出版社 : 田畑書店
ガラスの蜂ガラスの蜂
ドローンが赤く光った。 殺意か警告かーー不気味な羽音とともに無数に湧きだす透明な〈幽体〉の軍団。 大戦敗北の屈辱に、ドイツ軍の精鋭が幻視した黙示録は、現代の恐怖となる。 2つの世界大戦を通して地獄を見たドイツ最高峰の知性「20世紀のゲーテ」が、およそ半世紀以上も前に《現代のディストピア》を幻視していた! ユンガーは第一次大戦に出征、死屍累々の惨状からナチス台頭を予見し、第三帝国では森に隠遁して昆虫採集に明け暮れ、戦時はヒトラー暗殺計画の国防軍幹部に宛て極秘回覧文書を起草した。見るべきほどのことは見つ。戦後に洞察したのは恐るべきオートマトン(自動機械)の未来だった。 本書は「ガラスの蜂」全訳に、詳細な訳注(全269項目90ページ)、物語の背景や現代的意義を説く解説「ドローンはSeyn(存在)の羽音を鳴らす」を付す。 ガラスの蜂 3 * 【訳注】 209 〈訳者解説〉ドローンはSeyn(存在)の羽音を鳴らす 299
降誕祭の手紙/地上の草降誕祭の手紙/地上の草
昭和34年、「降誕祭の手紙」で芥川賞候補になったとき、同期候補には吉村昭氏や金達寿氏、そして山川方夫氏がいた。その山川氏に師事し、三田文学に「地上の草」を連載していた日々……その頃から半世紀以上、戦後の激動期を家庭人として過ごしながらも、ふつふつと漲る文学への思いを絶やさずに生き続けた人生ーー代表作二作を全面的に改稿し、なおかつ近作の短編からよりすぐった4篇と、山川方夫氏の思い出を綴った1篇を収める、著者畢生の自選作品集 【目次】 第一部 降誕祭の手紙 眼鏡 地上の草 第二部 源平小菊 海抜五・五メートル 夏の星 かきつばた 日々の光ーー山川方夫 自筆年譜 あとがき