何度も自殺未遂を繰り返した太宰は、底抜けに人を愛する、限りなく優しい男だった。心温まる話とめくるめく言語マジック。愛とユーモアに満ちた清新な作品集。
忍び寄る不安。胸にともる灯。世界の底から響く音。驚くほど詩的で繊細、かつ感覚的でなまめかしい吉行淳之介の傑作短篇集。
ひたひたと迫りくる没落の翳。落魄への共感。坂口安吾がそのみずみずしい「香気と悲しみ」を讃えた知られざる新興芸術派、尾崎士郎の切情あふれる短篇集。
燦爛たる幻想。自由への憧れ。性の冒険。狂気と孤独。貴重なデビュー前の児童小説を含む、待望の1970年代単行本未収録作品集。皆川文学誕生の秘密がここにある。
私小説が「私」を超えたとき、なにが姿を現したか。初期の創作説話から「私倍増」小説にいたる藤枝文学の特異な軌跡を刻印する。