出版社 : 祥伝社
国際麻薬組織が市民多数を人質にし、政府が押収した六十億円のコカイン返還を要求してきた。返答期限は40時間後。窮地に陥った首相は極秘混成チーム外務省領事作戦部〈F2〉の出動を決断した。F2最大の武器は、ロッキードAC-130輸送機を制圧攻撃機に改造した通称《ブルドッグ》である。飛鳥亮機長ら曲者揃いの乗組員とF2の紅一点、大蔵省審理官歩巳麗子は、八丈島西方に浮かぶ敵の要塞島=緑魔島へ向けて飛び立つが、作戦はなぜか敵に察知されていた。果たして人質救出作戦は成攻するのか?待ち受ける傭兵集団の反撃は?軍事サスペンスの俊英が新境地を切り拓く白熱の冒険アクション!
「日本の名川探訪」で北上川を訪れた旅行作家茶屋次郎は、花巻温泉に宿を取ったが、翌朝目覚めて仰天した。彼の布団の中に血まみれの若い女性の刺殺死体があったのだ。当然、警察からは疑われ、茶屋は潔白を証明するべく独自で事件解明に乗り出したが、その直後、平泉に近い北上川から乳房を抉られた美女の溺死体が上がった。やがて二人の被害後は知己であったことが判明、さらに彼女らと愛人関係にあった中年男性が浮上したが、彼は一年前に何者かに殺されていた…。はたして真犯人は?茶屋は、なぜ事件に巻き込まれたのか?山岳ミステリーの旗手が、二重三重の謎を旅情豊かに描く書下ろし本格推理“川シリーズ”第二弾。
「何が何でも慶喜の首を取る!」徹底討幕に燃える西郷隆盛をいかに説得するかが、敗色濃い幕府の命運を任された勝海舟の悩みであった。そんな折、海舟は、罷免された元勘定奉行小栗忠順が立てた幕府必勝の戦略書を入手した。これで西郷を牽制できる。海舟はほくそ笑んだ。一方、小栗とともに上州へ落ちた風戸俊索は、薩長軍迫る長岡、新潟そして会津へと転戦したが…。血塗られた激動の幕末を、爽やかに駆け抜けた青年剣士俊策の生きざまを描く『新幕末風雲録』完結編!
大手スーパー“関東ストアー”の本部統括室次長の三条景彦は、自らの若さと“男”を武器に、甘美で危険な賭けに出た。美人広報課長、社長令嬢、そして社長夫人…彼女らを性の虜とし、社長の椅子を狙うためであった…。大胆不敵な男を通してサラリーマンの飽くなき野望を描く傑作官能小説!
恋人の死の真相を教える、という謎の男に呼び出され、シドは新縮歌舞伎町のバーにやって来た。だが店内は血の海と化し、直後、何者かにシドは狙撃された。恋人の死に何か巨大な陰謀が隠されていることは、もはや確実だった。時は2099年。高度に発達したコンピュータ・ネットワークを管理する「協会」は、ネットワーク内で発生した事故調査のため、サイバー=脳とコンピュータを繋いでネットワークに進入できる人間を雇っていた。そして、シドの恋人もその一人だったのである。やがてシドの闘いが開始され、露呈する驚くべき事実と、陰で蠢く黒幕の正体…。気鋭が書き下ろす渾身のクライシス・ノベル。
大都会の凶悪犯罪を一掃するー偉大なる使命に燃える清純美人近藤利代子と肉体美人酒田多意子は、警視庁警ら二課の名コンビである。鬼警部三河八重子二課長のしごきも猛烈過激になり、2人の体当たり捜査はますます磨きがかかる。あるときはラブホテルで悪徳外人と奮戦し、またあるときはソープランドへ潜入し、果ては売春スケ番の決闘に巻き込まれる…。連続する難事件をお色気、ド根性、名推理で鮮やかに解決する美女2人の活躍を描いた『夢みる婦警』シリーズ第3弾。
坂倫彦は息を呑み、思わず後ずさりした。雪に覆われた山麓に、翼を広げると2メートル半はある空の王者・大鷲が、彼を威嚇したのだ。が、大鷲は右脚から血を噴き苦しんでいた。助けを求めなければ、と振り向いたとき、倫彦は再び戦慄した。背後に、ぞっとするほど美しい少女が立っていたのだ。今や絶滅に瀕する大鷲との交流と、蠱惑的な少女との運命的な出会い。そしてやがて二人を襲う悲劇。都会の若者が愛と勇気に目覚める姿を描く、感動のアドヴェンチャー・ロマン。
