出版社 : 祥伝社
暴力団市富士組組長・市村の女となった光枝は“姐さん”として生きるべく、秘所に蛇の刺青を彫った。それが“凶運の女”の誕生だった。縄張りを狙う新興の堂政一家との血で血を洗う斗い。やがて抗争は全面戦争へ突入した。ヒットマンに仕立てられた男と、掟を破った男と女への凄惨なリンチ…。暴力によってのみ繁殖し、また滅亡する組織とその興亡。女を犠牲にして悪を生きる男たちと、その男を愛してしまった女の凄まじい姿を、綿密な取材をもとに描く著者初のバイオレンス・ロマンの傑作!
桜田門の警視庁前で、警部鳥居快海は、名にしおう孔雀警視こと扇野笙子の撮影会に出くわした。異変はその直後に起こった。凶弾が笙子をかすめ飛び、「事件から手を引かなければ笙子を殺す」と警視庁に脅迫電話がかかってきたのだ。早速、快海が笙子のボディーガード兼捜査助手を仰せつかったが、笙子はライバル快海に挑戦状をたたきつけた。男殺しの艶やかな孔雀警視と、女殺しのマイペース男快海のどちらに軍配が上がるのか…。新展開の“快海”シリーズ第4弾。
「幕府のために死ぬ」と言い切る勘定奉行小栗上野介忠順は、風戸俊策の恩人だった。小栗のためなら死ねる。それが俊策の偽らざる心情だった。大老井伊直弼が凶刄に倒れ、やがて倒幕攘夷の急先鋒だった清河八郎がなぜか幕府の信を受け浪士組(後の新撰組)を募った。友人の土方歳三は浪士組に入り、一方俊策は、治安維持のために新設された浪人奉行所の同心となった。剣に命を燃やし、己が野望を託す激動の青春を描く、迫力の大河時代小説第1弾。
リングネーム・力王山道浩ことリキは28歳。身長195センチ、体重135キロ。華麗でスピーディな技を駆使したデビュー戦で爆発的な人気を得て、一躍、花形レスラーになった。筋肉質の巨体、笑うと右頬にエクボができる甘いマスクが人気に拍車をかけている。が、彼にはもう一つの狂のつく推理マニアの顔があった。リングの内外で起きる奇怪な殺人事件を、同棲中の恋人・千恵と熱いベッドの上で推理し鮮やかに解決する…。著者会心の傑作ユーモア推理、登場。
まぎれもなくそれは、ニホン狼の特徴をすべて満たしている。大清水丈は驚愕した。絶滅したはずの狼が、凍てついた雪原に姿を見せたのだ。同じ冬、猟に出掛けた兄の震が死んだ。猟友の矢頭の証言によると、狼の群れに追いつめられ猪死谷から墜落したという。復讐を心に誓った丈だったが、やがて兄の死因に新たな疑惑が…。日本の哺乳類すべてが生息すると言われる秋田県白神山地を舞台に、伝説の狼を追い、男と女の愛憎の間で逞しく成長する若者を描く感動の冒険小説。
昭和7年-日本は、満州事変を起こし、軍の独立と満州国支配を策する関東軍の暴走によって、世界の孤児となりつつあった。おりしも事変の実態調査のため、国際連盟のリットン調査団が来満。孤立を恐れる日本政府は、日本不利と予測されるこの調査報告を事前に入手し、それを切り札として関東軍を抑止・解体することを決意する。だが、いかなる方法でそれを入手するか?重臣らの特命を受けた後の外相・松岡洋右は、熟考の末、奇想天外な大奪取計画を練り上げた…。
二束三文の津軽の山が密かに買収されたことを知ったTVディレクター九鬼虹人は、周辺取材をするうちに、なぜか買収地がすべて竜に因んだ神社や遺蹟の地に限られることに気づいた。“いったい竜とは何か?想像上の竜が世界各地に伝説として残り、西洋では悪魔、東洋では聖なる存在なのはなぜか?”それが恐るべき事件の発端となった。土地買収と竜の関連を追う九鬼を執拗に狙う男たち。そして姿を見せ始めたヴァチカンの存在…。
津軽での土地買収事件を発端に、九鬼は巨大な謀略に巻き込まれた。彼らローマ・ヴァチカン勢力は、なぜ伝説の“竜の存在と意味”を追求する九鬼を狙うのか?竜と彼らの関係は?新たな謎を追って九鬼は一路、インド、パキスタン、イラク、トルコの調査行に旅立った。だが、仲間は次々と敵の凶弾に倒れ、九鬼は最後の調査地・トルコのアララト山へ。目指すは山頂に眠る伝説のノアの方舟。これこそ文明史を根底から覆す“竜の柩”か…。
“三原啓子さんはエイズです”-平凡な主婦・啓子はマンション内に配られた悪質な中傷ビラに、精神的に追いつめられていた。身に覚えのないことだが、啓子を見る住人の眼は噂とともに冷たく変貌し、やがて、ビラを配っていた犯人の後ろ姿を見たと言うガードマンの墜死から、事件はもう一つの別の凶悪な相を見せ始めた。一見、単純な中傷ビラと思われたその背後の恐るべき真相と連続殺人の謎…。息づまるサスペンスと意表を衝くどんでん返し!大型の女流が放つ本格推理の傑作。
