小説むすび | 出版社 : 水声社

出版社 : 水声社

ヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』を読むヴァージニア・ウルフ『ダロウェイ夫人』を読む

著者

秦邦生

出版社

水声社

発売日

2025年9月19日 発売

ジャンル

『ダロウェイ夫人』出版百周年! 1923年6月半ばのある一日の出来事は、百年後を生きるわたしたちの日常に意外なほど似ているのではないか。パンデミック、トラウマ、人種、ジェンダー、都市空間、トランスナショナル、マルチバース、気候変動……孤立した意識に共感の息吹をもたらすべく、モダニズム文学を現代的に精読する まえがき 小川公代 序 百年後の『ダロウェイ夫人』 秦邦生 現代の小説 ヴァージニア・ウルフ(秦邦生訳) 「そこに彼女がいたから」--『ダロウェイ夫人』における愛と現前 ジリアン・ビア(柳澤彩華訳) 「六月のこの瞬間」--ダロウェイの日からの一世紀 ポール・サンタムール(西脇智也・古城輝樹訳) 読書する時空間ーー『ダロウェイ夫人』の読者たちを読む 中井亜佐子 ダロウェイ夫人と存在の偶然性ーー「向かいの家の老婦人」の謎について 田尻芳樹 仮面としての衣服ーーファッションから見た『ダロウェイ夫人』と『オーランドー』 小川公代 ヴァージニア・ウルフの「魔法の庭園」--『ダロウェイ夫人』における樹木たちの生死 秦邦生 別の時間とこの人生ーー『ダロウェイ夫人』を『エブエブ』『歳月』とともに読む 河野真太郎 都市とモダニズムーー英語圏現代文学における『ダロウェイ夫人』の残響 星野真志 トランスナショナルな書物史ーーエンプソン、宮本百合子、左川ちかによるウルフの受容 松本朗 『ダロウェイ夫人』をこれからも日本の大学で読むためにーーフェミニズムの差異・交差性・人種 松永典子 [インタヴュー] ヴァージニア・ウルフと韓国文学 斎藤真理子(聞き手・小川公代) [インタヴュー] ヴァージニア・ウルフと松田青子文学について 松田青子(聞き手・小川公代) [作品] 同胞を愛した男 ヴァージニア・ウルフ(片山亜紀訳) 文献案内ーー〈あとがき〉に代えて 秦邦生

ジョージ・オーウェル『1984年』の現在地ジョージ・オーウェル『1984年』の現在地

なぜ私たちは、“かつて未来だった時代”と現在との共鳴を探しながら、この小説に向き合おうとするのか。 混迷の21世紀を生き抜くために、歴史、教育、難民、独裁、労働、音楽、ゲームなど多角的な視座から『一九八四年』を論じる最新の論集。 序文 オーウェルの本 ネイサン・ウォデル 第1部 コンテクスト 第1章 『一九八四年』と教えること、学ぶこと ナターシャ・ペリヤン 第2章 『一九八四年』における仮想の地勢 ダグラス・カー 第3章 『一九八四年』におけるアーカイヴの政治学 ディレタ・デ・クリストファーロ 第4章 オーウェルとヒューマニズム デイヴィッド・ドワン 第2部 歴史 第5章 『一九八四年』と風刺の伝統 ジョナサン・グリーンバーグ 第6章 オーウェルの文学的コンテクストーーモダニズム・言語・政治 リサ・マレン 第7章 ウェルズ、オーウェル、独裁者 サラ・コール 第8章 オーウェル文学の後継者たちーー1950-2000年、それ以降 ホリー・ジョンソン 第3部 諸問題 第9章 ヨーロッパ、難民、『一九八四年』 ジャニス・ホウ 第10章 希望という問題ーーオーウェルの労働者 エリノア・テイラー 第11章 オセアニアの汚れーー第1エアストリップの汚物、吐き気、嫌悪感 ネイサン・ウォデル 第12章 101号室ーーオーウェルと悪の問題 ピーター・ブライアン・バリー 第4部 メディア 第13章 ラジオ、舞台、銀幕の『一九八四年』 ダニエル・バッキンガム 第14章 『一九八四年』を音楽にするーーポップ、ロック、オペラ ジェイミー・ウッド 第15章 『一九八四年』と漫画 イザベル・リカーリ=ギヨーム 第16章 「私たちがプレイしているこのゲームの中では」--『一九八四年』とテレビゲーム ソラヤ・マレー 第17章 結び 『一九八四年』から生まれた想像力 アダム・ロバーツ 年譜 推薦図書リスト 索引 謝辞 監訳者解題

