出版社 : 東京創元社
「僕は何もしていないよ、揉め事が勝手に起きただけだ」 帝都を騒がす怪盗ロータスこと蓮と、 その幼馴染であり元検事の安西省吾。 二人が出会った五つの事件。 〈帝都探偵絵図〉シリーズ、待望のスピンオフ作品集! 「怪盗になる」そう宣言した幼馴染みの蓮に仲間に引き入れられ、安西省吾は東京地方裁判所検事局を辞めてともに欧州に渡った。帰国後、二人はしばらく日本で静養するはずだったが……大人しくするという約束をはぐらかし、蓮は次々と不可思議な出来事を見つけてくる。その度に才知を見せる蓮を、省吾は複雑な胸中で見守っていた。彼の隣に立つのが、凡庸な自分でいいのか、と。〈帝都探偵絵図〉シリーズ、待望のスピンオフ連作集。 ■目次 グランドホテルの黄金消失 特等席 埋める者 暴く者 すべて当たり籤 光と影のおむすびころりん
あなたは正しく生まれたのに、歪んでしまった。 目撃者、看守、前科者、密入国者の親戚・・・・・・。 犯罪に関わりを持ってしまった 人々の孤独と一筋の光。 CWA賞最優秀短編賞受賞作を含む忘れがたい10編。 ギャングの少年の殺人を目撃した女性は、報復を恐れて通報するか苦悩する(「ベイビー・キラー」)。1988年フランスで、8人の子供を殺した囚人と看守の奇妙な交流を描く(「ボルドーの狼」)。メキシコから密入国する親戚を救うため、少年は父と山火事が広がる国境地帯に踏み入る(「灰になるまで」)。犯罪に関わった人々の孤独と希望を、美しく切なく真摯に描く。CWA賞最優秀短編賞受賞作を含む傑作短編集! ■目次 「悪いときばかりじゃない」 「ベイビー・キラー」 「ボルドーの狼」 「万馬券クラブ」 「夕闇が迫る頃」 「本能的溺水反応」 「聖書外典」 「すべてのあとに」 「甘いささやき」 「灰になるまで」
猫をソファに上げないこと、床を汚さないこと・・・・・・。 完璧主義の友人宅の留守番を引き受けた ぼくの悪夢のような八日間 恐ろしくもおかしいカフカ的不条理! ベティ・トラスク受賞作 神経質で完璧主義の友人の留守宅をまかされた男。フローリングを汚さないことと、ストラヴィンスキーにちなんだストラヴィとショスタコービッチにちなんだショシイという二匹の猫の世話をすることだけを約束させられて。なんということもなさそうな、気楽な留守番のはずが、悪夢のような展開を見せることに……。そこここに、置かれる友人の細かい注意書き。カフカ的怖さとおかしさが同居する奇妙で独創的な傑作小説。
輪郭は強烈な輝きを放っているのに、 彼の中心は闇に沈み、謎めいたままーー ひったくりの犯人を突きとめた。 事件はそれで終わらなかった。 私たちは、ある男が歩んだ道を 辿り直すことになる。 〈犯罪と私たち〉を真摯に描く、実力派作家、渾身の新境地。 知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったがーー。《本の雑誌》が選ぶ2020年度文庫ベスト10第1位『パラ・スター』の著者が贈る、〈犯罪と私たち〉を描いた壮大なミステリ。