白昼の東京駅新幹線ホームでサブマシンガンが炸裂、暴力団多羅尾組の組員と、偶然に居合わせた舞台女優伊衆院朋子が死んだ。組織抗争の巻きぞえかと思われたが、警察手帳を持たぬ刑事・香月功は単独捜査を開始し、意外な事実をつかんだ。朋子の兄で画商の寛治が、暴力団から売却を依頼されたフランス名画を持ったまま失踪していたのだ。だが、捜査をすすめる香月の前でふたたび殺人事件が発生、さらに「犯人は香月」と謎のタレコミが…。はたして寛治の行方は?朋子の死の真相は?円熟味を増した名手が自信を持って放つ大好評。“顔のない刑事”シリーズ待望の書下ろし第七弾。
新政府の反対分子を一掃するには金が要る。が、いずれニセ札は発覚する。邪魔者は川路利良大警視ただひとり。明治9年8月、築地の伊藤邸で、長州の三巨頭が密談していた。そのとき、伊藤博文工部卿は不気味な笑いをたたえながらある男を思い浮かべた。旧幕臣不破亮之介,29歳。肥前鍋島に伝わる殺人流の極意“三年殺し”を体得した男…。明治12年、衆目を集めた藤田組ニセ札事件を背景に、剣鬼と化した男の非情の最期を描く、迫力時代小説。
戸沢敬二は白昼夢を見た。女高生とテレクラの電話で話したことが、彼の脳裏で再現されたのだ。「制服を脱がせて素っ裸にしてやる。それからフロ場で密着した腰をクネクネさせるアワ踊りだ。それから、それから…」戸沢敬二は宙を睨んでいた。(「テレクラの落し穴」より)欲望の捌け口を激しく求める男の眼には、もはや餌食となる女の肢体しか見えない。それが悲劇の始まりである。ベストセラー『生贄』『暴行』シリーズに続き、新たな視点で男の犯罪を赤裸々に描いた超弩級の新シリーズ、誕生。
〈手掛かりはビートルズのテープ?〉パーティ・コンパニオン小田香子は驚いた。仕事先のホテルの客室で、さっき別れたばかりの同僚牧村絵里が毒入りビールを飲んで死んだのだ。現場は密室、警察は自殺だというけれど…。知り合った若手刑事芝田と情報交換するうち、今度は絵里の親友だった真野由加利が自室で扼殺され、続けて香子の部屋までが何者かによって荒らされた。〈どうなってんのよ、この事件〉退くに退けなくなった香子と芝田。はたして犯人は?密室の謎は解けるのか…。ミステリー界の若き旗手が、華やかなコンパニオンの世界を舞台に、卓抜なトリックと洗練された機知を織り込んで放つ長編本格推理の傑作。
〈私は魔女なのよ-〉全寮制の名門聖真女学園で、高取恵が謎の言葉を残し焼死体となって発見され、続いて堀江千秋が刺殺された。それが恐怖の幕開けとなった。学園に転校して来たばかりの和泉冴子は、生理の度に、血の悪夢に悩まされ、相次ぐルームメイトの死に“もしかして私が”という不安に戦いていた。冴子には夢遊病の癖があったからである。さらに連続殺人劇は進行し、疑惑の眼は冴子に向けられた…。いったい魔女という言葉の意味は?殺人鬼は冴子自身なのか?推理文壇の若き俊英が本格推理の醍醐味と心理サスペンスを見事に結実させた注目作ここに誕生。
名古屋に向かう“ひかり87号”の車中で出版社の外注校正係、草田恭子が毒殺された。その直前に恭子と接触したと思われる“長身の男”を割り出した捜査員は、トラベルライター笹岡卓也と市役所勤務の折原俊彦を容疑者と断定した。しかし笹岡は同日同時刻、取材のため熊本に、一方、折原は新大阪発“ひかり23号”で博多に向かっていた。東京ー名古屋間をノンストップで走る新幹線での殺人は2人には絶対不可能に思われた。アリバイ崩しの名手が満を持して贈る本格推理の傑作。
紫の廊下を、薄い衣裳の裾を引きずりながら神の聖なる娼婦が歩く。その秘密結社「アメン神団」の幹部小泉博は、不思議な図形を記した手帳を残して失踪した。新沢大作はその図形をたよりに捜索を開始し、天橋立からギリシャへ、そしてエジプトでようやく彼の足取りを掴んだ。しかし、小泉の背後には“ギルガメシュの秘宝”を巡る壮大な陰謀があった…。失われた超古代の秘宝を求めて、ピラミッドの内部深く展開するアドベンチャー・ロマン“空白”シリーズの第4弾。
芭蕉の句碑が立つみちのくで、殺人、変死、拉致事件が相次いで起こった。しかも『奥の細道』に関する“ショッキングな新説”を執筆中の大学助教授橋本行三が謎の失踪を遂げた。僧侶で警部の鳥居快海は虎田警視監ことトラカンの密命を帯び、みちのくへ旅立った。やがて事件の発端は三百年前、芭蕉とその同行者曽良の不審な行動にあることがわかった…。ブルーのBMWで疾駆する気ままな美女岩波海子とともに、芭蕉の謎と連続殺人を追う、人気シリーズの第3弾。
「生贄を連れて来なさい」一夜、知り合った奇妙な男ケイに、なぜか小野寺慶吉は逆らえない。ケイは、相手の意思を封殺する計り知れない力を持っていた。命じられるままに生贄を送り込む慶吉。さらにケイは、恋人麻耶子まで狙っているらしい。慶吉は、すべてを麻耶子に打ち明けた。だが、摩耶子は驚くべきセリフを口にした…。長篇恐怖推理。