出版社 : 白泉社
人気脚本家で作家でもある櫛木隼は、顔出しの仕事もしている今をときめく有名人。 都会的なマンションで洗練された生活を送っていた三月のある日、そんな優雅な日常を脅かす出来事が。 遠縁であり幼なじみの円野幸宏・通称ユキが、就職活動のために転がり込んできたのだ。 人並以上に何でもできた自分とは違い鈍くさいユキを、子どものころからそばに置き、気にかけ、かばい、世話を焼いてきた隼だったが、高校卒業以来、ユキとは一度も会っていなかった。 ユキとの間には、できれば二度と会いたくはない、隼にとっては耐え難い苦い思い出があって……。 樋口美沙緒、待望の新作!たっぷり四六判で登場! 2025年3月刊
「殺されるなら、あなたがいいーーー」 竜族の最後の生き残りルートヴィヒは、いつか人間の伴侶を持ち、平和に生きることを夢見ながら、ガーネ山の洞窟で両親の残した宝石を糧に身を隠すように暮らしていた。 宝石の守り神であり、その体液はすべて宝石になる神秘の存在としてガーネリア国の信仰の対象だった竜族は、いつしかその神聖性を失い、大きな戦争を機に、厄介で滅ぶべき存在と思われるようになっていたからだ。 ところが絶対に人間に知られるはずがない神聖な竜の棲み処に、ある日見知らぬ男が現れる。 警戒心をもたないルートヴィヒは、人間と初めて出会えた喜びに舞い上がりもてなそうとするが、その男・エリックは対照的に、自分の家族を奪った竜族を憎んでいると言い放ちーーー。 復讐の炎を燃やす義賊×無垢で一途な竜の純愛ファンタジー! 2022年6月刊
「萱草の花をあしらった簪」を借りにきた美しい女ー本店の主、清五郎となにやら関係を持つ女らしい。お庸が疼く気持ちを抑えながらも、機知を働かせ要望に応えようと奮闘する「萱草の簪」。手代の松之助に忍び寄る影、隠された過去がお庸を巻き込む「秋時雨の矢立」など。貸し物屋・湊屋出店を舞台に、口は悪いが情に厚い、店主お庸の活躍を描く五編。文庫書き下ろし。
クマのプーさん、赤毛のアン、小公女、点子ちゃんとアントン…etc.あのころ愛した本には、幼い日の記憶のかけらが詰まっていました。
戦も収まり秀忠の治世。元忍者で今は江戸で、よろず請負人となっている橘清十郎。稼いだ金を菓子作りにつぎ込み、心の拠り所としている。ところが彼の娘と名乗る少女が現れ、様々な事件が身に起こる! 2016年3月刊。
幕末。黒船の来航にざわめく江戸の町に一人の女俳諧師がいた。齢三十にして嫁にも行かず、酒を飲んでは世情を映した狂句ばかりを詠む、自称「小林一茶最後の弟子」-その名は紅林水無月。跳ねっ返りではあるものの、類まれなる語学の才を持つ彼女に目を付けた幕臣たちは、日ノ本の未来を左右するある賭けに出ようとしていた…。文庫書き下ろし。
貸し物屋・湊屋を切り盛りする娘、お庸は、器量は良いのに口が悪いと評判。行李を借りにきた侍の態度を不審に思い、持ち前の好奇心とおせっかいで世話を焼く「行李」。知り合いの大工の息子が誘拐されたと聞き、知恵を働かせて解決に走る「拐かし」など、べらんめえでも心根が真っ直ぐなお庸の活躍が爽快!江戸を舞台に不思議だがホロリとくる四編収録。
江戸に出てきてすぐ剣士・十束輝之丞は謎の侍たちに襲われる。島原の乱に由来する先祖の悲願を達成するため、輝之丞は身体に不思議な刻印を持つ仲間たちとともに悪に挑む。しかし真の敵の正体はなかなかわからない。切支丹の“金の鍔”の秘密とは?謎が謎を呼ぶ悪の闇を美剣士たちが手に手をたずさえて駆けめぐる超時代活劇!
江戸は妻恋町の五軒長屋の一角に、一軒の煮売屋が店開きした。看板メニューは稲荷寿司と日替わりのお惣菜。人々の舌をほっと和ませる店主・駒の味は、亡き夫から伝授されたものだった。素材の味を生かし、余すことなく使い切ることで料理と向き合う日々を過ごすうち、駒は少しずつ夫を失った哀しみから立ち直っていく。美味と感涙の文庫書き下ろし。
世に言う「天保の改革」により贅沢が厳しく咎められる息苦しい江戸の街に、颯爽と風を切って歩く若者がいた。風間旋次郎ー追い詰められた庶民の窮状に「風穴」を開けてやることを商売とするこの男を人は「風穴屋」と呼ぶ。その武器は剣ではなく鍛えられた拳だった!悪党どもに絡まれた町娘、お里穂のため、旋次郎の拳と機転が冴え渡る!文庫描き下ろし。
享保19年。京から華務職として呼び寄せられた蓉は、公家の生まれながら、華麗な生活とは無縁の貧乏姫。口は悪いが二枚目の従者・鷹矢を従え、右も左もわからない江戸での暮らしをはじめたのだが……。 2015年9月刊。
寛政の改革の後、五島列島のはずれの島で、母の手ひとつで武士の子として育てられた青志郎は不思議な老人と出会い、獣拳道(じゅーくんどー)という秘拳の修行に明け暮れていた。そんな日々に突然訪れた母の死。遺言に従い、夢を探すために旅立った彼が命を救った謎の女とともに徒手空拳で立ち向かう先は…。純情青年時代小説。
誰もが羨む美貌の少女、野朱。何不自由なく暮らしてきた彼女が、ある老婆との出会いをきっかけに、一夜にして醜い老女へと変貌してしまう。自身の外見の魅力のみをよすがに生きてきた女の目に映った、その後の世界とは。そして知った、この世で一番大切なものとはー。女の業と愛、そして本当の幸せとは何かを描いた、新感覚時代小説、ここに誕生!
時は文政。庶民には倹約を強い、己は贅沢三昧の将軍・家斉の治世に、救世主のごとく現れた一人の盗人ー次郎吉。実は、盗んだ金子を誤って長屋にばら撒いたことから、英雄視されるハメになってしまったのだ。ケチで女好き、でも、どこか憎めないこの男、いったい何故盗むのかー!?新たな解釈で蘇った“鼠小僧”の活躍がここに!!文庫描き下ろし。
小物に手の込んだ刺繍を施す、腕の良い縫箔師である咲。ある日、立ち寄った日本橋で、飛燕の意匠が施された簪に目を奪われる。買おうとしたその時…(「飛燕の簪」)。咲と男前だが女たらしの簪職人の修次は、突如現れた双子「しろ」と「ましろ」に翻弄されながら、刺繍や意匠をきっかけに不思議な縁を紡いでいく。ほろりと泣ける、文庫書き下ろし三編。