出版社 : 祥伝社
旅行作家茶屋次郎は、取材で訪れた信州梓川で殺人事件に巻き込まれた。現地を案内すると言った浅沼瑞恵が、早朝、梓川の岸辺で何者かに絞殺されたのだ。だが第一発見者である茶屋は、地元の豊科署に嫌疑をかけられ、その疑いを晴らすべく独自で事件の真相解決に乗り出した。瑞恵の知人小口多津子の協力を得て、やがて茶屋は浅沼家の意外な過去を探りあてた。なんと瑞恵の父は十二年前、祖父は三十年前に梓川で水死していたのである。一つの殺人と二つの水死-これは単なる偶然なのか?山岳ミステリーの名手が梓川を舞台に深まる謎を追う書下ろし旅情推理“川シリーズ”の第一弾!
“翔んでる女刑事”となって、世の凶悪犯罪に立ち向かうー気高い使命感に燃える純情美人近藤利代子と肉体美人酒田多恵子は、泣く子も黙る警視庁警ら二課の新人婦警である。鬼と恐れられる名物二課長三河八重子警部のモーレツなしごきにもめげず、ときには超ビキニ姿ど男どもを悩殺し、あるときはスケ番女子高生に扮し、悪党どもに立ち向かう…。恋と笑いのハラハラ名コンビが、凶悪犯罪に真っ向うから挑むベストセラー『夢みる婦警』シリーズ第二弾。
京都の旅荘八十八で、有名カメラマンが刺殺された。手掛かりは、死体の傍らにあった芥川龍之介の名作『羅生門』と、紫色の可憐な花〈羅生門蔓〉の栞だった。このツアーを企画した夏木梨香は、姉の香奈を通して警視庁の小早川警視正に助けを求めた。だが、解決の糸口が見つけられぬまま、伊豆の蓮台寺で第二の殺人が起こった…。現場に残されていた『羅生門』と栞の意味は?さらに第三の殺人はあるのか?ミステリーの名手が贈る旅情あふれる本格推理。
ブラジル奥地の街スエラで夏休みを過ごしていた18歳の毬男は、元ヤクザの水田耕介からとてつもない仕事をもちかけられた。砂金盗掘団の飛行艇を爆破し、莫大な懸賞金を稼ごうというのだ。こうして奇妙な冒険行は開始され、やがて原住民が“夜、光る河”と呼ぶ黄金の地に2人は辿りついた。夜陰に乗じて奇襲をかける水田と毬男。手榴弾攻撃によって飛行艇は炎上し、すべては計画どおりに運んだかにみえたが、これが毬男にとって、忌わしい悪夢の始まりとなった…。長編冒険小説。
長崎の一流ホテルで若い男が殺害された。警察は犯行現場の宿泊客“田中一郎・和子”を追ったが2人の行方は杳としてつかめなかった。やがて、被害者はパチンコ店従業員・野山宇一と判明。しかも野山は半年前、和子らしい女が勤めていた長崎のスナックの客であったこともわかった。この事件に興味を持ったルポライター・浦上伸介は地元タウン紙記者から、野山が“女を殺したらしい”と漏らしてしたという興味深い情報を得た…。被害者野山は、誰を殺したのか?そして、なぜ、誰に殺されたのか?不可能を可能にする大胆なトリックを駆使して贈るトラベルミステリー『北の旅殺意の雫石』に続く傑作第2弾。
「なぜ海部なのか?」派閥論理に破れた若手議員は、海部総理誕生の瞬間、無力感に打ちひしがれた。かたや橋本龍太郎を、かたや羽田孜を担ぎ奔走したものの、結局は老獪な長老たちに利用されただけだったのだ。「大臣なんかやる気はない。でも。総理大臣は別だ」と河野洋平は言う。一方、安倍晋太郎を脅かす渡辺美智雄は着々と足場を固めている…。はたして海部以後の権力者は誰か?次を狙う永田町の野心家たちを描くドキュメンタリー・ノベル。
柴木俊子はすでに26歳、売れない女優だったが、幸運はある日突然やってきた。テレビドラマでの演技が、映画界の巨匠・神保監督の目に止まったのである。が、出演のため、京都太秦に赴いた俊子を待っていたのは、凄惨な放火殺人であった。元大女優の付き人であり、今は歯科医の妻である道代が殺されたのを契機に、俊子は、14年前に起こったあるスキャンダルに巻き込まれていった…。数奇な運命を辿る大女優と新進女優の葛藤を描く岬の女シリーズ第2弾。
東京・西麻布で中国人男性が刺殺された。犯人は女二人組、いずれもベトナム難民を装った中国人で、一人は北京天安門事件の陰の美人闘士だった。虎田警視監の特命を受けた快海警部は、中国人難民に変装し、事件解明に乗り出したが、その矢先、またも中国人女性が殺害された。やがて捜査線上に、天安門のマドンナの日本潜入に絡んだ巨大な陰謀が浮かび上がった…。東大卒の特命警部快海が、得意の中国語を駆使して、恋に、難事件に挑む、絶好調“快海シリーズ”第5弾。
輪姦が縁で結ばれた勇と、女子大生桐子は再会した。それが桐子の運命の転機となった。極道の勇を愛し妻となり、女児が誕生。だが勇は鉄包玉となって刑務所送りとなり、二人は愛しながらも離婚した。やがて桐子は、勇の親分だった二階堂爾に強引に犯されその女となった。姐桐子の誕生である。だが、野心家の爾が属する広域暴力団南東連合会は、四代目総長の座をめぐり分裂し、血で血を洗う抗争に突入した。組長夫人たちの誘拐や裏切り、報復と殺人…。一人の男-極道を愛したがゆえに非情の世界に生き、自ら殺人を犯さざるを得なかった女の凄絶な生きざまを、渾身の力で書き下ろした著者初めての長編小説。