韓国現代時調四歌仙集韓国現代時調四歌仙集

著者

安修賢

出版社

水声社

発売日

2025年3月14日 発売

ジャンル

いま花開く韓国詩歌 韓国伝統の抒情詩型である「時調」のエッセンスを受け継ぐ4詩人の作品64首を対訳で紹介。現代韓国に生くる人々の魂の響きがわれわれを揺さぶる! 「本書は、時調文学の豊穣を、その一端に過ぎないが、その一端だけでも垣間見ることを許してくれる。まさに至福である。多くの読者がこの至福に今後与れることを、心より願ってやまない。」(堀田季何「時調文学の豊穣を垣間見る」より抜粋) 言葉の時間 四人の時調と翻訳の出会いと響きーー前書きにかえて 安修賢  時調文学の豊穣を垣間見る 堀田季何 時調翻訳の美学と可能性ーー世界文学への歩み 藤本はな ・時調四歌仙作品集 時調四歌仙の扉を開く 詩人(孫澄鎬)/稲束(李垙)/歯磨き(卞鉉相)/吊り橋(鄭熙暻) 孫澄鎬の時調 鍍金時代/猫の爪/水平線/恋の傾き/淡々たる視線について/払い戻せぬ話/お悔やみ/裂け目/木蓮の菩薩/島/器/ふと/突然/月光の椅子/共存 李垙の時調 詩/飛び石/墨/玄関/大工の張さん/梯子/赤き熟柿/椿の花/ハリネズミ/土留めの壁/雨後/じょうろ/ジャンケン/出棺/大雪警報 卞鉉相の時調 正面衝突/藍色の空を見上げる/半月/いいな!/眠気の隠喩/恋/鉄道/クレジットカード論/化石の言葉/電気溶接/俄か雨/流れ星/潭陽/風鈴/家族 鄭熙暻の時調 古びた扇風機/ポスト・イット/昼寝/スプリンクラー/日曜日/クリルオイル/滝/天気予報/木蓮/肘笠雨/星評価/ドライバー/百合/復元 12-粒子状物質/竹の子 時調ルネサンスと時調の在り方をめぐって 安修賢 時間の翻訳、時調と人文学のコラボーー後書きにかえて 安修賢