中には見たこともないような鳥がいた。 羽根はすべて純金で、目はろうそくの炎のようだ。 「わが不死鳥だ、あまり近づかないようにな。凶暴なのだ」 不死鳥とルビーが詰まった義足を押しつけられた 青年が見いだした解決策とは? 表題作他全10編を収録 ガーディアン賞、エドガー賞受賞の名手が織りなす摩訶不思議な世界 不死鳥と、ルビーが詰まった義足を獣医から引き継いだ旅人テーセウスの選択を描いた表題作ほか、つつましやかな幽霊犬を競売で手に入れた書類箱の中にみつけた飼い主の話「ハンブルパピー」、上の階に行くことを絶対に拒否し続けた女の子の運命「上の階が怖い女の子」など、奇妙で幻想味にあふれ、ときに優しく、ときにぞっとするような怖さを秘めた短編全十編を収録。ガーディアン賞、エドガー賞を受賞した著者の傑作短編集第二弾。 ■目次 「葉っぱでいっぱいの部屋」 「ハンブルパピー」 「フィリキンじいさん」 「ルビーが詰まった脚」 「ロープの手品を見た男」 「希望(ホープ)」 「聴くこと」 「上の階が怖い女の子」 「変身の夜」 「キンバルス・グリーン」
あなたのことは、最初から疑っていましたーー 罪を犯した者たちの前に、 死神めいた風貌の警部が立ちはだかる! 〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ、大人気倒叙ミステリシリーズ あなたのことは、最初から疑っていましたーー漫画家を殺してしまった週刊漫画誌の編集者、悪徳芸能プロモーターを手にかけた歌謡界の元・スター、部下の裏切りに報復する人気タレント文化人、過去を掘り返そうとする同僚の口を封じた美大予備校の講師……彼らは果たして、いつ、何を間違えてしまったのか。罪を犯した者たちの前に、死神めいた風貌の警部が立ちはだかる。〈刑事コロンボ〉の衣鉢を継ぐ、大人気倒叙ミステリシリーズ! ■目次 「第一話:愚者の選択」 「第二話:一等星かく輝けり」 「第三話:正義のための闘争」 「第四話:世界の望む静謐」
【受賞作決定!】 第32回鮎川哲也賞 選評 辻 真先・東川篤哉・麻耶雄嵩 第19回ミステリーズ!新人賞 選評 大倉崇裕・大崎 梢・米澤穂信 【第19回ミステリーズ!新人賞受賞作】 ルナティック・レトリーバー 真門浩平 ●名門大学学生寮で、日食の最中に巻き起こった事件を描く。第19回ミステリーズ!新人賞受賞作 【新連載】 明治殺人法廷 第1回 芦辺 拓 1(ONE) 前編 加納朋子 【小説】 ねじれ位置の殺人 犯罪相談員〈3〉 石持浅海 きみのかたち 第4回 坂木 司 特撮なんて見ない 第4回 澤村伊智 記憶の対位法 第2回 高田大介 ファインダー越しの、 秋永真琴 『昭和ふしぎ探訪』 愛蔵版に寄せて 榊林 銘 黒いレプリカ 櫻田智也 二十七番目の男 ネイサン・イングランダー 小竹由美子 訳 【特別企画】 新訳版『長い別れ』刊行記念対談! 田口俊樹×杉江松恋 鮎川哲也賞受賞者特別対談 青崎有吾×今村昌弘 【ESSAY】 装幀の森 第3回 アルビレオ ぼくたちが選んだ 第5回 有栖川有栖・宮部みゆき・北村 薫 翻訳のはなし 第5回 短歌と小説、どちらがこわい 金原瑞人 乱視読者の読んだり見たり 第4回 死人に口あり 若島 正 ホームズ書録 これはホームズ翻案なのか?「探偵小説 二重棺の秘密」 北原尚彦 【COLUMN】 ひみつのおやつ*季節限定パフェ 敷島シキ 私の必需品*パーソナル密室 北山猛邦 【INTERVIEW 期待の新人】 荒木あかね 【INTERVIEW 注目の新刊】 『仕掛島』 東川篤哉 『録音された誘拐』 阿津川辰海 【訃報】 追悼 松田道弘氏、三田皓司氏、島崎 博氏、光原百合氏 戸川安宣 追悼 Noribou(唐仁原教久)氏 編集部 【BOOKREVIEW】 [文芸全般] 瀧井朝世 [国内ミステリ] 宇田川拓也 [翻訳ミステリ] 村上貴史 [SF] 渡邊利道 [ファンタジイ] 三村美衣
