出版社 : 河出書房新社
小説家を目指す春樹。ミュージシャンを夢見る雪。そして、二人を見守る人たち。それぞれの哀しみを背負いながら、高校三年間、寄り添うように生きていく。ところが突如、平穏な日々に悲劇が訪れた。隠蔽、苦悩、決断の果てに待つ衝撃の結末とは?すべての答えは卒業式当日。私は、あなたの「爆弾」になるーカリスマアーティストが贈る小説×音楽の物語世界。
「男のための物語」をぶち壊して、「私たちの物語」を綴ろう。物語の神は言った、「男が中心に存在してこそ“正しい物語”である」と。そんな神の支配する『竹取物語』の世界に生きる内気な姫さよは、帝の后選びの場で勝気な姫ごうに出会う。自由を求め物語の神に反旗を翻した二人は、『源氏物語』『平家物語』『仮名手本忠臣蔵』『舞姫』『蟹工船』と、名作の世界に転生を重ね、女性が生きづらい物語を書きかえてゆく!
3.11直前に教え子をいじめ自殺に追いやってしまったかもしれない元教師の妙と、沖縄新基地建設反対デモの警備中にデモ参加者を不慮の事故で死なせてしまったかもしれない便利屋の忍。過去の出来事に苛まれるふたりは、「感染者第一号」を誰もが恐れる地で出会った。人が人を傷つけ、傷つけられる世界で、「東京からの移住者」が遂げた謎の死をめぐり、ふたりの運命は動き出すー。哀しみと、苛烈な祈りの物語。
英雄ガガーリンの母が“地球の心臓部”に突き進む「空のかなたの坊や」、厳格な校長だった母の思い出を抒情豊かに綴る「バックベルトの付いたコート」、ロシアの大都市を麻痺させたコンピュータ・ウィルスをめぐる数奇な物語「聖夜のサイバーパンク、あるいは『クリスマスの夜ー117.DIR』」、“ロシア文学史上もっとも汚い言葉で書かれた小説”と称される型破りな「ロザンナ」、孤独な女教師の追憶を流れるような文体で活写する「霧の中から月が出た」、ある知識人が罰として引き取ることになった“レーニン”が大暴れする「馬鹿と暮らして」、モスクワのバラックを舞台に悪臭と官能が入り混じる「赤いキャビアのサンドイッチ」、謎の作家が体験する鏡の中の世界を描く「トロヤの空の眺め」など、すべてがユニークかつオリジナルな12の物語。現代ロシアの多様な魅力を映しだすいまだかつてない「沼」アンソロジー。
元神話学教授のチーズ職人の家に養子として迎えられた、難病のミミズ研究者の物語「闇夜、黒い大地と黒い山」。鳥の声を聴き取る自閉症の鳥類行動学者が、母の死をきっかけに聴力を失い、新たな言語を構築していく「人はいかにして言語を学ぶか」。植物状態にある恋人のツリークライマーに負い目を感じる主人公が、臨死体験を利用した治療法に身を委ねる「アイスシールドの森」。無差別殺人事件で妻を失った弁護士が、未完成の妻の小説に登場する絶滅種を追い求める「雲は高度二千メートルに」。海に惹きつけられた四人の男女が、絶滅したクロマグロを探す旅に出る「とこしえに受胎する女性」。中華商場で子どもたちを魅了した一羽の鷹と、その持ち主である叔父さんをめぐる追憶の物語「サシバ、ベンガル虎および七人の少年少女」。緩やかに連関しつつ紡がれる自然と人間の大いなる物語。現代台湾を代表する作家のネイチャーライティング・フィクション。
源義朝が平清盛に滅ぼされて二十余年。遺された源氏の子らは、武士という存在の意味を求め、強大な平氏を滅ぼさんと立ち上る。帝の軛を離れ、武士の国を創ろうとする源頼朝。帝とともにあろうとする源義経。二人の狭間にあって、源範頼はただ友を守るため、兄を、そして弟を殺すべきか、その答えを探しに天朝始まって以来最大の戦いに身を投じる。
順風のときも希望を失ったときも“大人の童話”が道しるべになってくれる!仕事、人間関係、運を好転させる最強のメッセージ!
その舞いが、奇跡を起こす!豪華スタッフとのコラボから生まれた感動の青春ファンタジー!二〇二一年九月『ポッピンQ-時守たちのラストダンス』として発表された作品を改題。
ジュリアン・バトラー。トルーマン・カポーティ、ゴア・ヴィダル、ノーマン・メイラーと並び称されたアメリカを代表する小説家。バトラーの生涯は長きにわたって夥しい伝説的なゴシップの靄に包まれていた。しかし、2017年、覆面作家アンソニー・アンダーソンによる回想録『ジュリアン・バトラーの真実の生涯』が刊行され、遂にその実像が明らかになるー。もうひとつの20世紀アメリカ文学史を描く壮大なデビュー長編小説。
新年の始まり以降、この国ではだれも死ななくなった。高齢で衰弱する皇太后陛下、成功確実な自殺者、交通事故で十二分に息絶えたはずの人体、致命的な墜落事故…。死の活動停止を寿ぐ歓喜の高波の一方で、商売の材料を奪われた葬儀業界、死の不在によってベッドが不足する病院経営者、生と死の循環が滞る老人ホームなど、危機に陥る人々。国境の村では、生死の需要と供給を補うためにマーフィアが暗躍し、死を求める人々を国外に運びだす。悲喜こもごもの事態の中、テレビ局の会長の手元に紫色の封書が届く…。ノーベル賞作家による驚愕の思考小説。
栄の女子大小路にあるバー・タペンスで、のんびりとバイト店長を務めていた大夏。ところがそこに大事件が転がり込む!連続女児殺害事件の容疑者になってしまった大夏は、絶縁状態だった姉の美桜に助けを求めるのだが…ホステス、弁護士、大学教授、店の常連客、そして担当刑事、あらゆるネットワークを駆使した先に見えてきた驚愕の真相とは?真犯人が仕掛けた罠に、大逆転の計画で立ち向かう痛快ミステリー!
ゴキブリまみれで毎朝起きる、貧しさの底をさまよう少女。文化大革命の凄惨な経験に縛られる不安定な親たち。一族の痛みの歴史の先端でツバを吐く子供たちの、酸っぱくひねくれた青春小説集。ロサンゼルス・タイムズ・ブック・アワード受賞。
ドミニク・アングル「グランド・オダリスク」:パリ、ルーヴル美術館でスリに遭った主人公におこった不思議(「後宮寵姫」)。ハンス・バルドゥング・グリーン「女の三段階と死」:転校生の夏姫は、新しいクラスメイトから、よくある学校の怪談を聞くのだが(「旧校舎の踊り場」)。藤田嗣治「つばめと子供」:取材で訪れた見知らぬ土地で、公園で遊ぶ女の子たちと知り合った私だったが(「六人姉妹」)。架空の美術館(本書)に収蔵された、13の絵画と小説。
ファシズムの誕生。イタリア国内で50万部超売れ、世界40か国以上で翻訳されたベストセラー。イタリア最高峰の文学賞ストレーガ賞受賞作品!ファシズムの側から反ファシズムを描いた挑戦的な小説。