「海部俊樹は総理という名の閣僚だよ。いつでも首のすげ替えはできる」ポスト海部のシナリオは、各派閥の思惑入り乱れ、着々と進む。安倍晋太郎は竹下登との“約束”に望みをつなぐ。渡辺美智雄は宿願の渡辺派旗揚げで一歩前進。宮沢喜一も、首領金丸信にすり寄る。しかし、金丸の秘蔵っ子・小沢一郎をはじめ、人気の高い橋本龍太郎、「理念」を旗印とする石原慎太郎も虎視眈々と下剋上を狙う。が、粘る海部…。自民党知将たちの覇権の攻防を描く待望の政界野望長編小説。
8月の晴れたある日の午後、母妙子が殺害された。それは娘の美幸にとって、あまりにも残酷な出来事であった。死体の第一発見者は、会社を早退し帰宅した父陽助。警察は初め陽助を疑っていたが、彼には確固としたアリバイがあった。だが、父や姉の態度に不審を抱いた美幸は、陽助が会員になっている「探偵倶楽部」に調査を依頼した。一方、警察は、妙子には駆け落ちを約束したカルチャーセンター講師の中野という愛人がおり、心変わりを責められて中野に殺されたという結論に達したが…。政財界のVIPのみを会員とする「探偵倶楽部」が鮮やかに難事件を解決する、表題作『依頼人の娘』他4編を含む、長編連作推理。
首から下げた天宝通宝を守り銭とした二本桐の武吉は、右肩に負った刀傷を癒すため、信玄の隠し湯として知られる下部温泉に逗留していた。そこへ勘助と名乗る男が現われ、武吉の恩人・野州越堀の仁五郎親分が危ないと告げた。しかも一人娘お絹は心細さのあまり〓@4AC3れ果てているという。傷が癒えぬまま、武吉は一路、奥州街道越堀宿をめざしたが、そこには思いもよらない裏切りが待っていた…。(「雪に花散る奥州路」より)陰謀渦巻く街道に、女のために命を賭ける男たちを描く傑作時代小説。
樋口には強姦の前科があった。実刑判決を受けて1年前に出所したばかりだった。それ以外にも何人の女を暴力でものにしたか知れないが、訴えられたことはまるでなかった。すべて女の泣き寝入りだった。出所後はさすがになりを潜めていたものの、一度覚えた味は忘れられなかった…。夏の軽井沢の山荘を舞台に、頭をもたげた“悪い虫”がもとで恐るべき殺人事件に遭遇した男を描く表題作など、二転、三転する巧みな構成で読者を魅了する著者会心の傑作推理集。
なぜ120年も前に死んだ人物を恐れるのか?矢的遥は、からくり人形のコレクターとして著名な加島大治が、「べんきちはゆるさないぞ」と記した紙を見て震えおののく姿に愕然とした。べんきちとは、江戸末期の天才からくり師大野弁吉のことだが、一代で巨万の富を築いた加島とどのような関わりがあるのか?そして加島の娘が不審な死を遂げ、「ぐうじんかんをわすれるな」という奇妙な脅迫文が発見された。“弁吉と偶人館”という手掛かりをもとに、矢的は意外な歴史の真相へと踏み込んでいった…。
4000人の子分を抱え、全国にその名が轟いた初代篭寅組組長・保良浅之助は、昭和5年、初めて国会に臨んだ。議場は、後に憲政の神様と謳われた尾崎行雄の演説を阻止しようという輩で湧き返っていた。「お前らなんじゃい。こういう年配の人に手を出すという法があるか!」浅之助は大声で一喝した。-こうして数名の重傷者を出した国会乱闘事件を引き起こした彼は、一躍政治家としても名が知れ渡った…。任侠の徒として政治家として、激動の昭和を逞しく生きた男の野望を描く。
警察庁特別監察官・滝田一郎に特捜令が発せられた。それは射殺も含め、手段・方法を選ばず、超法規的行動を可とする非情捜査を意味している。潜入先は塩路市。市議会を牛耳る2大暴力団が激しく対立し、しかもその抗争に地元警察も絡んで利権をほしいままにしている汚染都市であった。滝田は地元警察と暴力団の警戒網をくぐり現地に潜入した。が、意外にも、彼を待ち受けていたのは、美しい女体と官能の罠だった…。飽くなき暴力とエロスが迸るハード・アクション。