日常に忍びこむ幻想。戦慄の人間心理。 奇妙な出来事が人々を翻弄するーー。 その、巧みな一撃。 戦後ドイツを代表する女性作家の名作を集成した、 全15作の日本オリジナル短編集! ある日突然、部屋の中に巨大な鳥が現れる「ロック鳥」、旅行から帰ったら、自分が死んだと知らせてきた女がいたという話を聞く「六月半ばの真昼どき」、見た夢と現実が区別がつかなくなっていく少女を描く「ジェニファーの夢」、間違えて違う船に妹を乗せてしまった兄のもとに、常軌を逸していく妹の手紙が届き続ける「船の話」。日常に幻想が忍び込み、人間心理の恐さが背筋を震わせる。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、本邦初訳7作を含む全15作の傑作短編集! ■目次 「白熊」 「ジェニファーの夢」 「精霊トゥンシュ」 「船の話」 「ロック鳥」 「幽霊」 「六月半ばの真昼どき」 「ルピナス」 「長い影」 「長距離電話」 「その昔、N市では」 「見知らぬ土地」 「いいですよ、わたしの天使」 「人間という」
日本SFを牽引する注目の書き手による最新作6編 全編書き下ろし 第13回創元SF短編賞受賞作を収録 八島游舷、宮澤伊織、菊石まれほ、水見稜、空木春宵、笹原千波 ベテランから日本SF界の未来を担う新鋭まで、現代SF界を牽引する書き手が集結。新時代を創る書き下ろしアンソロジーシリーズ第5巻。今回は、宮澤伊織、水見稜、空木春宵、八島游舷、菊石まれほの新作と第13回創元SF短編賞正賞受賞作・笹原千波「風になるにはまだ」を掲載する。 ■目次 はじめに 八島游舷「天駆せよ法勝寺[長編版]序章 応信せよ尊勝寺」 宮澤伊織「ときときチャンネル# 3【家の外なくしてみた】」 空木春宵「さよならも言えない」 笹原千波「風になるにはまだ」(第13回創元SF短編賞 正賞受賞作) 第13回創元SF短編賞選考経過および選評 水見稜「星から来た宴」 菊石まれほ「この光が落ちないように」 ちいさなあとがき 編集部より
思いもかけないところから、ひょっこりと真相が顔を出す。 鵜林ミステリの個性を示す、謎と論理の第一作品集。 『ネクスト・ギグ』の俊英による、ロジックときどきトリックの五編 どこをさがしても見つからない。いくらさがしても見つからない。残り一球が見つからないと帰れない。いったいボールはどこへ行ったのだ? 闇雲にさがしても無駄だ、頭を使おうと高校野球部の部員たちは推理でボールの行方を突きとめようとする。著者の出発点となった「ボールがない」をはじめ、天文部員が天体写真を添付したメールの謎の解明に挑む「宇宙倶楽部へようこそ」、実在のスイッチバック駅を舞台に殺人の謎を描いた表題作など五編。ああでもない、こうでもないと推理を重ねたその先に、意外なところから真相がひょっこりと顔を出す、鵜林ミステリの個性を示した第一作品集。 ■目次 「ボールがない」 「夢も死体も湧き出る温泉」 「宇宙倶楽部へようこそ」 「ベッドの下でタップダンスを」 「秘境駅のクローズド・サークル」
