出版社 : 河出書房新社
大観衆に湧く競馬レースの最中、男が刺殺された。偶然居合わせた警視庁特犯課の新米刑事・小湊進介はベテラン刑事・海方惣稔とともに捜査を開始。鮮やかな手口からすぐに容疑者の名前が挙がるが、この殺人を皮切りに容疑者が次から次へと殺されていく殺人リレーがはじまり…果たして真犯人が仕組んだ謎を、二人は解けるのか?
日本を代表するシャーロキアンにして、『シャーロック・ホームズ全集全9巻』(単行本と文庫版)を刊行した両著者による決定版入門書。最も信頼でき、最も充実して、最もバランスのとれたコンパクトな手引書で、「ホームズ物語」全六〇篇の基本情報を収録、ホームズの人となり、読み所やエピソードも満載。小林エリカによる楽しい漫画も必見。
夫の高之を熊谷に残し、札幌へ単身赴任を決めた沙和子。しかし、久々に一緒に過ごそうと落ち合った大津で、再会した夫は鬱の兆候を示していた。高之を心配し治療に専念するよう諭す沙和子だったが、別れて暮らすふたりは次第にすれ違っていき…。ともに歩いた岡山や琵琶湖、お台場や佃島の風景と、かつて高之が訪れた行田や盛岡、遠野の肌合い。そして物語は函館、青梅、横浜、奥出雲へー土地の「物語」に導かれたふたりの人生を描く傑作長編。
ハチャメチャかつ自虐的な人気討論番組の司会者として、そして作家として活躍する、僕=ベグベデは、愛する娘ロミーの一言をきっかけに、世界最先端の生命科学研究者を訪ねる旅に出る。スター御用達の名医による健康診断、野菜中心の健康な食事、iPS細胞の冷凍保存、断食ダイエット、静脈へのレーザー注射、遺伝子組み換え…ベグベデ一家の不死化計画は、どこに向かうのか。フランス随一のお騒がせ作家によるサイエンス“ノン”フィクション。
十五年前、さる歌姫が古城の廃墟で不慮の死を遂げ、その首飾りが紛失した。事件に興味を覚えたルパンが謎に挑むー。そこに美しい金髪の令嬢が、腕っこきの鬼警部がからむ。
夢をあきらめるのは、よくないことですか? 古今東西から「夢のあきらめ方」にまつわる物語を集めたアンソロジー。 夢をあきらめた人へ、夢をあきらめようとしている人へ、そして夢をもつことさえできなかった人へ……。 「絶望書店」書店主からのご挨拶 書店にぶらりと立ち寄って、そこで思いがけない本と出会う。 それこそ、書店の楽しみではないでしょうか。 うちも、そういう書店でありたいと思っています。 ただ、小さな書店ですから、どんな本でも置いてあるわけではありません。 うちに並んでいるのは、「夢のあきらめ方」に関する本だけです。 「なぜそんな本を?」と思われるかもしれません。 でも、「夢をかなえる本」や「夢をあきらめない本」なら、他の書店さんにたくさんあります。 ですから、一軒くらい、こういう書店があってもいいのではないでしょうか? 夢がかなわなかったとき、夢をあきらめなければならないとき、この書店をぶらりと訪れてみてください。 本なんか読む気になれないかもしれません。でも、ひとつの物語との出会いが、もしかすると、あなたにとって、とても大切なものになるかもしれません。
玉音放送で敗戦を知った虎沼一等兵は上官に、小倉に在住する虎沼の父こそ真の天皇であり、自分は皇太子だと告白して嘲笑される。だが虎沼が名乗りをあげる前に伊勢から豚沢天皇が出現、その後も天皇が登場して、その数はあわせて八人におよぶ。虎沼一家は七人の天皇たちに会ってともに天皇組合を結成することを決意、全国へ説得の旅に出る。はたして説得は成功するのかー。