10年ぶりに烏裂野の別荘を訪れた拓也は、円城寺実也、麻堵の兄弟と知り合うが、彼らの家庭教師遥佳から奇妙な依頼を受けた。“黒髪を切られていた前任者の事故死の真相究明を手伝ってほしい”というのである。異常なほど厳格な躾を実践し、秘密めく円城寺家。二人が父親に知られることを極度に恐れる「あっちゃん」という名の子どもの存在。やがて少年たちの従兄克之が行方不明となり、その母が墜落死を遂げた…。死者の黒髪はなぜ切られていたのか?あっちゃんとは何者なのか?次々と起こる不可解な事件の真相とは?推理文壇注目の俊英が『緋色の囁き』に続き、自信を持って贈る書下ろし傑作。
清潔美人近藤利代子と肉体美人酒田多意子。崇高な使命感に燃えて警視庁入りした2人の先祖は、江戸時代に一世を風靡した名探偵コンビ、同心むっつり右門と岡っ引おしゃべり伝六だった。見えない縁に結ばれて、再び名コンビ(?)が誕生したのである。さっそく痴漢退治とオカマ刺傷事件で名を上げた2人は、鬼の警ら第2課長三河八重子警部の下に配属され、犯罪都市東京に続発する難事件に体当りしていくが…。ベストセラー作家が痛快に描く『夢みる婦警』シリーズ第1弾。
〈真昼の陽射しの下でシェリーを飲もうという彼女の提案に、私はわくわくするほど心動かされた。グラスを掲げて彼女は言った。「あなたの恋に乾杯」私は少し戸惑ったが、彼女に尋ねた。「なぜ私の恋に乾杯したのですか」彼女はにっこりと言った。「あなたならとても素敵な恋をしているにちがいないと思ったのよ」私は少し曖昧な笑みを浮かべた…〉燃える恋の渦中にいながらも、不安に慄く繊細な女性の心を、瑞々しい筆致で描く書下しろ恋愛小説。
小早川警視正は、リピーターによる政界汚職事件の鍵を握る人物で、代議士秘書の伊藤明の行方を追っていた。が、伊藤は心中死体となって発見され、捜査は暗礁に乗り上げた。一方、夏木梨香は親友の河井安里から、彼女と城ケ島でデートの約束をしたまま失踪した恋人友野主計の行方を探してほしいと依頼された。手掛かりは友野が残した、〈みすたくまか〉という謎の言葉。だが、その直後、安里は絞殺死体となって発見された。誰が、なぜ、彼女を殺したのか?小早川は、暗号マニアの友野が愛読していた北原白秋の詩〈片恋〉をヒントに〈みすたくまか〉の解読に挑むが…。政界汚職・伊藤の心中死に、友野失踪・安里絞撮事件の関連は?やがて事件は意外な展開を見せ始めた…。ミステリーの名手が贈る小早川警視正シリーズ第5弾。
7/1竹本美沙(17)大阪、7/16遠藤昌子(19)浜松、8/5佐倉真理(16)横浜…。ロックの超スターKAZUMAのコンサートに出掛けた少女たちが、次々に失踪した。真理の姉で雑誌記者の圭子は、単身捜索を開始したが、その直後、暴力団の売春組織が摘発され、美沙を含め10数人の少女が救出された。だが真理は?昌子はどこに?圭子は恋人の矢部吾郎と執拗に調査を続けるが、やがて友人の粕谷誠が何者かに殺害され、事件は意外な展開を見せ始めた…。はたして犯人は?少女たちの行方は?事件の真相は?気鋭の女流作家が魔性の世界をサスペンス豊かに描く書下ろし伝奇推理の異色傑作。
新妻梶浦沙知子は怯えていた。この1カ月、毎週水曜日の晩に都内で放火事件が発生し、その日に限って夫の清彦が深夜、蒼い顔で帰宅するのだ。放火現場はすべて清彦が独身時代に住んでいた、沙知子にも馴じみの深い場所だ。〈夫は放火犯か?〉疑惑に取り憑かれた沙知子に追討ちをかけるように、清彦の知人が相次いで殺された…。そんな折、沙知子は清彦から木曽路への旅に誘われた。〈私は夫に殺される!〉恐怖に苦悩する沙知子だったが…。名手が書下ろしたミステリーの傑作。
「あなたには死相が見える。自ら死に赴く者を救えば、あなたも救われる」京都を訪れた折、占い師から告げられた予言どおり、氷川隆也は、相模湖で身投げした絶世美女を救った。やがて彼女を愛し始めた氷川は、悪妻京子の殺害を企てたが、計画は失敗に終わった。ところがその後、京子は大阪・道頓堀で何者かに毒殺された。だが、隆也をはじめ、殺害動機を持つ者たちには鉄壁のアリバイがあった…。古都の四季を背景に、驚くべきトリックを駆使して描く本格推理の傑作。
「ブルーダイヤはどこだ!」ある夜、ソープ嬢藤木美輪は、2人組の男に襲われた。失踪した美輪の兄が、強奪した50億のダイヤを独り占めしたという。半信半疑の美輪は、兄の一人娘良を預けてある探偵緒形に、ダイヤ探しを依頼。緒形は恋人の短大生温子、元警官でオカマの未宇と調査を開始した。マセチビ天使・良に振り回される大人たち。やがて、ダイヤを狙うもう1つの影が浮かび上がり、ついに殺人事件が発生した…。人気女流が書き下ろした傑作ユーモア推理。