デビュー20周年記念刊行 嵐によって隔絶された瀬戸内の孤島 巨大な球形展望室を有する異形の館 遺言に従って集められた一族の面々 東川篤哉長編史上、最大最長最新傑作! 岡山の名士が亡くなり、遺言に従って瀬戸内の離島に集められた一族の面々。球形展望室を有する風変わりな別荘・御影荘で遺言状が読みあげられた翌朝、相続人の一人が死体となって発見される。折しも嵐によって島は外界から孤絶する事態に。幽霊の目撃、鬼面の怪人物の跳梁、そして二十年前の人間消失ーー続発する怪事の果てに、読者の眼前に驚天動地の真相が現出する! 本屋大賞作家が満を持して放つ、謎解きの興趣とユーモアあふれる本格推理長編。
撮る大人たち、撮られる子供たち・・・・・・。 人生はドラマでも商品でもない! わが子をYouTubeで公開する母親。 SNSネイティヴの子供たちの未来をまだ誰も知らない。 若い頃、テレビのリアリティ・ショーに夢中になったメラニーは、母となり、子供たちをYouTubeで公開するようになり、何百万人もの視聴者を獲得する。しかし6歳になった娘が失踪。誘拐が疑われ、脅迫状も届く。金目当て? 成功者への嫉妬? ペドフィル? 彼女と同世代の警察官クララが事件を精査し始める。ネット社会に翻弄される人間たち、キッズインフルエンサーのその後の人生、実に考えさせられる問題作。タイトルは、母親の「うちでは子供が王様なんです」から。
東京でフリーライターとして働く小野寺衛は、同棲する恋人の妊娠が判明した夏の日、伯母からの電話を受ける。それは故郷に残してきた兄の死の報せだった。兄・聡には知的障害があったが、死因は自殺ということ以外なにもわからない。葬儀のため七年ぶりに地元・松島の地を踏んだ衛は、兄の死の真相を探る決意をする。父親、伯母、幼馴染みと、聡と関わりの深かった人物に話を聞いていくことで、慟哭の真実が明らかにー!エッセイ『しくじり家族』『ろうの両親から生まれたぼくが聴こえる世界と聴こえない世界を行き来して考えた30のこと』で話題の著者が贈る、鮮烈なミステリデビュー作。
中須磨家の一族が殺される度に、 大きな波の音が聞こえるーー ここには海なんかないのに。 山間部の小村に伝わる特異な妖怪伝説、 名家が祀る謎の神"くとる"様 H・P・ラヴクラフト×不可能犯罪! 第十七回ミステリーズ!新人賞受賞作『影踏亭の怪談』に続く初長編 愛媛県の山間部にある過疎の村・赤虫村には、独自の妖怪伝説が存在する。黄色い雨合羽を着て暴風を呼ぶ「蓮太(はすた)」、火災を招く「九頭火(くとうか)」、廃寺に現われる無貌の「無有(ないある)」--そして古くから伝わる“クトル信仰”。フィールドワークのために村を訪れた実話怪談作家・呻木叫子は、その後村の名家・中須磨家で続く不可能状況下での殺人事件に関わることに。第17回ミステリーズ!新人賞受賞者による初長編。
【特集】今こそ見逃せない! 大注目の翻訳ミステリ 印象的な男 ピーター・スワンソン 務台夏子 訳 アマポーラ ルイス・アルベルト・ウレア 門野 集 訳 2022年東京創元社の翻訳ミステリ刊行リスト 2022年上半期翻訳ミステリの動向 若林 踏 ジャナ・デリオン 〈ワニ町〉シリーズ応援イラスト 松島由林 名作ミステリ新訳プロジェクト・パーフェクトガイド 祝 翻訳ミステリー大賞および読者賞決定! 【特集】慄(ふる)える・惑(まど)う・憑(つ)かれる 真夏のホラー 古池町綺譚 小田雅久仁 紹興庵(しょうこうあん) 幻想文学会の思い出 南條竹則 赤虫村の怪談 大島清昭 芦花公園『とらすの子』刊行記念鼎談! 