墓の此方からの回想墓の此方からの回想

出版社

水声社

発売日

2024年10月25日 発売

百年の解読 四国のハイデルベルクからシャトーブリアンの「死活」を考える、フランス文学者の仮構のふるさと探求。 戦後のオートバイ屋は、飛行機乗りの成れの果て? ラバウル小唄からトンコ節へ、大衆歌謡とエンジン音が響く、昭和百年の家族史、産業叙事詩! 《回想録ならこんな具合に見た通りに書くから悩みがない。ところがそこに虚構を交えようとした途端、整合性が崩れ、嘘が露わになってしまう。そこが素人には難しい。数学で言う線形変換のように、平行移動とか、回転や反転とか、公式を使ってやれればいいのだが、小説作法でそのマトリックスはまだ知られていないようだ。  やや広い視野で見れば、吉野川は西日本では最も大きな川の一つで、四国三郎と呼ばれ、長さは二百キロメートルに近い。筑紫次郎と呼ばれる九州の筑後川は全長百五十キロメートルに満たないから、人間なら弟の方が格下ではあっても、上背では兄に勝っている印象だ。和歌山県の北部を流れる紀ノ川の上流部分も吉野川と呼ばれる。これは修験道の聖地たる大和南部の山々から、南朝の宮居があった吉野を巡って西流するので、四国の吉野川とは紀伊水道を挟んでやや左右対称のような関係にある。四国の側は下流まで吉野川だ。雅称として「芳水」と呼ばれることもあるようだ。だから皆吉は「芳水」の中流、南岸に位置する谷口町で、ここに流入する支流が皆瀬川である。  四国山地の山々でも修験道はかなり盛んだったと思われる。皆吉駅に降り立った山伏装束の修験者たちが、駅前から国道に出る連絡路で法螺貝を吹き、揃って登山バスの乗り場へと歩いていく姿がしばしば見られた。駅前の連絡路から国道を左折すると、うどん屋を二軒おいて、三つの定期路線を持つバス会社の乗り場と事務所がある。製材所の跡地と背面を接し、その向かいには大きな構えの商店がある。ここは元来魚屋であるが、板前を抱える仕出し屋であり、魚介類や氷などの卸売りもし、裏手には広い宴会場を持っていた。これは婚礼の式場にもなった。この二軒、バス会社と鮮魚店が駅前の「分限者」であった。》(本文より)

マーガレット・アトウッド『侍女の物語』を読むマーガレット・アトウッド『侍女の物語』を読む

出版社

水声社

発売日

2023年12月12日 発売

ジャンル

奴らに虐げられるな 1985年に発表された近未来小説『侍女の物語』と、2019年の続編『誓願』。 男性優位の独裁国家を描く暗澹たるディストピア文学が、なぜ今日、フェミニスト・プロテスト文化の象徴として耳目を集めるのか。 女性の身体と連帯、歴史と記憶、声と語り、エコロジー、セクシュアリティ/ジェンダー、ケア…… 現実世界の諸相を束ねて生み出された物語世界に、現在そして未来を生き抜くための希望を探る。 序ーー2023年、『侍女の物語』のアクチュアリティを問う 加藤めぐみ 『侍女の物語』はフェミニスト・ディストピアか? マーガレット・アトウッド(西あゆみ訳) 1 ギレアデ共和国のリアル ビッグ・シスターとシスターフッドーーアトウッド『誓願』における「弱い」独裁者 奥畑豊 [付論]アメリカ・カナダの〈地下女性鉄道〉--逃亡の協力者と緩衝地帯マップ 安保夏絵 社会生物学者リンプキンの謀略ーー『侍女の物語』『誓願』におけるミツバチと生政治 加藤めぐみ 勇気をこめて振り返るーー抵抗の記念碑としての『誓願』の石像たち 三村尚央 アトウッドのエコ・ディストピアーー『侍女の物語』から『マッドアダム』まで 中村麻美 [コラム]性別二元論というディストピアーー『侍女の物語』関連作品を読む 中村麻美 2 女性の身体/連帯 ケアの目覚めーー『侍女の物語』から『誓願』へ 小川公代 未来に託す身体のメッセージーー『フランケンシュタイン』、『侍女の物語』、『誓願』を繫ぐ声・身体・命 生駒夏美 「これまでに愛したのはあなただけ」--レズビアン・ロマンスとして読む『侍女の物語』と『誓願』 渡部桃子 フェミニストSFとしての『侍女の物語』 小谷真理 『ハンドメイズ・テイル/侍女の物語』においてセリーナ、モイラ、ジューンのマザーフッドと代理出産が問うこと 高村峰生 [コラム]ジューン/オブフレッドのレジスタンス 石倉綾乃 [付論]日本のフェミニストSF文学はなぜ、最初からディストピア的色彩が強かったのか シュテファン・ヴューラー あとがき 中村麻美

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