出版社 : 河出書房新社
暴力、スピード、死ー心に傷を負い戦争から帰還した青年の絶望と破滅。ガルシア=マルケス、中上健次ら次代の巨匠へ影響を与えた世界文学史上最高の物語群の始まりとなる傑作の「真の姿」。『サートリス』オリジナル版。記念碑的大作、初の邦訳。
父の再婚で新しい母・瞳子さんと弟・晴彦と暮らすことになった、高校一年生のちぐさ。ある日、晴彦がブラジャーを着けているところに遭遇する。これはあれだ、保健とか、道徳の授業で習ったやつだ。「ちげーよ!ふつうにおしゃれでやってるんだよ!」変。理解できない。でも、私たち二人だけの関係を、きっと見つける!新時代を駆ける青春小説!第2回氷室冴子青春文学賞大賞受賞作!
これがどんな本かって?トールキン、ベケット、トウェイン、宮崎駿が世界の終わりに一緒に酒を呑みながら、最後の焚き火を囲んで語ってる、そんな話さ。フランスでイマジネール賞をケン・リュウ、ニール・ゲイマン、ケリー・リンク等に続き受賞、『モヒカン族の最後』と『百年の孤独』を『バトル・ロワイアル』な語りで創造したエストニア発エピックファンタジー大作!
魅惑のワンダーランドの完全ガイドブック。チェシャ猫、ハートの女王などの奇妙な住人の紳士録から、ヴィクトリア朝の魅力的な文化が支える舞台裏まで、おかしな世界の出自を探り、奇妙な論理を読み解く本格的アリス読本。
永享六年(一四三四)五月、幽玄の美で室町の世を瞠目させた一人の男が流罪となった。世阿弥元清、七十二歳。咎なくしてなぜ、遠く佐渡へと流されたのか?そして彼の地でどう生き、何を見つけたのか?最晩年に到達した至高の舞いと、秘められた「まことの花」。その謎と、真実に迫る!
ただ街を映すだけのライブカメラは、嘘のない「正しい」世界…。パンデミック下の孤独な者たちの群像劇。(『ただしみ』)。コロナ禍の新たな日常を送る、育ち盛りの中学生・玲奈のもとに、ある日突然おとずれた「濃厚接触」の知らせ(『腹を空かせた勇者ども』)。顔の見えない「ジェントルマン」の声に従い、反ユートピアの物語を紡ぐ男がくわだてる、脱ディストピアの叛乱(『オキシジェン』)。感染症を世界へ巻き散らすことを計画する組織“臆病なテロリスト、臆病な殺人者”に志願したわたしが出会った、究極の人工美を備えた女・アイラ(『MINE』)。死者は活発に人肉を求め、生者が死んだように隠れて暮らす世界で、ぼくは飼い猫を探す旅に出た(『天国という名の猫を探して悪魔と出会う話』)。最前線の作家たちが贈るもうひとつのパンデミック。
五月二十九日、夜明け前。死病を患うミリアは痛みのあまり通りへ飛び出した。時を同じくして、自殺しようと窓から身を乗り出すミリアの元恋人、娼婦を求めさまよう精神科医の元夫、父親を探す少年と、獲物を探す元兵士。彼らの暗い運命は、誉れ高きゲオルグ・ローゼンベルク精神病院の記憶につながっていく…世界約50か国で翻訳される現代ポルトガル最重要作家による、狂気と怒りと愚かさを残酷に描ききる圧倒的代表作。
プラハの大学で日本文学を専攻するヤナは、ゴスロリと忍者が闊歩する学部で謎の作家・川下清丸の小説にのめりこんでいる。そのとき渋谷では「分裂」した17歳のヤナが単語帳片手に幽霊となって街に閉じ込められていた。鍵を握る謎の作家の秘密とは?日本文学フリークたちの恋と冒険の行方とは。チェコ文学新人賞を総なめにした作家による、ふたつの街が重なりあう次世代ジャパネスク小説。マグネジア・リテラ賞、イジー・オルテン賞受賞。
23言語で翻訳、世界的再評価の進む20世紀の巨匠が生んだ奇跡の文学。 「20世紀のもっとも謎めいた作家のひとり」(オルハン・パムク) 「カフカやジョイスと同じ正殿に属する」(エドマンド・ホワイト) 「オブライエン、ボルヘス、ペソアと並ぶ20世紀の隠れた天才」(コルム・トビーン) 「ブラジルのヴァージニア・ウルフ」(ウォール・ストリート・ジャーナル) 荒野からやってきた北東部の女・マカベーアの人生を語る、作家のロドリーゴ・S・M。リオのスラム街でタイピストとして暮らし、映画スターに憧れ、コカコーラとホットドッグが好きで、「不幸であることを知らない」ひとりの女の物語は、栄光の瞬間へと導かれてゆくーー。
ある日突然妻が惨殺された。犯人を追って、男はカナダ先住民居留地へと向かう。たくさんの生き物たちに見守られたその旅路はまた幼少期の戦争と虐殺の記憶に向かうものだったーレバノン内戦によって祖国と母語を同時に失った著者が、アイデンティティを奪われる悲しみをサスペンスフルに描き出す。フランス作家協会ティード・モニエ大賞受賞作。世界的劇作家であり映画『灼熱の魂』原作者が放つ衝撃の長編小説!
19世紀末、階級社会のイタリア。お屋敷に通って針仕事を請け負うなかで知った、上流家庭の驚くべき秘密とはーミシンひとつで自由に力強く人生を切り開いた小さなお針子の波瀾万丈の物語。
爬虫類を愛する学者の父と本屋を営む母の軋轢のなかで育った、数字がすべての若者が世界の真実に触れていく表題作のほか、車を吹きとばすハリケーンのなか、絶品のワインを供に過去の思い出深い男たちと邂逅する「ハリケーンの目」、深夜のウォーキングで目にする水族館の水槽のような近隣の窓景を描く「亡霊たちと抜け殻たち」、奨学金の受給停止をきっかけに、路上生活者となった女子大学院生の彷徨譚「天国と地獄」など、蛇やワニの危険に満ち、差別や格差が色濃く残り、亡霊たちがさまよう土地で語られる傑作短篇集。