な情報を聞き出し──。技能実習生の妊娠や非正規滞在外国人の仮放免、コロナ禍による失業と貧困化などを題材に、罪を犯さざるを得なかった女性たちを描いた全3編を収録。渋みのある刑事たちの活躍を描く、〈デフ・ヴォイス〉シリーズスピンオフ。 ■目次 「逃女(とうじょ)」 「永遠(エターナル)」 「小火(しょうか)」 あとがき
わたしはこれから、お父さんの死体を棄てにいく。怪獣の暴れる東京に。 短編として初めて日本SF大賞候補作となった表題作をふくむ全四編。 『七十四秒の旋律と孤独』の久永実木彦、驚異の新境地。 運転免許証を取得したつかさが家に帰ると、妹が父を殺していた。立ち尽くす姉妹。その時、テレビから東京湾に怪獣が出現したという緊急ニュースが流れる。つかさは父の死体を棄てに東京にいくことを思いつく。短編として初の日本SF大賞候補作(「わたしたちの怪獣」)。伝説的な“Z級”映画の上映会中、街にゾンビが出現。参加者たちは館内に籠城しようとするが……(「アタック・オブ・ザ・キラー・トマトを観ながら」)。『七十四秒の旋律と孤独』の著者、新境地。 ■目次 「わたしたちの怪獣」 「ぴぴぴ・ぴっぴぴ」 「夜の安らぎ」 「『アタック・オブ・ザ・キラートマト』を観ながら」 著者あとがき