雪と氷に閉ざされた僻村に隠遁する老画家の調査をひそかに依頼された若き研修医の戦慄と絶望の27日間ーすべてが底なき深みへ崩れおちて凍りつく。世界文学の極北をきわめたトーマス・ベルンハルトの比類なき傑作。
画壇の若き俊才にして気鋭の美術評論家・片桐は、妻を亡くした春、満開の桜の下で精霊と見紛う少年と出会ったー。その絶対の美を手に入れたいと願う彼の心は、少年と少年の家族の運命を破滅へと導く。逃れ得ぬ陶酔の迷宮に囚われた男の悲痛な狂気が織りなす、至極のゴシック・サスペンス。
軍事探偵本郷義昭登場!禁断・伝説のアジア主義小説。太平洋戦争前夜。アジアの開放の使命を帯びて、南方に向かう“日東の剣侠児”本郷義昭陸軍少佐。印度の王子ルイカールを援け、敵○国の覇権に挑む。
しなないで、しなないでおねがいーその言葉がお守りとなり、彼女の体に宿り、そのおかげで私ではなく彼女がここへやってくることを、考える。自分の生にも死にもよく似ているこの都市へ。うぶぎ、ゆき、つき、こめ、はくさい、ほね…白い光と体温のある方へーワルシャワと朝鮮半島をむすぶ、いのちの物語。アジア唯一の国際ブッカー賞作家、新たな代表作。最注目の作家が描く破壊の記憶と、再生への祈り。
無(ナダ・断片)。舞台は内戦直後のバルセロナ。新生活を夢見た若い女性をとりまく、奇妙な住人たち。冷徹で澄んだ彼女のまなざしが掬い取る、人生の真実ースペイン版『悲しみよこんにちは』。
ジョバンニの旅は終わってもカムパネルラの旅は続く…。あの「銀河鉄道の夜」を今夜、カムパネルラが語りなおします。長野まゆみデビュー30年記念小説。
「書き下ろし日本SFアンソロジー《NOVA》の新シリーズの門出にふさわしい、ベストの布陣を揃えられたと自負している。読者のみなさんにも、編者が味わった喜びを共有するとともに、いまの日本SFがいかに豊かな実りの時代を迎えているかを実感していただければさいわいです」大森望 ーーーーーーーーーーーーーーーーーー 『NOVA 2019年春号』の訂正とお詫び 『NOVA 2019年春号』の第1刷におきまして、同書収録の柞刈湯葉「まず牛を球とします。」に編集作業の際に生じた誤記がありました。下記の通り訂正いたしいます。 読者の皆様、及び著者の柞刈湯葉氏にご迷惑をおかけいたしましたことを、深くお詫び申しあげます。 p.169 後ろから3〜2行目 (誤) 次のバージョンは、前回作られた牛球のゲノムDNA配列をクレイグ・ヴェンダー法により科学的に全合成して (正) 次のバージョンは、前回作られた牛球のゲノムDNA配列をクレイグ・ヴェンター法により化学的に全合成して ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ピッピは死んだ。いや殺された。いや…だんだんと鳥に変身していく男と、その男に復讐を誓う「俺」の惨劇を描く表題作、幼い頃に母親を恐竜に喰われたトラウマをめぐる「溶けない」、あまりにも凶暴なその花「胡蝶蘭」…グロテスクで残酷で、おかしな愛と奇想に満ちた、芥川賞作家の原点にして珠玉の作品集。
「抵抗する──人生ではなく、忘却に」。十歳の少女ジェイニーは、父親と別れてひとり世界を彷徨(さまよ)いはじめる。凶暴なガキの一味「サソリ団」、白人売春婦育成場、ジュネとの邂逅(かいこう)……。詩、戯曲、日記、イラストなど、多様な文体を駆使した重層的物語は、やがて神話的世界へ広がっていく。最終3章の配列を正した決定版! ワイルドで奥深くて崇高な、世にも美しい言葉のテロ。 姐さん、一生ついていきます。──岸本佐知子