多彩な恐怖の探求者たちーー新鋭ホラー作家ガイド 朝宮運河 創元ホラー長編賞 応募規定 【新連載】 記憶の対位法 第1回 高田大介 【小説】 夫の罪と妻の罪 犯罪相談員〈2〉 石持浅海 きみのかたち 第3回 坂木 司 間の悪いスフレ 近藤史恵 わたしたちの怪獣 久永実木彦 ホロウ・ダンス 雛倉さりえ 刑事何森 逃女 丸山正樹 ※澤村伊智「特撮なんて見ない」は休載です 【ESSAY】 装幀の森 第2回 アルビレオ ぼくたちが選んだ 第4回 有栖川有栖・北村 薫・宮部みゆき 翻訳のはなし 第4回 スウェーデン語─英語─スウェーデン語 柳沢由実子 ※若島 正「乱視読者の読んだり見たり」は休載です 【COLUMN】 ひみつのおやつ*ラムネ 八目 迷 私の必需品*オフの環境 阿泉来堂 【INTERVIEW 期待の新人】 藤 つかさ 五十嵐律人 【INTERVIEW 注目の新刊】 『汝、星のごとく』 凪良ゆう 『夜の道標(どうひょう)』 芦沢 央 【BOOKREVIEW】 [文芸全般] 瀧井朝世 [国内ミステリ] 宇田川拓也 [翻訳ミステリ] 村上貴史 [SF] 渡邊利道 [ファンタジイ] 三村美衣
あらゆる感情が失われている人々の中でなぜ殺人が起きたのか? 真相は五十七通りの中にある 現役医師コンビによる本格ミステリ 徐々に感情が失われていく病「アエルズ」に罹患した、元麻酔医・伝城英治。同じ病状の8名で、千葉県の一軒家で共同生活を送る「情無連盟」から加入の誘いをうけたのだが、見学に行った矢先に連続殺人事件に巻き込まれる。不可能状況下、あらゆる欲求が失われている「情無」たちが集う家で、なぜ事件は起こったのか? 現役医師であり、ミステリーズ!新人賞受賞作家である著者が相棒と共に描く、本格犯人当て長編。
嫌なやつは、みんな「マレ様」が殺してくれる。 安息を求める人々が集う「とらすの会」。 皆の輪の中心で微笑む美しい「マレ様」に 殺したい人間の名を告げると、 必ず凄惨な死を遂げる。 ホラー界の新星が描く、美しい異常。 「とらすの会」の人は皆優しくて、居心地が良かったんです。中でもマレ様なんて嘘みたいに綺麗で、悩みを聞いてぎゅって抱きしめてくれました。でも“会議”では、誰かが「許せない人」への恨みをマレ様に訴えて、周りの人たちも口々に煽って……翌日、その「許せない人」は死体で見つかるんです。それが怖くて行かなくなったら、裏切者って責められて……。時間がないです、私、殺されます── 錯乱状態に陥った少女は、オカルト雑誌のライター・美羽の眼前で突然、爆発するように血肉を散らして死んだ。スクープを狙った美羽は「とらすの会」を訪ねるが、マレ様に出会ったことで、想像を絶する奈落へと突き落とされる── 『ほねがらみ』『異端の祝祭』がSNSで話題を攫ったホラー界の新星が描く、美しい異常。
ピノッキオを探して巨大な魚に呑み込まれたジュゼッペは、 そこで見つけた帆船の航海日誌に自分の人生を綴る 暗闇の中、孤独な老人はなにを思うのか・・・・・・ 鬼才ケアリーが描く、もうひとつのピノッキオの物語! 著者によるイラスト多数収録! 巨きな魚の腹の中。乗っていた舟ごと呑み込まれたジュゼッペは、そこにあった朽ちかけた船で発見した航海日誌に、自分の来し方を綴っていく。彼が造った、木彫りの人形ピノッキオに命が宿ったこと。学校に行って戻ってこなかったその子の行方を捜し、小さな舟で海に乗り出したこと。そして彼の手記はさらに遡り……。絶望的な状況下、ジュゼッペ老人は何を思い、何を綴ったのか。鬼才ケアリーが描く、もう一つのピノッキオの物語。